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乗り方をぶっ壊してつかんだ「一生出られないかもしれない」舞台

-:まさかの4戦3勝で。10年後も、あの年はすごかったぞ、と言われると思いますよ。

中:いやいや、もうみんな忘れているんじゃないですか。多分、僕は来年、SJTには出られないですよ。来年どころか一生出られないかもしれない。

-:南関東で年間リーディング4位以内に入るのも大変ですものね。総合優勝したSJTを総括するなら、どんなシリーズでしたか?

中:本当に良い時にそういう企画がありました。園田の2戦目なんか負ける気がしなかったですもんね。その気持ちのまま、園田が終わり次第、差す競馬などちょっとやりたい乗り方に挑戦してみたのですが、その「最強の時」には敵わないですね。

-:自分の一番のピークがあそこだったと。

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兵庫の田中学騎手(左)、高知の永森大智騎手(右)に大差をつけて優勝

中:ハイ。でも、わざわざ「ぶっ壊して」ピークに持って行ったという感じです。やっぱり人間って壊れるんですよね。乗り方もすぐ壊れるので、直し方を知ればすごく強いじゃないですか。なので、1回ぶっ壊して、直しながら完成させました。

-:「ぶっ壊す」というのは、実戦で良くない乗り方をするということですか?

中:ダメな乗り方というよりは、「挑戦をする感じ」ですね。それは、いざという時に役に立つかもしれない。ゲートを出て全然出て行かない時に役立つかもしれないとか。

-:それは騎乗姿勢のことですか? それとも位置取りとか。

中:姿勢にしても、ゲート開いてから追うか、追わないかにしても。最近もいろいろ挑戦しているうちに一部の関係者から注文を受けたりすると“そうではないのに”と思いながらの騎乗となって中途半端になってしまします。言われてやりたくない乗り方をして中途半端になるのが一番ダメなんですよ。乗り方には色々あって、答えは一番良いのがあるけど、二番目に良いのもあるわけなんです。

-:それくらい自分の中で一番良い乗り方が完成されているということですか。

中:はい。でも、壊しました。

「(SJTは)人がどう動きたいのか見えることが分かりました。心の乱れが見えましたね」


-:参考にしますので、是非、一番良い乗り方で勝ったレースを教えて下さい。

中:もちろん園田もそうですし、その前の開催の船橋がとんでもなかったですね。5頭くらいですけど、全部が全部良かったです。6月19~21日の船橋は観れば分かるくらいのハマリだと思いますよ。

-:ちなみに SJTは相手も錚々たる人が揃った中で最年少だったと思うのですが、レースはどのような感じで乗りましたか。

中:いやいや、いつも石崎(隆之)さんや的場(文男)さんみたいな人と乗っているので、特別な意識は全くないですよ。

-:南関東はベテランの層がすごいですもんね。でも、SJTのようなレースだと、普段と流れや展開が違って乗り方も変わると思うのですが、具体的に何が違いましたか?

SJTシリーズ1戦目を制してもケロッとした表情だった中野省吾騎手

SJTシリーズ1戦目を制してもケロッとした表情だった中野省吾騎手

中:違いましたね。でも、僕は一切誰にも巻き込まれなかったことは確かですね。相手の動きや何がしたいのかがすごく分かったので、どうぞ、どうぞという感じで全部譲って、という競馬ばかりでした。さっきも言いましたが、(レース映像を観ながら)盛岡の1戦目でここで僕が行こうと思っていたところに、内から行こうと主張してくる人がいたので、どうぞという感じで譲りました。4コーナーではみんな動いているけど、焦らずに自分のペースを守っていたら前と離れちゃうんですよ。でもそういうのを無視して自分のペースで追っていたら、ゴールでは先頭に立っていました。

-:相手はこの人だな、みたいなものも。

中:なかったです。新聞の印や人気など、僕は記憶ができない方なので。考えることが多くなっちゃうだけなので、何も意識しないですね。

-:SJTの4戦を終えて何か新発見はありましたか?

中:人がどう動きたいのか見えることが分かりました。心の乱れが見えましたね。

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