関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

斎藤誠調教師×高橋摩衣
--:では、ツーデイズノーチスの斎藤誠調教師にお話を伺います。

高橋:先生、よろしくお願いします。今日(5/20)武豊騎手が美浦にいらしてましたね。

斎藤:そうですね。レースでの騎乗が決まってから、武豊騎手のエージェントの方から「レースのある週に美浦へ行く」っていう連絡をいただいていましたけど、本当に来るとは思わなかったんですよ(笑)。

高橋:アハハ(笑)。武騎手がいらっしゃって、いつもと雰囲気が違いました。

斎藤:そうですよね。やっぱり華のあるジョッキーなんで。

高橋:今日、武豊騎手が追い切りに騎乗されましたけど、いかがでしたか?

斎藤:初めて跨るわけですけども、「乗りやすい馬ですよ」とは調教前に伝えました。ツーデイズノーチスは本当にしっかりした子で、真っ直ぐ走れるんです。武騎手も「ブレない」という言い方をされていましたね。調教後もにこやかに上がって来てくれました。

高橋:好印象だったんですね。

斎藤:ジョッキーが馬に対して好印象を持ってレースに向かうっていうのは、特に大レースの時は必要な事なので、その点はクリア出来たと思います。今回は人気が無いですけれども、思い切って騎乗出来る要素が一つ増えたな、という感じです。

高橋:なるほど。先生、ツーデイズノーチスは未勝利戦からすぐにオープンのアネモネステークスに行きましたね。

斎藤:そうですね、未勝利を勝ってすぐ二歳の女王も考えましたけど、体がそういう状態ではなかったので、オーナーと協議して「行ければ桜花賞も、その先のオークスもありますし」という話をしていて。実際にアネモネステークスを勝ったので、それは狙い通りでした。

高橋:アネモネステークスに続いて桜花賞に出走されましたが、レースを振り返っていただけますか?

斎藤:輸送もありましたし、アネモネステークスから間も無くて短いスパンでのレースも初めてだったので、手加減したわけではないですけど、実際に阪神で馬を見たら、ちょっと気合不足でいつもの状態ではなかったので。レースも内が伸びない外差しの馬場なのに、内枠だったので外にも出せず…。まあ、消化不良だったですね。長期休み明けの2走目という事もあって、俗に言う「二走ボケ」だったのかな、と。

高橋:初めての関西圏でのレース、という影響は?

斎藤:あったと思います。人間も意識しましたし、意識せざるを得ないレースなので。あと、僕にはちょっと意地があって、美浦で調整して直前にレースに持っていって結果を出して「こっちでも出来るぞ」という事を実証したいんですよ。やっぱり関東馬なんでね。それがまだ経験不足だったのは否めないですけど、そこは反省して。

高橋:なるほど。現在、桜花賞の時と比べて状態はいかがですか?

斎藤:今は充実していますよ。体も強くなりました。他の馬と比べてレース後の疲労が残りやすいけど、疲れが抜けるのが早くなってきましたしね。スタッフのケアもあって、脚元の不安も無いですしね。

高橋:今日の調教をご覧になっての感想は。

斎藤:動きは良かったですよ。今日の調教のタイムは予定より速かったけど、調教も動く子ですし、ジョッキー二人で追い切りをやって、ハロー明けで時計の出やすい馬場だったしそんなに驚かないというか。オーバーワークでもありませんし、あとはこの後のケアをしっかりやっていけば大丈夫です。

高橋:桜花賞前は単走追いでしたが今回は併せ馬でしたね。

斎藤:桜花賞前の追い切りでは単走でフラフラした追い切りになったので、今回は併せ馬にしました。抜け出してからちゃんと追ってもらったので、実戦を考えても良い調教が出来たと思います。

高橋:経験を積んで、馬の内面も成長されていると思いますがいかがですか?

斎藤:厩舎でも大人しいですし、人に対しても従順です。その割りに人を振り落としたりする事もありますので、オンオフの切り替えがハッキリしているといえますね。無駄な力を使わない、頭の良い子ですよ。

高橋:その賢さがレースで出たり。

斎藤:そうですね。終いはしっかりしていますし、先行してもそれなりに脚は使ってくれるとは思うんですけど。

高橋:現段階では終いを活かすレースをお考えに。

斎藤:そうですね。あとは今回に関しては、調教に乗ってジョッキーも感じてくれたので、特段乗り方に関して指示は出さないですけど。

高橋:なるほど。先生は元々騎手に指示を出しませんよね。

斎藤:騎手といろいろコミュニケーションを取るなかで、騎手には騎手の感性がありますからね。その騎手の感性とこちらからの「馬の癖」などの報告事項の情報が上手く噛みあえば良いレースが出来るな、と考えているので。だからジョッキーだけが凄いとかスタッフだけが凄いとかではなく、みんなが上手く行って勝てると思うので。

高橋:そういう意味では、今回は良いバランスでレースに臨めますね。

斎藤:騎手も良い手応えを感じてくれたようだし、あとはちょっと速すぎた時計をリカバー出来れば良いと思います。

高橋:ではレースまでは軽い調整をする程度で。

斎藤:それこそ馬場に行かずに運動だけでも良いかなと思っていますけど、調教メニューはその日の馬の状態を見てから決めます。まあ、あと残りの数日は軽めになると思います

高橋:オークスで距離が2400mに延びることに関してはどう思われますか?

斎藤:母父がダンシングブレーヴですし、お兄ちゃんにバトルブレーヴという障害馬がいますから血統的に見てもスタミナはあるタイプだと思います。無駄な力は使わない、乗り手に従順な頭の良い子なので、そういう事を考えると大丈夫だと思います。桜花賞よりもオークスの方が合うんじゃないかなと思っていたので、それを実証出来れば、と思います。

高橋:そうですか。お隣にいる相田助手はどう思われますか?

相田:今週に入ってからだいぶ気配も変わってきました。先週はまだボーッとしているかな、という感じもあったんですが、週が明けたらガラッと変わって。雰囲気が良くなったなあって。

斎藤:ね、良くなったよね。

高橋:何か特別な事をされたんですか?

斎藤:いえ、特に何もしていませんけど、馬もレースが近いと感じているんじゃないですか。

高橋:アネモネステークスで重馬場でも結果を残していますし、不安は無いですね。

斎藤:そうですね、前例を持っていますし。でもむしろこういう馬場は不得意だと思っていたんですよ、僕は。意外だったんですよね。

高橋:じゃあアネモネステークスの結果もちょっと驚きで。

斎藤:僕、その時は中京に行ってましたからね(笑)。トビが大きくて綺麗な子なのでちょっと不利かな、と。そこで強い勝ち方をしましたからね。

高橋:いよいよ目標にしていた舞台です。

斎藤:ここを使ったらもう放牧に出す事も決まっていますし、目一杯の仕上げで行きます。

高橋:鞍上は武豊騎手ですしね。

斎藤:本当にもったいないくらいのジョッキーですから。今回一緒に仕事をさせてもらって、自分たちが「良い」という手応えを感じている時に、経験豊富な武豊騎手も同じように感じてくれた事で、お墨付きをもらったというか自分たちの手応えが実証された感じです。そのおかげで今後も自信を持って仕事が出来るので、貴重な勉強をさせてもらったと思いますね。

高橋:レースの勝ち負け以外のところまで影響が出るんですね。ちなみに枠順はどのあたりが良いという希望はありますか?

斎藤:2400mで広いコースですし、東京は馬の力がそのまま出るコースだと思っているので、どこでも大丈夫だと思います。桜花賞の内枠に比べれば全然どこでも問題ないです。

高橋:当日見に行く予定ですけど、私、いつもパドックを見ていると力が入って緊張しちゃうんですよ。特にG1のパドックは馬主さんが中に入って、いつもと雰囲気も違いますよね。

斎藤:そうそう、いつもはパドックに馬主さんが入ってくるっていう事はないじゃないですか。普段と違うからそれで馬は興奮しますよね。でも、それでもこの子は平常心でいけると思うんです。

高橋:3歳の女の子っぽくないですね。

斎藤:図太いのは図太いですよ、この子は。あまりピリピリしていなくてノンビリした感じなので。桜花賞の本馬場入場でもポワーンとした感じだったし。でもそれで結果が出れば良かったんですけど、出なかったので、もうちょっと気合いが乗ってくれないかなと思って今回臨んでいます。日に日に気合いが出てきているので良い傾向です。桜花賞の時は輸送も考えての仕上げでしたけど、今回は仕上げの手加減もしていないし、ちょっと違うと思います。

高橋:楽しみですね。

斎藤:厩舎一丸で戦っているような雰囲気なので、厩舎のまとまりで何とか良い競馬をしてくれないかな、と思っています。この僕たちの思いがツーデイズノーチスに伝わって、結果が出てくれたらね…涙が出るかもしれない。

相田:泣いちゃいますよ…。

高橋:わー、相田さんの涙、楽しみにしています(笑)。今日は有難うございました!




斎藤 誠

1971年千葉県出身。
2006年に調教師免許を取得。
2006年に厩舎開業。
JRA通算成績は54勝(09/5/20現在)
初出走:2006年6月17日 2回 福島1日 1R ワンダーブレベスト(4着/16頭)
初勝利:2006年7月16日 2回 新潟2日 9R シルクダッシュ


■主な重賞勝利
・07年京成杯(サンツェッペリン号)
・07年朝日杯FS(ゴスホークケン号)
開業二年目に早くも朝日杯フューチュリティSをゴスホークケン号で制し、G1タイトルを手に入れた。第70回オークスに出走するツーデイズノーチス号で自身二つめのG1タイトルを狙う。





高橋摩衣

生年月日・1982年5月28日
星座・ふたご座 出身地・東京 血液型・O型
趣味・ダンス ぬいぐるみ集め 貯金
特技・ダンス 料理 書道(二段)
好きな馬券の種類・応援馬券(単勝+複勝)

出演番組
「Hometown 板橋」「四季食彩」(ジェイコム東京・テレビ) レギュラー
「オフ娘!」(ジェイコム千葉)レギュラー
「金曜かわら版」(千葉テレビ)レギュラー
「BOOMER Do!」(J SPORTS)レギュラー
「さんまのスーパーからくりTV」レギュラーアシスタント


2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。 明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。 2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。 いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。