蛯名正義騎手×高橋摩衣
2009/10/21(水)
蛯名正義騎手×高橋摩衣
蛯:だから、春先も順調さを欠いたけども、我慢して使わないで来たから、ダービーでもあそこまで走れたと思いますし、秋もこうやって立ち直って来ているんじゃないかな。
高:過去のローテーションを見ると京成杯の後、皐月賞前にもう一回使いたくなってしまうんじゃないかと思うのですが。
蛯:あの頃はまた調子がもうひとつだったから「東スポ杯を勝ってもう賞金も足りているんだし、絶対にレースに使わない方がいいですよ」って言って。そうしないとどのレースで使いたいか分からなくなっちゃうから。トライアルを使いたいのか、ダービーを使いたいのか。トライアルを使う事によってダービーを使えなくなったら本末転倒なので、どこで使いたいかっていうところをハッキリさせないと、目標を見誤っちゃうから。
高:京成杯の後に何かレースを使ったら、その後にも影響が出ていたかもしれないんですね。
蛯:そう。順調なら当然使ってもよかったんでしょうけど。やっぱり、皐月賞とダービーは使いたいっていう気持ちはあったから。期間的にも2ヶ月半とかあったんで、そこまでに状態が戻ってくれれば、と。皐月賞は何とか間に合ったっていう感じでしたよ。ダービーの時は、皐月賞を使って状態が上がっていったから。だからダービーの重馬場でもあれだけ走れたんだんじゃないかと思います。
高:今は成長過程なんですね。
蛯:そうそう。今、ここで無理をしてしまうと…、っていう思いはあります。やっぱり、まだ芯が入っていないし、まだ3歳ですから。来年再来年と時間が経っていけば、体も気持ちもいろんな意味で大人になっていくでしょうし。
高:なるほど。2戦目の東スポ杯から今まで乗ってきた間に、何か変化はありましたか?
蛯:いやー、あんまり極端に変わって来たところは無いですね。最初の頃から仕上がっていたというか。良くも悪くも、ずっと同じ感じで来ている感じです。体もあんまり大きい馬じゃないし、ああいう気性だから自分で体を作っちゃいますし。
高:最初からかなり完成されていた、と。
蛯:そういうところがあるんで、ここからグングン変わっていくかというと、ちょっと何とも言えないなって思います。気持ちが前向きになって、一生懸命にやってくれればいいなっていう感じです。
高:ナカヤマフェスタの良さっていうのはどんなところだと思いますか。
蛯:勝負根性が凄く良いですよね。併せ馬をしたら本当に良いんですよ。やっぱり併せ馬をすると、歯を食いしばりますし。競って強い馬は、そういう感じなんですよ。人間でもグッと踏ん張る時って歯を食いしばるでしょ?馬もそういう風に力が入りますからね。行く気になった時って、やっぱりそうなります。本気じゃない時はホワホワしていますけど。
高:そうなんですね。
蛯:近くに馬が来れば火が付くというか。だから東スポ杯でも、ブレイクランアウトが後ろから来てもあのままずーっと頑張りますよね。
高:勝負根性が魅力という事で。ちなみに蛯名騎手は以前マンハッタンカフェで菊花賞を勝っていますね。
蛯:おかげ様で。
‐:早い段階から結果を出していたナカヤマフェスタと違って、マンハッタンカフェには上がり馬というイメージがありますが。
蛯:いや、あの馬は上がり馬というか、最初から能力が高いと思ってずっと期待していたんですよ。ただ、春はなかなか体調がね…。輸送すると20キロ近く減るくらい馬が弱くて、順調に使えなかっただけなんですよね。だから上がり馬っていうよりは、元々は高い素質があるのに、芯が入らなかったというか体つきがまだまだ子供だった事なんかもあって走れなかっただけですから。
高:かなり早い段階から期待されていたんですね。
蛯:新馬の頃から絶対に走るな、相当やれる馬だと思っていたから。たまたま走った時期が秋の菊花賞だったっていうだけで。距離は絶対に長い方が良いだろうなっていう気持ちはありましたけどね。
高:じゃあ菊花賞は絶好の舞台だったんですね。その後の活躍も凄いですよね。
蛯:持っている素質が凄かったですからね。テイエムオペラオーやメイショウドトウ、ジャングルポケットも負かしている訳ですから。最初はちょっと体が弱かったんでしょうね。ソエが出たり腕が痛かったり、そういう事がありましたからね。
高:ではマンハッタンカフェに比べれば、ナカヤマフェスタはいくらか順調に来ている感じで。
蛯:ナカヤマフェスタは、そういう体の心配はありませんから。ただ、気持ちが…。行ったり止めたり、前向きでなかったり、機嫌が悪かったりとかがありますから。そういう事をさせないように気分良く走らせれば、少しはチャンスがあるんじゃないのかな、と思っています。
高:じゃあ相手がどうこうというよりも。
蛯:この馬の力を出せればいいなっていう気持ちがありますから。
高:それであとは結果がついてくれば、と。
蛯:そうですね。三冠の最後だから、良い形で挑めたらいいな、というのが正直な気持ちです。
高:分かりました。ではそろそろお時間ですね。蛯名騎手、今日はお忙しいところありがとうございました。
蛯:ありがとうございました。
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■最近の主な重賞勝利
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毎年関東リーディングの上位を賑わすトップジョッキー。菊花賞は過去9回参戦し、01年マンハッタンカフェ号で優勝。09年はトライアル・セントライト記念の勝ち馬ナカヤマフェスタとコンビを組み、10度目の菊花賞に挑む。 |
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■出演番組
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2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。 |