栗田博憲調教師インタビュー
2009/9/6(日)
--:栗田先生にリザーブカードについてお聞きします。よろしくお願いします。
栗田:はい、どうぞ。
--:まずは、前走の京王杯を振り返っていただけますか?
栗田:ちょっとリズムに乗れない競馬になってしまいました。ジョッキーも若さが出たかな。彼もまだグレードレースの場数を多く踏んでいないし、多くを求める方が酷なのかもしれませんけれどね。私だって30年目になってまだ重賞なんて20しか取っていないんですから(笑)。ただ、まだこれからの若手ですから、ああいう経験を糧にして伸びる方向に行ってくれればいいな、と思います。
--:なるほど。ところで安田記念といえば先生は…。
栗田:うん、(ヤマニン)ゼファーで2連覇していますね。
--:思い入れのあるレースになりますよね。
栗田:そうですね。
--:ヤマニンゼファーって強い馬でしたよね。私が競馬を始めた頃にちょうどヤマニンゼファーが勝った天皇賞秋を観たので、凄く印象に残っています。スプリントから2000mまで随分幅広く活躍されていましたね。
栗田:そうですね。1200mから1ハロンずつ距離を延ばしていってね。そういう意味ではあの子は偉かったなあ。スプリントからマイルの安田記念、2000mの天皇賞秋まで取ってくれましたからね。天皇賞の時は、ヨシトミ(柴田善臣騎手)くんに「マイルプラス2ハロンの競馬を乗って来い」と言って送り出したんですね。マイルの競馬を乗ってくる気持ちでプラス2ハロンは馬を遊ばせろ、という事で。
--:天皇賞ではその理想通りのレースが出来て。
栗田:うん、してやったりという感じでしたね。本当に自分の思っていた通りで。1800mの中山記念で田原成貴(元騎手)くんに乗ってもらった時に「あと2~3ハロン距離が延びたらどうだ?」と聞いたら「先生、持ちますよ」って言うから秋の天皇賞に挑戦させる気になったんですけどね。…何かリザーブじゃなくてゼファーの話ばっかりしてるな(笑)。
--:本当ですね(笑)。安田記念の共同インタビューだとこういう話は聞けないと思いますけど、単独インタビューなのでヤマニンゼファーのお話まで聞けて嬉しいです。
栗田:そうですか(笑)。
--:ではリザーブカードに話を戻しますが、この馬の良いところといいますか、セールスポイントを教えていただけますか?
栗田:良いところというと、ある程度乗り役がゴーサインを出した時点で動けるっていう事ですよね。動けるんですけど、なかなかね…(笑)。前がカベになったり、スムーズな競馬が出来ていないというのが歯がゆいですね、最近の一連のレースは。
--:昨年の富士ステークスも惜しかったですが。
栗田:あのレースもちょっと脚を残して負けてしまっているし。本当に最近はスカッとしたレースというのが無くて、モヤモヤしたレースが続いてきましたよ。
--:レース自体はなかなか納得の行かない形が続いていらっしゃいますが、馬自体の成長はいかがですか?
栗田:それが馬自体は凄くハリがあるんですよね。体もふっくらしているし。だから今回ひとつの勝負に出ているのが、今までは割りと馬なり調整でレースに臨んでいましたけれども、今回はG1だからある程度キッチリと仕上げて、良い結果を出したいなと思っているんです。今の登録メンバー、18頭の中でどのくらいの位置を占めるかというね、そういうのを楽しみにしているんですよね。スムーズな競馬が出来たときに、どのくらいの置に来るのか本当に楽しみ。スムーズに行った感じの中で、この18頭の中でのレイティングがどういう感じかな、というのは見てみたいですね。
--:本当に馬が力を出し切った形で。
栗田:そうそうそう。そういった意味で今回の仕上げというのも、今日(6/3)は皇成くんが「乗せてください」と言うものだから、調教でも乗ってもらったけれど「もうお釣りは気持ちだけでいいから。あとはビシッと追って来い!」と。初めてじゃないかな?ここまでビシッと仕上げてレースに臨むのは。今までは馬なりとか強めとかでしたけど、今日はある程度やっていますからね。まあ、ある程度お釣りはありますけれど。やる事をキチンとやってレースに臨んでその結果を見たいな、という事です。それが自分の気持ちの表れであって、馬の仕上げにも出ているんですよ。
--:そこまでの仕上げで臨まれるという事は、少し気が早いお話ですが、安田記念のあとはお休みを考えていらっしゃるのですか?
栗田:いや、休みとかそういう事は考えていませんよ。レースの内容を見てから今後の事を考えれば良いわけですから。私の馬の使い方を見てもらえれば分かると思いますけれど、そんなに無理使いをするつもりは無いし、それはリザーブに対しても同じですよ。
--:なるほど。リザーブカードは490キロ台での出走が多いですが、先生は体重の細かな数字を意識されますか?
栗田:そんなには気にしないですね。いろんな要因が噛み合わさって、その時のレース体重になると思いますし。あくまでも馬体重の数字は自分のイメージだけであって、馬にとっての本当の適性体重っていうのは分かりませんよね。早い話が結果オーライなわけですし。
--:仮に480キロ台でも、勝ってしまえば…。
栗田:それで良いかもしれないですしね。アメリカなんかは馬体重は量りませんからね、日本だけですね。今回はG1だからファンサービスの一環なんでしょうけど、事前の体重発表もあって。
--:そうですね。今回の舞台は東京競馬場ですが、リザーブカードは東京コースと相性は良いですよね?
栗田:合っているとは思っています。少なくとも中山よりは競馬がしやすいかな、と思います。
--:本当にリザーブカードの力をはかるには良い舞台で。
栗田:そう思っているけれど、どうなりますか(笑)。あとはスムーズな競馬が出来るかどうか、その一点だけですよ。これは安田記念に限った話ではありませんが、スタッフが一丸となってレースに臨んでいる訳だから、もし負けたとしてもこちらが納得するようなレースをして欲しいですね。
--:これまでのフラストレーションが晴れるようなレースを。
栗田:そういう事ですね。状態に関しては何も心配が無いし、仕上げも上手く行きましたし、良い形でレースに臨めますよ。
--:応援しています。本日は有難うございました。
1980年に調教師免許を取得。
1980年に厩舎開業。
JRA通算成績は499勝(09/6/3現在)
初出走:1980年10月25日 4回 東京7日 10R タニノネバアー(14着)
初勝利:1981年 3月22日 3回 中山2日 4R フジノタイヨー
■主な重賞勝利
・08年クイーンステークス ヤマニンメルベイユ号
・92、93年安田記念・93年天皇賞・秋
(共にヤマニンゼファー号)
開業3年目の1982年以降毎年二桁勝利をあげ、区切りの通算500勝まであと1勝に迫っている。管理馬のヤマニンゼファーで92年、93年の安田記念を連覇。09年はリザーブカードを安田記念に送り出す。
栗田:はい、どうぞ。
--:まずは、前走の京王杯を振り返っていただけますか?
栗田:ちょっとリズムに乗れない競馬になってしまいました。ジョッキーも若さが出たかな。彼もまだグレードレースの場数を多く踏んでいないし、多くを求める方が酷なのかもしれませんけれどね。私だって30年目になってまだ重賞なんて20しか取っていないんですから(笑)。ただ、まだこれからの若手ですから、ああいう経験を糧にして伸びる方向に行ってくれればいいな、と思います。
--:なるほど。ところで安田記念といえば先生は…。
栗田:うん、(ヤマニン)ゼファーで2連覇していますね。
--:思い入れのあるレースになりますよね。
栗田:そうですね。
--:ヤマニンゼファーって強い馬でしたよね。私が競馬を始めた頃にちょうどヤマニンゼファーが勝った天皇賞秋を観たので、凄く印象に残っています。スプリントから2000mまで随分幅広く活躍されていましたね。
栗田:そうですね。1200mから1ハロンずつ距離を延ばしていってね。そういう意味ではあの子は偉かったなあ。スプリントからマイルの安田記念、2000mの天皇賞秋まで取ってくれましたからね。天皇賞の時は、ヨシトミ(柴田善臣騎手)くんに「マイルプラス2ハロンの競馬を乗って来い」と言って送り出したんですね。マイルの競馬を乗ってくる気持ちでプラス2ハロンは馬を遊ばせろ、という事で。
--:天皇賞ではその理想通りのレースが出来て。
栗田:うん、してやったりという感じでしたね。本当に自分の思っていた通りで。1800mの中山記念で田原成貴(元騎手)くんに乗ってもらった時に「あと2~3ハロン距離が延びたらどうだ?」と聞いたら「先生、持ちますよ」って言うから秋の天皇賞に挑戦させる気になったんですけどね。…何かリザーブじゃなくてゼファーの話ばっかりしてるな(笑)。
--:本当ですね(笑)。安田記念の共同インタビューだとこういう話は聞けないと思いますけど、単独インタビューなのでヤマニンゼファーのお話まで聞けて嬉しいです。
栗田:そうですか(笑)。
--:ではリザーブカードに話を戻しますが、この馬の良いところといいますか、セールスポイントを教えていただけますか?
栗田:良いところというと、ある程度乗り役がゴーサインを出した時点で動けるっていう事ですよね。動けるんですけど、なかなかね…(笑)。前がカベになったり、スムーズな競馬が出来ていないというのが歯がゆいですね、最近の一連のレースは。
--:昨年の富士ステークスも惜しかったですが。
栗田:あのレースもちょっと脚を残して負けてしまっているし。本当に最近はスカッとしたレースというのが無くて、モヤモヤしたレースが続いてきましたよ。
--:レース自体はなかなか納得の行かない形が続いていらっしゃいますが、馬自体の成長はいかがですか?
栗田:それが馬自体は凄くハリがあるんですよね。体もふっくらしているし。だから今回ひとつの勝負に出ているのが、今までは割りと馬なり調整でレースに臨んでいましたけれども、今回はG1だからある程度キッチリと仕上げて、良い結果を出したいなと思っているんです。今の登録メンバー、18頭の中でどのくらいの位置を占めるかというね、そういうのを楽しみにしているんですよね。スムーズな競馬が出来たときに、どのくらいの置に来るのか本当に楽しみ。スムーズに行った感じの中で、この18頭の中でのレイティングがどういう感じかな、というのは見てみたいですね。
--:本当に馬が力を出し切った形で。
栗田:そうそうそう。そういった意味で今回の仕上げというのも、今日(6/3)は皇成くんが「乗せてください」と言うものだから、調教でも乗ってもらったけれど「もうお釣りは気持ちだけでいいから。あとはビシッと追って来い!」と。初めてじゃないかな?ここまでビシッと仕上げてレースに臨むのは。今までは馬なりとか強めとかでしたけど、今日はある程度やっていますからね。まあ、ある程度お釣りはありますけれど。やる事をキチンとやってレースに臨んでその結果を見たいな、という事です。それが自分の気持ちの表れであって、馬の仕上げにも出ているんですよ。
--:そこまでの仕上げで臨まれるという事は、少し気が早いお話ですが、安田記念のあとはお休みを考えていらっしゃるのですか?
栗田:いや、休みとかそういう事は考えていませんよ。レースの内容を見てから今後の事を考えれば良いわけですから。私の馬の使い方を見てもらえれば分かると思いますけれど、そんなに無理使いをするつもりは無いし、それはリザーブに対しても同じですよ。
--:なるほど。リザーブカードは490キロ台での出走が多いですが、先生は体重の細かな数字を意識されますか?
栗田:そんなには気にしないですね。いろんな要因が噛み合わさって、その時のレース体重になると思いますし。あくまでも馬体重の数字は自分のイメージだけであって、馬にとっての本当の適性体重っていうのは分かりませんよね。早い話が結果オーライなわけですし。
--:仮に480キロ台でも、勝ってしまえば…。
栗田:それで良いかもしれないですしね。アメリカなんかは馬体重は量りませんからね、日本だけですね。今回はG1だからファンサービスの一環なんでしょうけど、事前の体重発表もあって。
--:そうですね。今回の舞台は東京競馬場ですが、リザーブカードは東京コースと相性は良いですよね?
栗田:合っているとは思っています。少なくとも中山よりは競馬がしやすいかな、と思います。
--:本当にリザーブカードの力をはかるには良い舞台で。
栗田:そう思っているけれど、どうなりますか(笑)。あとはスムーズな競馬が出来るかどうか、その一点だけですよ。これは安田記念に限った話ではありませんが、スタッフが一丸となってレースに臨んでいる訳だから、もし負けたとしてもこちらが納得するようなレースをして欲しいですね。
--:これまでのフラストレーションが晴れるようなレースを。
栗田:そういう事ですね。状態に関しては何も心配が無いし、仕上げも上手く行きましたし、良い形でレースに臨めますよ。
--:応援しています。本日は有難うございました。
栗田博憲
1948年福岡県出身。1980年に調教師免許を取得。
1980年に厩舎開業。
JRA通算成績は499勝(09/6/3現在)
初出走:1980年10月25日 4回 東京7日 10R タニノネバアー(14着)
初勝利:1981年 3月22日 3回 中山2日 4R フジノタイヨー
■主な重賞勝利
・08年クイーンステークス ヤマニンメルベイユ号
・92、93年安田記念・93年天皇賞・秋
(共にヤマニンゼファー号)
開業3年目の1982年以降毎年二桁勝利をあげ、区切りの通算500勝まであと1勝に迫っている。管理馬のヤマニンゼファーで92年、93年の安田記念を連覇。09年はリザーブカードを安田記念に送り出す。