誰もが3強対決と思っていた皐月賞を捻じ伏せるような強さで突き抜けたディーマジェスティ。ホープフルSの取り消しが陣営のローテとファンのジャッジを難しくさせたが、聞けばあのタイミングこそが勝負の分かれ目だったようだ。日本ダービーは前2走とは違った立場での出走となるも、そこはかつてエルコンドルパサーやナカヤマナイトを世界に羽ばたかせた名門厩舎。二ノ宮敬宇調教師に大一番に向けての過程を聞かせてもらった。

思い通りの調教ができるという強み

-:日本ダービー(G1)に向かうディーマジェスティ(牡3、美浦・二ノ宮厩舎)について伺います。皐月賞優勝おめでとうございました。改めてレースを振り返っていただけますか?

二ノ宮敬宇調教師:馬の雰囲気はいつもと変わりない感じだと思いました。もともと大人しい馬ですからね。レースに関しては、ジョッキーもベテランですし、いろいろ考えて乗ってくれたと思います。上手く終いを生かす乗り方をしてくれましたし、次に繋がる競馬をしてくれました。

-:レース後はどのように過ごされてきましたか?

二:皐月賞が終わって、疲労回復が思った以上に早かったので助かりました。次の目標があるので、逆算して5月上旬から少しずつ速いところを始めています。

二ノ宮敬宇

-:2週前追い切りでは5ハロンから時計を出していますね。

二:2週前追い切りは、その前の週よりも長めでリラックスして体をしっかり使えるように走らせました。上手く手前を替えられましたし、時計も予定通りで良い内容の調教が出来たと思います。稽古をやれば動いてしまう馬なので、落ち着かせながら負荷を強めていって、気負わずリラックスした調教をやりたいと思っています。今のところ心配することなく思い通りのメニューを消化できています。

-:順調に調整を進めて来られている、と。

二:思い通りの調教が出来ることが一番です。今考えればこれまでの管理馬のなかには、どこかで無理をして使ってしまったり、ピークをどこに持っていくかを間違えていたケースもありました。何頭かクラシックラインに乗りましたが、ソエが出たり何かと調整が難しいところが必ずありました。それがこの馬はこれまでそういうことがありませんでしたし、今まで預からせてもらった3歳馬のなかでは調整しやすい方だと思います。

大きいレースに向かうには順調にいかないと難しいと思いますし、このまま進めていければいいですね。まだ若さもありますが、トモがフックラして丸みが出てきましたし、肉体面も成長しています。ホープフルSをフレグモーネで取り消した後に、無理のないローテーションを組んだことが良い方に出たと思います。


良化途上の皐月賞を勝って向かうダービー

-:今週の1週前追い切りについて、狙いと動きの評価を教えてください。

二:中間もずっと乗っていますし、それほど強い追い切りは必要なかったので、1週前追い切りは助手を乗せて馬なりでやりました。手前を換えるところや直線での伸びを見たいと思っていましたが、馬も気負わず走っていましたし、スーッと良い感じで動けていてベストの内容でした。疲れがあるかと思って先週末は時計を出しませんでしたが、今日これくらいやれていますし、脚元も心配ありません。これで来週ジョッキーが乗って出来ると思います。

皐月賞も良化途上の段階だったと思いますし、次に向けて更に上向いていければ良いと思っています。心身共にそのように上がっていくのは難しいことですけど、それも含めてその馬の能力だと思います。


-:いろいろあると思いますが、ディーマジェスティの良いところはどのような点でしょうか?

二:心肺機能が良いと思います。競馬の最後の直線では無酸素運動の状態で走りますし、そこであれだけの脚を使えましたからね。未勝利を勝つまでに時間はかかりましたが、この馬に関しては、2歳の頃から力を付けながら徐々にステップアップしてきたのかもしれません。学習能力の高さもあると思います。

二ノ宮敬宇

5/19(木)、1週前追い切りを行うディーマジェスティ


-:いよいよダービーです。最後に見通しをお願いします。

二:乗り方については、ジョッキーに任せています。あれだけのジョッキーですし、本人としても喉から手が出るくらい欲しいタイトルだと思いますからね。私たちは、ダービーだからといって特に変わったことをする必要はありませんし、いつも通りの仕事をしてレースに送り出すだけです。

-:ありがとうございました。悲願のタイトル、二冠制覇の瞬間を楽しみにしています。