関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!


--:アイビスサマーダッシュに出走を予定しているシンボリグランとサチノスイーティーの畠山調教師にお話を伺います。

高橋:よろしくお願いします。まずはシンボリグランについてお聞かせください。京都金杯以来となりますね。

畠山:そうですね。去年も夏に相当頑張って使ってきていましたから、その分今年は夏に向けて休ませようと牧場の社長と相談させていただきまして。

高橋:帰厩後の調子はいかがですか?

畠山:千葉のシンボリ牧場で乗り込んでいましたからね。いつも通り、順調です。

高橋:アイビスサマーダッシュは昨年2着でした。

畠山:直線1000メートルはその一度しか使っていませんけど、十分やれる雰囲気は掴めていますね。去年はフルゲートの5番枠で枠がちょっと内目だったんですよね。スタートしてから内の馬が外ラチに狙ってきた時に軽い接触がありましたし、それがスムーズだったらもう少し際どい勝負になっていたと思います。やっぱり、あっという間に終わってしまうレースですから。

高橋:この馬の調子の良い時ってどんな感じですか?

畠山:非常に分かりづらいのがこの馬の特徴ですね。大きな馬ですけど、モサッしている訳でもないですからね。いつでも前へ前へっていう気持ちもあるし、それが結局、短距離戦で良い結果に出ているんじゃないですかね。もしかすると段々落ち着きが出てきたら走らなくなっちゃうかもしれないですし(笑)、分からないですよ、折り合いが付いて切れるタイプに変わるかもしれないし(笑)。

高橋:どう変わるか分からないですよね(笑)。今は特に変化は無いですか?

畠山:全然年を取っても変わらないなあっていう感じですね。1年前と比較しても何が変わったっていうところは無いですね。体の白さが多少増したくらいで(笑)。見た目が変わっただけで他は変わらないです。

高橋:レースが近づいて戦闘モードになってきたな、という感じはありますか?

畠山:そうですね。レースではブリンカーを付けるんですけど、先週に調教でもブリンカーを付けたら、そろそろ競馬だなっていう事で運動の時からガッと気持ちが入ってきた感じですね。ブリンカーで集中力を高めるっていう意味もありますけど、そろそろレースだぞって教える合図みたいな意味合いもありますから。馬も長年やっているから分かるんですね。ブリンカーを付けたら坂路での行きっぷりも違いますしね。

高橋:楽しみですね。

畠山:ここからサマーシリーズを頑張ってもらおうかと。次も短い…北海道に持っていく事になるのか。

高橋:マイル戦を使われる事もありましたね。

畠山:そうですね。CBC賞を勝ってスプリント戦で結果を残したんですけど、その後のオーシャンステークスから訳の分からない出遅れ癖が始まっちゃったんですよ。これらは普通に出ていれば勝てたレースですからね。1番人気で3戦続けて出遅れて、どうしようかなっていう感じで。それで、出走も出来るし安田記念を使ってみようかっていう感じで行ったら無難なレースで7着になって。それからマイルや1400のレースにも使うようになりましたね。

高橋:出遅れ癖は直ったんですか?

畠山:はい。その後はスタートは大丈夫だったんですよ。そのCBC賞のあとの3戦だけだったんですよね。

高橋:不思議ですね。でも凄いですね、シンボリグラン。マイルチャンピオンシップでも3着に入るんですもんね。

畠山:ダイワメジャーとダンスインザムードっていう強い馬たちの次に来ていますからね。ただ、なかなかもうちょっとで勝てそうなのに勝てないっていう感じがマイルでもずっと来ていて。いつ走るか分からないというか、こちらとしてはいつでも走る状態にして出しているつもりなんですけど。若干気性が難しいところもあるので、あんまり言う事を聞いてくれないし(笑)、集中力が続かないですから短いところの方がいいかな、と思います。

高橋:なるほど。体重はほとんど変わらずに来ていますけども、今現在は何キロくらいありそうですか?

畠山:540キロくらいですね。それで競馬場に輸送をして530キロくらいでレースになると思います。輸送も何度もしていますし、問題ないです。

高橋:何かレースに向けて気になる点はありますか?

畠山:斤量が1頭だけ58キロなんですよね。その下に57キロもいませんよね?その辺がちょっと他と比べると「あれ?ハンデ戦なのかな?」っていうくらい差があって(笑)。51キロだとか53キロの馬もいますし。

高橋:最高で7キロの差がありますもんね。枠順に関して希望はありますか?やっぱり外枠の方が良いですか?

畠山:うーん、まあ今は開幕週だから、昔に比べれば影響は少ないかもしれないですけど、やっぱり何となく外枠の方が良い印象がありますね(笑)。

高橋:北村宏司騎手は久し振りの騎乗になりますけども。

畠山:もう何度も乗ってくれているし、大丈夫です。

高橋:分かりました。もう一頭のサチノスイーティーですが、今年転厩で先生の厩舎に来ましたね。

畠山:そうですね。元々は平井先生の厩舎にいて、関西の中尾正先生のところに移って、中尾先生の厩舎が定年で解散されるのでウチで預からせていただく事になりました。

高橋:厩舎に来た時はどんな印象でしたか?

畠山:さすがオープン馬っていう感じですよ。やっぱりオープン馬って、動きが力強かったり、乗り味がいいなとか勢いがいいなとか、何か良いところがありますからね。未勝利や500万の馬と比べると、普通に良く感じちゃうんですよ。

高橋:調教ではいかがですか?

畠山:攻め馬での動きも良くて、グランと比べても遜色ないなっていう感じです。さすがに短距離の重賞を勝つような馬だけあって、この馬も前進力がありますね。周りがみんな速い馬ばかり揃うアイビスで逃げられるだけあって、スピードも凄いです。

高橋:素晴らしい動きなんですね。

畠山:はい。ただ、それが勝っていた頃との比較が出来ないんですね。重賞を勝った頃のデキを知らないので、今の状態が100%の何割くらいになるのかがちょっと分からないですけど。

高橋:そうですよね。まだ厩舎に来てから2ヶ月くらいですもんね。そんな中で今回は吉田豊騎手という事で、以前乗った事のあるジョッキーで安心出来ますね。

畠山:そうですね。しかも勝っていますしね。良い印象も持っているでしょうから。

高橋:牝馬で6歳というと、力の衰えを心配してしまいますけれども…。

畠山:でもレース数はそんなにこなしていないですし、意外と長い休みがあったので、馬は元気ですよ。

高橋:(資料を見ながら)サチノスイーティーはダートでも結果を残していますね。

畠山:はい。交流でもメイショウバトラーの2着に入ったり、ダートオープンのエニフステークスを勝ったり。

高橋:ダートを使おうというお考えはありましたか?

畠山:ありましたよ。今回アイビスを除外になったら、その次にダート1200のNST賞でもいいかなって思っていました。無事にアイビスに出走出来るようなので、しっかり仕上げたいですね。

高橋:ちなみに二頭は、普段厩舎にいる時はどんな感じですか?

畠山:シンボリグランはじゃれて食いついてきますよ。向こうは遊んでいるつもりなんでしょうけど(笑)、こっちにしてみれば強烈に痛いですから。サチノは厩舎では大人しいですけど、馬場に入った時の切り替わりが凄いですね。調教でも行き過ぎっていうくらい走りますからね。だから落ち着かせるためにパシュファイアーを付けています。レース当日も返し馬の時までは付けておいてゲート裏で外そうかな、と。

高橋:分かりました。では最後に抱負をお願いします。

畠山:グランは最初のスピードが遅い馬で、スタートを切ってからグッとハミを取って、そこからグーッとスピードに乗っていく感じなので、乗り役さんとしては直線競馬の方が乗りやすいと思います。サチノスイーティーは良いスタートを切って、スピードを生かして行って欲しいですね。2頭とも短距離実績のある馬ですし、しっかりとした状態で出走させてあげられるようにしますので、皆さん応援よろしくお願いします。

高橋:応援しています。今日は有難うございました!

~シンボリグランの調教に騎乗している柴田未崎騎手に聞く~

高橋:初めまして。いつも競馬ラボのブログを読んでいます。

--:お忙しい中、いつもブログを更新していただいて有り難うございます。今日はシンボリグランについてお話を聞かせていただきたいと思って来ました。

柴田:ああ、今日のブログでも書きましたよ。

--:有り難うございます。ではこのインタビューと一緒に掲載させていただきます。

高橋:柴田さんはシンボリグランの調教を担当されていらっしゃいますが、どのくらいの期間になりますか?

柴田:6月21日に畠山厩舎に所属して、その前から乗っていますから、1ヶ月くらいは乗っていますね。前は引っ掛かっちゃってしょうがなかったらしいんですけど、最近は落ち着きが出てきましたね。前は普通キャンターでもワーッと行っちゃうような感じだったみたいですけど、今はたくさん乗れています。放牧に行ってリフレッシュしたのかもしれませんね。その前が結構使い詰めでしたから。

高橋:帰厩してからはまずダートで。

柴田:はい、ダートで乗ったんですけど、固いところで走った事が無かったのか、軽い挫石になってしまって。でも鉄橋を履かせたら良くなりました。

--:鉄橋ってどういう道具ですか?

柴田:蹄鉄の間にバーを入れて、地面と爪が当たらないようにするんですよ。それでも酷くなるようだと調教は出来ないんですけど、2~3日で内出血も引いたので問題は無いです。ただ、体重が減らないんですよ。乗ってはいるんですけど、まだちょっと重いかなっていう感じはするんですよね。

高橋:調教に乗っていてそう感じるんですか?

柴田:いや、調教に行けば動いちゃう馬だから、分からないですけどね。走り自体には重苦しさは無いんですし、先週ビッシリ乗ったんで「変わって来たかな」という感じはします。先週ビッシリやった分、今週は調整程度にしようかな、と先生とも相談しまして。坂路に行くとバーンッと行っちゃいますからね。半分操縦不能みたいな感じで(笑)。しかも540キロの体ですから体重で持っていかれちゃいますよ。

高橋:坂路の時計がエラー表示でしたが、乗った感じはどうでしたか?

柴田:結構速かったと思います。

高橋:乗っていてスピード感を凄く感じたりはされますか?

柴田:いや、スピード感は無いですね。そんなに速くは感じないです。

高橋:え、そうなんですか?走り方に関してはどうですか?

柴田:パワータイプですよね。力で持っていくっていう感じで、掻き込みも強くてトビが大きくて。それでワンペースという感じです。仕掛けてギュンッという脚を使う感じではないです。だからいざ放しても「あれ?伸びてるのかな?」という感じなんですけど、時計は出ているという。高級スポーツカーに乗っているような感じですね。全くスピード感がないです。この馬は凄いですよ。

高橋:乗っていて気持ち良さそうですね。

柴田:はい、気持ち良いですよ。でも、自分が乗っている感じでは「長い距離でダラダラッとした競馬が合うんじゃないかな」っていう感じの背中なんですよね。スプリンタータイプの瞬発力という感じでもないので。まあ、自分が乗った感じですけどね。

高橋:長い距離ってマイル以上ですか?

柴田:そうですね。乗った感じはそういう印象です。そんなに瞬発力があるっていう感じではないんですよね。しかもゲートも速い方じゃなくて。先週、ゲート練習をしたんですけど、全然速くないんですよね。「本当にスプリンターなの?」っていう感じで。ビュッと出るのかなって構えていたら“ポコッ”ていう感じで。

高橋:へー、速くないんですね。ところで、最近の美浦は暑いですけどカイ食いはいかがですか?

柴田:しっかり食べていますよ。この暑い時期は食べないとバテて力を発揮出来ないですから。

高橋:暑さに強い馬、弱い馬っていますよね。シンボリグランはどうですか?

柴田:そんなにバテている感じは無いですね。去年も2着に来ているぐらいですから。

高橋:そうですよね。今年も楽しみにしています。それではレースに向けて一言お願いします。

柴田:ハンデ58キロと体重が減らない事が気になりますけど、やれる事はやりました。調教で乗っていてもたくさん写真を撮られるように、注目されている馬なのでみっともない競馬も出来ないので(笑)。去年の2着の時には乗っていないので、比較は出来ないんですけど、しっかり乗り込めてまずまずの仕上がりになっていると思います。年齢は全く感じさせないし、まだまだやれそうな感じなので頑張って欲しいです。

高橋:応援しています。有難うございました!




畠山 吉宏

1962年静岡県出身。
1999年に調教師免許を取得。
2000年に厩舎開業。
JRA通算成績は147勝(09/7/15現在)
初出走:2000年 3月 4日 2回 中山3日  1R タヤスグレーシャー
初勝利:2000年 3月 5日 2回 中山4日  9R マイネルトラスト


■主な重賞勝利
・05年CBC賞   シンボリグラン号
・04年共同通信杯 マイネルデュプレ号
祖父がカネケヤキ、カネヒムロ、カネミノブ、カネミカサなどの名馬を輩出した青森牧場のオーナーという環境で、幼い頃から馬と親しむ。助手時代にヨーロッパ研修を経験。ヨーロッパの良さを参考にしながらトレセンの環境に適応する調教方法を模索、実践する。





柴田 未崎

1977年栃木県出身。
1996年に美浦・高木嘉夫厩舎からデビュー。
JRA通算成績は80勝(09/7/15現在)
初騎乗:1996年3月 2日 1回 中山3日 3R ヒサゴシズカ(12着/16頭)
初勝利:1996年6月16日 3回 中山2日 1R マイネルダンケ


兄の柴田大知騎手と同年にデビューし、JRA史上初の双子ジョッキーとして話題となる。現在は障害レースを中心に活躍を見せている。また、競馬ポータルサイト・競馬ラボ内の「トレセンLIVE!」にコラムを寄せており、現役JRAジョッキーの日常生活をファンに伝えている。




高橋摩衣

生年月日・1982年5月28日
星座・ふたご座 出身地・東京 血液型・O型
趣味・ダンス ぬいぐるみ集め 貯金
特技・ダンス 料理 書道(二段)
好きな馬券の種類・応援馬券(単勝+複勝)

出演番組
「Hometown 板橋」「四季食彩」(ジェイコム東京・テレビ) レギュラー
「オフ娘!」(ジェイコム千葉)レギュラー
「金曜かわら版」(千葉テレビ)レギュラー
「BOOMER Do!」(J SPORTS)レギュラー
「さんまのスーパーからくりTV」レギュラーアシスタント


2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。 明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。 2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。 いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。