フィリップ・ミナリク騎手インタビュー(3P)はコチラ⇒

サイン求める日本のファンにビックリ

-:日本に来るまで、日本の競馬ファンに対してどのようなイメージを持たれていましたか?

ミ:日本に来る前も、日本には凄いファンがいるというのは何となく分かっていました。ターフィーショップとか、色んな競馬グッズを売るお店があることも知っていて、その繋がりで熱いファンもいるだろうと想像していました。でもまさか短期免許で初勝利を挙げた時、ファンの皆さんがサインをもらうために私を待っていたりするとは思いませんでした。競馬場から移動する時、駅でサインを待っている方がいることも予想以上です。私自身は楽しんでいます。ここまで素晴らしく、熱いファンがいることは凄いことです。

-:ドイツの競馬ファンはそういうことはないのですか?

ミ:残念ですが、ないんですよ。シュタルケがデインドリームで凱旋門賞やキングジョージなど世界最高のレースをドイツの馬で勝っても、道や競馬場でサインをくださいと言われることはないんです。サインや、一緒に写真を撮りたいとか、とにかくそういうファンの温かさがとても嬉しいです。日本のジョッキーがどう考えているかは分かりませんが、自分にとってはファンの皆さんと一緒に色んな行動が出来るということに感謝しています。マカオやシンガポールなど他のアジアの国でも乗りましたが、日本のファンの方が平和ですよね。他の国とはファンのフィーリングが違います。素晴らしいです。

ミナリク騎手

-:ファンの皆さんはミナリク騎手の好きなところとして『常にパドックで笑顔』なところを挙げています。

ミ:本当にいつも楽しんでいるからでしょうね。中山競馬場は初めて行きましたが、パドックが本当に素晴らしい。東京に比べるとちょっとコンパクトですが、綺麗な階層がすごく気に入りました。笑顔が出ているというのは私自身が楽しんでいるからでしょう。

-:競馬場でミナリク騎手を見かれると必ず笑っていますね。

ミ:短期免許ですが、JRAのジョッキーになれたことは本当に夢のようで、だからこそ嬉しいんです。どの馬でもどのようなレースでも喜んで乗ります。今は本当に楽しいです。

-:もし日本でずっと乗ってくれと言われたら、ずっと乗ってみたいですか?

ミ:その答えは迷うことなくYes!とりあえず奥さんに相談しないといけないけど(笑)自分としてはオファーがあれば乗りたいですね。

-:日本に来る前、日本の競馬場についてどのようなイメージを持たれていましたか。

ミ:最初来る前にも、日本のメディアや色々なレースのビデオを一杯観たのですが、なかなかスタンドが見えなかったんですよ。競馬場のコースが若干幅が広いとか直線が長いとか、そういうのは見えたのですが、周りの状況が何も分からなくて。初めてジャパンCに参加して激しく感動したのですが、それは東京のジャパンCだからかな、というのもちょっと頭にあったんです。でも今回、京都に行っても、中山に行っていても、この間川崎に行っても、それぞれスタンドが素晴らしくて、応援の雰囲気も素晴らしくて、更に感動しました。川崎競馬場もとても綺麗なスタンドで、ドイツやフランスのメイン競馬場とも良い勝負が出来るほどです。とにかくファンや設備、馬場の管理、これらは毎回素晴らしいと思います。

「日本の競馬は出走馬全てに勝つチャンスを与えているし、観る人や馬券を買う人にとっても良いと思います」


-:ドイツの競馬よりも乗りやすいですか?

ミ:日本の場合は競馬のスタイルが、例えばペースや頭数も馬場も含めて、結構強い馬に勝つチャンスが多くて、フェアな結果が出ますね。海外に行けば、とてもスローペースになってしまって、最後ヨーイドンの競馬になると、一番強い馬でも勝てない時が日本よりも多いと思います。競馬の流れで言うと日本の方が綺麗というかスムーズで、一番強い馬が結果を出せますね。

-:ヨーロッパの方が日本よりも馬群が密集して、タイトで厳しいレースが多い感じはします。

ミ:タイトな時はありますね。まあ向こうのG1では5~6頭しか出ず、スローペースになると馬の能力が出せなくなる時もあります。日本の場合はペースが速くなくてもまだマシで、馬の能力が出せるような競馬が多いと思います。

-:日本ではペースメーカーがいません。戸惑う時はありますか?

ミ:ペースメーカーがいなくても日本の競馬はやっていけるから凄く良いですね。どうしてもペースメーカーは勝てないから、賭けるファンのためにもあまり良くないかもしれません。日本の場合は出走馬全てに勝つチャンスを与えているし、観る人や馬券を買う人にとっても良いと思いますよ。

-:素朴な疑問なのですが、そもそもドイツにダートはあるのでしょうか?中山ダート1200mのような芝スタートのダート短距離コースはドイツにはあるのですか?

ミ:芝スタートのダートレースはドイツでは間違いなくないです。世界でもなかなか見ませんね。ドイツにもダートの競馬はあるのですが、大きいメインの競馬場ではないんです。どちらかと言うと、地方よりももっとクラスが下がる競馬場しかないので、狭くて立派なコースはないですね。ダート自体は乗ったことはありますよ。

フェブラリーSがダートG1初騎乗!

-:フェブラリーSのサウンドトゥルーが、ダートG1初経験だったのですか?

ミ:そうですね。ドイツのダート競馬は重賞もないので、もちろんG1も初めてでした。

-:普段レースを観ていて、スタートが上手なジョッキーだという印象がありますが、スタートは得意なのでしょうか?

ミ:正直自分ではそこまでスタートが上手ではないと思っていたのですが、今のところ日本のダート1200mでもスタート良く出れているので良かったです。

-:共同通信杯は好スタートを決めてエイムアンドエンドを3着に導かれましたね。

ミ:彼はこれからも期待出来る馬です。確かに枠も良かったですが、ゲートセンスがあって、ポジションを取りに行けるタイプの馬だったので、それプラス良い枠で前に付けられたのが良かったですね。

-:エイムアンドエンドのお父さんはエイシンフラッシュ。フラッシュのお母さんがドイツのセントレジャーを勝っているムーンレディ。そのお父さんはドイツの名馬プラティニと、とてもドイツに縁のある馬でしたね。

ミ:社台グループには繁殖として、私が乗ったことがあってG1を獲っている馬が3頭もいるんです。ナイトマジック、サロミナ、デインドリーム…。そういえばデインドリームはG1には乗っていなかったけど、彼女がブリーズアップのトレーニングセールに上場された時に乗っていたんですよ。9000ユーロ(日本円で約110万円)でした。

-:当時からとても素質のある馬だったのでしょうか?。

ミ:最初は全然ダメ(笑)。一瞬、能力がないと思いました。見た目も良くないし、みんな買うのを避けようとしていましたよ。ただそれからシールゲン厩舎で活躍するようになって、私の人生においてとても大きなインパクトを残してくれました。乗っているうちに自分にも自信が付いてきて。素晴らしい出会いでした。

ミナリク騎手

サウンドトゥルーとのコンビで18年フェブラリーS(G1)に参戦

-:ミナリク騎手はどちらかと言えば、先行馬の方がお好きなのでしょうか?

ミ:どちらかと言うと、良いペースの流れで後ろから差す競馬の方が好きです。

-:サウンドトゥルーはまさにそういう馬でしたね。

ミ:ええ、確かに。サウンドトゥルーというG1を3勝もしている馬に騎乗することができて、とても嬉しかったです。1600mはこの馬にはちょっと忙しく、最初のスタートが芝で後ろからの競馬になりましたが、それでも一生懸命走ってくれて、馬にはとても感謝しています。

-:日本のG1馬に乗るのは、サウンドトゥルーに乗るのが初めてでしたね。

ミ:初めてでしたね。最後にならないように頑張りたいと思います(笑)。

-:サウンドトゥルーに乗ってみて、実際どんな馬でしたか?

ミ:デインドリームと同じように体はそこまで大きくないですが、ハートが強い。凄く勝ちたいという気持ちが強くて、もしかしたら生まれつきの能力は、体の造りを含め他の馬に負けているかもしれませんが、ハートと一生懸命頑張る点は、私と同じように誰にも負けないという雰囲気を持っていました。

特別勝ちで大喜び「ドイツのG1を勝ったみたい」
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