'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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今週はシャーガーCでイギリス遠征!ヨーロッパ初騎乗で勝ち星ゲットなるか!?
2017/8/10(木)
やっぱり香港が良い経験になっていますね。乗ってみたらやっぱり競馬は競馬で、馬も馬。そんなに変わらないので、自分の持っているものを、自分のパフォーマンスができれば良いなと今は思っています
-:アスコット競馬場で行われるシャーガーカップへの出場を控えておられるところですが、今回は2カ国目の遠征となります。まず、決まった時の心境はいかがでしたか?
戸崎圭太騎手:もともとヨーロッパには行きたいという気持ちは強かったので、こうやって招待で行けるというのは光栄ですし、良いチャンスをいただいたと思います。
-:のっけからこんな質問ですが、招待だとやっぱりお金は掛からないのですか?
圭太:香港は掛からないのですが、ヨーロッパは掛かりましたね。ホテル代だけは負担してくれるそうで、事前に「それでも良いか?」という打診もありましたよ。ホテルから競馬場までは送り迎えしてくれるようですが。
-:あとは乗って稼げたら。
圭太:そうですね。ただ、詳しくは調べていないけれど、賞金も安いですね。
▲香港に続き海外での騎乗は2カ国目となる
-:そう考えたら、やっぱり日本というのは?
圭太:幸せですよね。本当に良いところで乗っているなと。
-:ファンがそれだけ多いから、その賞金体系が成り立っているのかなと。シャーガーCというのは、ファンがジョッキーと触れ合える環境だなんて話を耳にしました。
圭太:その日もシャーガーCしかやらないみたいですね。6レースだけでその中の5つ乗ると。逆に、シャーガーCに乗らない人は乗っていないので、当日は誰もいないはずなんですよ。できれば、ヨーロッパの騎手同士で乗っているレースの雰囲気も味わいたかったんですけどね。各国の人でも初めて乗る人もいるだろうし、香港みたいな感じになってしまうので(苦笑)。それでも、その競馬場で乗れるというのは嬉しいことですけどね。
-:その日以外はアスコットに観に行かれたりするのですか?
圭太:分からないですね。個人的には行かないのですが、おそらく事前に紹介セレモニーといった式典があるじゃないですか。それがどこなのかはまだ把握していないのでね。
-:レースについては、初物づくしですが、アスコットについては調べましたか?日本が平均的なのかもしれませんが、変形で、日本にはなかなかないような形をしているなという印象を受けました。
圭太:まあ、何となくですが、調べました。でも、馬場を直したみたいですもんね。前ほどではなく平らになったと書いてありました。
▲シャーガーカップの舞台となるアスコット競馬場
-:この前のキングジョージを観ていたら、馬場は重そうに感じました。
圭太:普段からあんな感じなのかなと。決して日本みたく硬くは感じないですよね。
-:ヨーロッパのジョッキー同士のレースを観るということは一つあると思いますけど、他に楽しみにされていることはありますか?
圭太:いや、まずはそれですよね。ヨーロッパの競馬が観られるというのはすごく楽しみです。僕自身も、色々なコースのレースに乗れるという点は簡単なことではないですからね。香港でも4つだけだったので。
-:小倉も初騎乗でしたが、海外でも初めて乗る競馬場に対しての感覚、面持ちはいかがですか?
圭太:事前に調べて行きますけど、馬も分からないですし、基本は感性で行きますね。でも、今まで何か1つだけ勝ったりするんですよ。地方の時からそうなのですが、ポンと行ってポンと勝つところが自分にはあるので、それは今回も活きればなと。
-:5回あればチャンスもあるかもしれないです。
圭太:そうそう。そんな甘くはないと思いますけど。
-:最高峰の舞台ですからね。色々とレース映像は観られましたか?
圭太:いや、まだ観ていないですね。でも、やっぱり香港が良い経験になっていますね。香港に初めていった年は不安感ではないですが、どんな雰囲気なんだろうという意識がすごくありました。でも、乗ってみたらやっぱり競馬は競馬で、馬も馬。そんなに変わらないので、自分の持っているものを、自分のパフォーマンスができれば良いかなと今は思っています。
香港でも、一昨年使えたモノ(馬場)が去年は使えなかったので。ダメと言われたらダメなので、そこはフィーリングですね
-:香港の時で例えると、初めて行った年に馬具は日本にいる時と同じモノで臨まれたのですか?
圭太:馬具はそうですね。ただ、「使える・使えない」が海外の方が厳しいので、ステッキはなかなか自分でシックリきたのを使えないですね。ステッキはまず、日本で使っているやつは使えないです。
-:日本がパッド付きになったというのは、海外に合わせてやったのかなと思ったのですが、それとも違う?
圭太:そうなんですけど、日本は少し緩い感じで。細かい規定は把握していないのですが、向こうはちゃんとコレと限定されているんですよ。
-:じゃあ個人のものではなく、メーカーによって決まっていたり?
圭太:そうです。今回は向こうで買うか、借りられたら借りようかなと思っています。
-:向こうの方がある程度共通したものを、どのジョッキーも使っていると。
圭太:そうですね。香港でも、一昨年使えたモノが去年は使えなかったので。ダメと言われたらダメなので、そこはフィーリングですね。
-:そこら辺は、ジョッキーの感覚に委ねるとして、譲ると。
圭太:そうですね。そういうものだと思って。まあ、その時くらいなら僕は大丈夫です。それを追求しちゃってもね……。
-:デメリットにしかならない訳ですからね。他の馬具に関してはないですか?
圭太:プロテクターもダメですね。プロテクターもヘルメットもけっこう厳しくて、プロテクターは向こうで買う感じです。ヘルメットも一応持っていきますけど、どうなのかなと。毎年というか、けっこうコロコロ変わるので、ちょっと見てもらわないと分からないですね。
-:調教でも日本のジョッキーが新しいもの海外製のものを使ったりされていますよね。
圭太:そうです、そうです。厳しいのはヘルメット、プロテクター、ステッキ、あとはこっちで使っているものを使いますね。
-:最近、レースでもよく使われている漢字入りのパンツはどうされますか?
圭太:それは持っていかないです(笑)。今回は支給されないでしょうが、香港では支給されて、逆にあれを着なきゃいけなくて。
-:最近こっちでも敢えて履かれているのかなと。
圭太:そうですね。敢えてというか、生地がけっこう気に入っていて。別に名前はいらない(笑)。ちょっと取りづらいんで、そのまま付けていますね。
-:名前入りを敢えて着ているのかと、たぶん勘違いされていますね(笑)。
圭太:夏はすごく良い生地なんですよね。海外製のもので。薄くてサラサラしているんです。
一番は食べ物ですかね。こっちでこれだけ気を付けているし、甘酒もちょっと飲めなくなる。他にもいくつか毎日飲んでいるものもあるので、それが飲めなくなるなとは気になっています
-:香港の経験が活きそうな今回ですが、いま心配になっているコトはありますか?
圭太:1人で行くとなると不安になるのでしょうが、向こうにもJRAの職員さんがいてくれますし、一番は食べ物ですかね。こっちでこれだけ気を付けているし、甘酒もちょっと飲めなくなる。他にもいくつか毎日飲んでいるものもあるので、それが飲めなくなるなとは気になっています。今回は持っていかないので。
-:日頃から食生活にも人一倍気を遣われているだけに、逆に滞在期間中、ルーティンが狂ってしまうわけですよね。ちなみに、テレビ番組でも紹介されていた甘酒は白いパッケージのモノでしたね。
圭太:八海山の会社のものですね。この間、新潟に行ったらそれを頂いて、よく見つけてくれたなと。何か嬉しかったですね。
▲真夏の好調を支えてきた食生活。イギリスでは…?
-:個人的な意見で申し訳ありませんが、甘酒はちょっと飲みづらい味でよく飲まれるな……と。
圭太:僕も正直、好きではないですよ。健康に良いから飲んでいるだけで。
-:滞在は1週間ですか?
圭太:そうですね。1週間ですね。もう免疫はできているでしょうから、1週間くらいなら、という気持ちで行ってきます。
-:逆に、今までやって来たことを崩したことで、何か精神的にマイナスにならなきゃ良いですけどね。
圭太:精神的には大丈夫です。ですけど、体がどう変化するのかなというのは……ね。逆に、それも経験だと思って良いのかなと思います。それがなくちゃ生きていけない、調子が良くないというんじゃ、逆にダメじゃないですか。
-:これがないと寝られないと、そういう訳じゃないですからね。
圭太:そうですね。ただ、現地での食べ物がね。それは心配。米もないじゃないですか。基本、食べているのは米なので。
▲香港に続き勝ち星を挙げることができるか?
戸崎圭太騎手マネージャー:携帯ごはんは持っていった方が良いよ。
圭太:そこまでは。別に食えなくはないんだから、腹が減ったら何か食うよ。
マネ:海外旅行に持っていく人が多いと聞いたことがあるよ。
圭太:ああ、そう?へぇ~。
-:イギリスもアイルランドも、おそらくパンが主体という感じですからね。
圭太:基本ですからね。パスタもね。まあ、肉を食っていようかなと(笑)。
-:良い経験になればいいですね。
圭太:そうですね。ひと回り大きくなって帰って来られたらな、と思っています。
-:食生活が変わって、体重が妙に増えたじゃなく……。
圭太:ハハハ、そうですね。
-:頑張ってきてください!
圭太:ありがとうございました。
(聞き手:競馬ラボ・小野田)
※次回は8月18日(金)に更新予定です!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成し、NARとのダブル1000勝は史上4人目の快挙を挙げた。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。