関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!


私、初めは競馬の事、まったく知りませんでした。
家族もやらなかったし、むしろテレビで競馬が始まったらチャンネルを変えちゃうくらいで(笑)。
そんな環境で育って来たんですけど、ある日突然マネージャーから「明日オーディションだから。競馬知ってるよね?」って言われて。
いや、競馬なんて何も知らないし(笑)、話が急だったから何の事か分からなかったんですけど、それがグリーンチャンネルのトレセンTIME美浦担当リポーターの仕事の話だったんです。
「『重賞レース』って言葉の意味だけ調べて行きなさい」って言われて、それだけでオーディションに行きました。
G1、G2、G3の違いですか?当然分からないですよ(笑)。


オーディションの手応えは、ハッキリ言って無かったです(笑)。
TVカメラ2、3台の前で実際のリポーターのように話すテストがあったんですけど、私そこで「武豊“選手”が…」って言っちゃって。
ほら、競馬をやらなきゃ普段の生活で“騎手”っていう単語を使う事が無いじゃないですか?
「スポーツをやる人は“選手”」って単純な考えで言っちゃって(笑)。
他にも競馬で使う言葉を全然知らない状態だったんで、受かったのが不思議ですよ。
本当、プロデューサーのおかげです、私が今こうしてリポーターをさせていただけているのは。


はい、研修期間はありますよ。
実際にリポーターとして番組に出始めるのは2007年の1月からなんですけど、その前の12月に初めて美浦トレセンに行きました。 最初にいろいろ注意を受けるんですよ、気をつけるポイントですね。
傘を差さない、大声を出さない、走らない、車のドアは静かに閉めるとか、要するに馬を驚かせるような事はしちゃいけないってことと、ヒールの靴は歩きにくいから履かない方がいいとか、トレセン内を動く時に重要なアドバイスをいただきました。
それでトレセンに入ったんですけど、ビックリしましたよ!本当ビックリ!
だって…、馬が歩いてるんですよ?
車の外に、すぐ。目の前を馬がたくさん、何頭も。
「すごーい!馬だー」ってテンション上がりましたねー(笑)。
馬って、草原を走っているようなイメージを持っていたんです、広い場所で伸び伸びと。
それが、アスファルトの道路を横断しちゃって(笑)。


それまでポニーくらいしか見た事が無かったんで、馬の大きさにも驚きました。
あと、馬の綺麗さ。
馬の毛並みとか肌ツヤの良さが凄くて。
私にも秘訣を教えて欲しいと思うくらい。
「何か特別なクリームでも使ってるんじゃないの?」って(笑)。
でも最初は馬が近くに来たら怖くて逃げちゃいました。 やっぱり大きさにビックリしちゃって。
顔なんて私の3、4倍ちかくありますから(笑)。
もちろん今はもう慣れましたけど、初めて見たときは本当に驚きました。


初めて触った馬は、阿部厩舎にいたトウショウトリックです。
ハッキリ覚えてますよ!
他の人にはあまりなつかなかったみたいなんですけど、私にはなついてくれて。
こっちに寄ってきてくれて、私の肩に顔を近づけてモシャモシャしてきたりするのを見て「カワイイ~」って。
しかも私が隣の馬に触ったりすると、唸ったりしてヤキモチを焼くんですよ。
それ以来はコタロー一筋です。
最初に触ったコタローがそんな感じだったから、一気にイメージが変わって「馬ってカワイイな」って思いました。


あ、コタローってトウショウトリックの事です。
実は私、最初「トウショウトリック」っていう名前を全然覚えられなかったんですよ。
カタカナ苦手なんです、横文字がダメで。
いや、理由は分からないですけど、気付いたらもう苦手でした。
そう、だから困りましたよ、馬の名前が読みにくくて。
全員一頭残らずカタカナじゃないですか(笑)。
カタカナの部分は全部ひらがなに直して読んでいましたから。
今ですか?今はもう大丈夫です。
あー、確かにカタカナが読めるようになったのは競馬のおかげかもしれないですね(笑)。


それでトウショウトリックですけど、名前が覚えられないから、勝手に「お前は今日から『コタロー』だ」って言って「コタロー、コタロー」って呼んでいたんです。
そうしたら、そのトウショウトリックを見せてくれた阿部厩舎の谷中公一さんのお子さんの名前が偶然「こたろう」君で、それをキッカケに打ち解ける事が出来たのを凄く覚えていますね。


もちろんレースでも応援していましたよ。
でも、コタローはなかなか勝てなくて金沢競馬に行く事が決まって。
最後の日、阿部厩舎を10時に出発するってヤナっち(谷中公一氏)から聞いていたので見送りに行く事にしたんです。
もう凄く思い入れも強かったから、何て声を掛けようかなとか考えて泣きそうになって行ったんですけど、厩舎にいないんですよ、コタローが。
あれ?と思ったらヤナっちが「ゴメーン。出発、9時半だったー」って。
「もういないよ」ってアッサリ言われて(笑)。
結局、何にも声を掛ける事も出来ないままお別れになりました。
もう「ヤナっちのバカー!」って思いましたね(笑)。


初めてインタビューしたのは加藤征弘調教師です。
シャドウゲイトが勝った金杯のウイナーズレポートで。
私、インタビューってそれまでした事が無くて、どうすればいいか全然分からなかったんですね。
いえ、質問内容は用意されていないんで、私が考えるんです。
最初の頃はディレクターさんに少し手伝ってもらいながら質問を考えていましたけど、今は私が自分で考えた内容を聞いているんですよ。
はい、全部です、こうやってノートに書いて。
その加藤先生とのインタビューは、スタンドの前にイスを並べて座ってやったんですけど、まあどうしようもなかったですね(笑)。
慣れている方なら、先生の返答を聞いてそれを踏まえた追加の質問もされていくと思うんですけど、私は先生の返答の意味が分かりませんでしたから。
「パドックではね…」って説明されても「パドックって何?」っていう感じだったんで、会話の噛み合わせが相当悪かったと思います。
先生が答えてくださっている間も、次にする質問で頭が一杯になっていたり。
でも、加藤先生が優しくて、チンプンカンプンな私にも分かりやすいように丁寧に答えてくださって。
本当に関係者の皆さんには助けてもらっています。


そうですね、競馬雑誌は毎週読んでいますよ。
月曜日の夜にその週に取材する馬のリストが届くんです。
それで対象となる馬と関係者を調べて、質問を考えています。
この間、久し振りにまた加藤先生にインタビューをさせていただいた時に「インタビュアーの腕が上がっているからこっちも話しやすい」とおっしゃっていただいて。
凄く嬉しかったですねー!
私、自分で言っちゃいますけど、褒められて伸びるタイプなんで(笑)、こういう風におっしゃっていただけると凄くやる気が出ますよ。
他にも最初はあまり話してくださらなかった先生がいろいろ教えてくれるようになったりすると「認めてもらえてきたのかな」って嬉しくなったりして。
仕事の快感ですか、そうですね、インタビューで「こういう質問をするとこういう返答が来るかな」って想定した通りの流れになると「よっしゃー!」って思いますね。
心の中でひそかにガッツポーズです(笑)。


今までで一番多くインタビューさせていただいているのは、国枝先生ですね。
国枝先生はもうトレセンTIMEの常連ですから(笑)。
ほぼ毎週取材させてもらっています。
先生も「よっ」て気さくに声をかけてくださるので、凄くお話ししやすいですね。
こちらが同じ事を2回聞いてしまったり、間違えた事を聞いても「いいよ、そんな間違いは大した問題じゃないよ」ってフォローしていただいたり。


そう、国枝厩舎といえば私、マツリダゴッホが勝った有馬記念で泣いちゃったんですよ。
いえ、それまでレースを観て泣いた事はなくて、あれが初めてでしたね。
最後の直線で抜け出してきたのを観て涙が出ちゃって。
多分、目の前で美浦の馬がG1を勝った事に感動したんですね。
私、美浦担当なんで、やっぱり美浦の馬に情が移って思い入れが出てくるんですよ。


あの有馬記念以降は、もう涙腺全開です(笑)。
この前はキストゥヘヴンの引退レース(中山牝馬ステークス)でも泣きましたねー。
初めてトレセンのプールを見学に行った時に、シャワーを浴びている馬がやたらこっちを見てくるなあと思ったら、その馬がキストゥヘヴンだったりして、縁のある馬だったんです。
その子が引退する時に重賞を勝つなんて…凄いって思ったら涙が出て。
そのうちに、未勝利戦でも美浦の馬が勝ったら泣いたり、美浦の馬しか出てないレースでも号泣しちゃったりして(笑)。


騎手も、皆さん優しくしてくれます。
その中でも特に宮崎北斗くんや丸ちゃん(丸田恭介騎手)の世代と仲が良いですね。
私がこの仕事を始めた年の3月に彼らがデビューしたので、同期なんです。
話していると楽しいし、イジリがいがあってカワイイんですよー(笑)。
レースに出ているとやっぱり気になります。
北斗くんがセラフィックロンプで愛知杯を勝った時なんか、テレビ観ながら絶叫しましたもん、「うおーっ」って。 すぐ(高橋)摩衣ちゃんに電話して、二人で「良かった良かった」って言って。


摩衣ちゃん、仲良いですよ。
もう1週間に5回は会っているくらいで。
一緒にご飯を食べたりお酒を飲んだり。
お風呂に一緒に入るのも当たり前です、何も隠し事無し!みたいな(笑)。
トレセンの取材でもいつも一緒にいたんですけど、今は一人になっちゃったんで寂しいですよ。
でも、摩衣ちゃんがマメに電話をくれるから助かっています。
大人になると、そんなに凄い仲良しになる友達って出来にくくないですか?
本当、仕事で知り合った女の子とこんなに仲良くなるとは思わなかったってくらい仲良しになりました。
この仕事の前から何回か仕事で一緒になる事がありましたけど、やっぱり、お互い競馬の事を知らないなか一緒に勉強したりした事で距離が縮まったんじゃないかなって思います。


はい、もう完全に競馬にハマっています。
家族もかなり競馬に馴染んできました。
番組のDVDを見せたら、父はすぐに「いいねー」って。
もう娘を溺愛するお父さんなんで(笑)、嬉しかったみたいです。
住んでいるところが「ウインズ建設反対」なんて運動をしていたところなので、特に母は競馬に対して偏見を持っていて「本当に大丈夫なの?」なんて言っていたんですけど、トレセンで撮った馬の写真を見せたら「あら、カワイイ」って。
私が家でも競馬を観るようになったから家族も観るようになって、今では両親揃って競馬を観ています。
母なんてこの間「あ、フラついた。審議だ」なんて言ってましたから。
私より詳しくなっているんじゃないかっていう勢いですよ(笑)。
まだ両親と一緒に競馬を見に行った事が無いので、いつか行ってみたいですね。


このトレセンTIMEのリポーターの仕事をやって良かったと思える事はいっぱいありますよ。
騎手や調教師の先生、厩務員さんたちとも仲良くなれるし、取材のカメラを止めたあとのプライベートの面白い話も聞けますし。
レースの時の真剣な感じと、普段お話させていただく時の面白さのギャップも良いんですよ。
関係者との恋愛ですか?よく聞かれますけど…無いです(笑)。


これだけ現場の声、関係者の素の姿を多く伝える番組って他に無いですよね?
関係者の方が思っている事を、本人が直接喋っているわけですから、そのコメントを馬券検討に役立ててもらえると嬉しいですね。
あ、ひとつトレセンTIMEで馬券が当たるジンクスがあるんですけど知ってますか?
あのー、調教を撮り逃すとその馬が来るんですよ。
そういうジンクスがあるんです。
この間、●●●●●の調教を撮り忘れたんですけど、やっぱり勝ちましたから。
滅多に無い事ですから、もし撮り忘れが起きたら間違いなく買った方が良いですよ(笑)。





坂田裕美
[さかたひろみ]

生年月日・1985年8月20日
星座・しし座 出身地・東京 血液型・A型
趣味・人間観察 映画鑑賞 アロマ 癒される事
特技・料理 和太鼓 水泳 食べる事
好きな馬券の種類・応援馬券(単勝+複勝)
出演番組
「トレセンTIME」美浦担当リポーター(グリーンチャンネル)
「VIVA PARADAISE」(ジェイコム東京・テレビ) レギュラー