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第3章


-:これから「夢」ということで、サトノダイヤモンドの将来について伺いたいのですが、池江先生もかねてからおっしゃっておられるのは来年の凱旋門賞で、そこから逆算してローテーションを組んでいくということですね。里見さんにとって凱旋門賞はどんなレースだと位置づけられていますか?

里:やっぱり色々な人に聞くと「本当はヨーロッパのレースで、絶対に凱旋門賞が一番ではない」と言う人もいるんですよね。イギリスのキングジョージ(6世&クイーンエリザベスS)であったり。しかし、日本人にとっては、海外のレースの中では、賞金額だけで言えばドバイなどの方が大きいですが、歴史や格は凱旋門賞がいわゆる世界の中で一番大きなレースという認識はありますよね。

里見オーナー

-:色々なステップとして、菊花賞を制したサトノダイヤモンドが次はどこに出るかというのが、ファンは興味深いのですが、現時点で明かせる範囲で教えていただけますか?

里:これは、私としては有馬記念で。ジャパンCはちょっとローテーション的にキツいので、有馬記念に行って欲しいなと。

-:今のところは香港とどっちに行くかという報道になっていますね。

里:僕は、悪いけど「香港は嫌だ」と言っているんですよね(笑)。

サトノ

-:そうだったのですね。有馬記念とお考えの思いの丈を聞かせてください。

里:まず一つは、日本の国内で「グランプリ」と言われるくらいのレースですから。それから、僕は香港にあまり良い思い出がないんですよ。アラジン(香港Cで11着)、クラウン(クイーンエリザベス2世C12着)も行ったのですが、みんなボロ負けして、しかもクラウンの時なんかは、僕も行ったんですよね。そうしたら、雨がバンバン降っているし、湿度は100%、気温は31~32℃あって、その場にいて自分も息苦しいくらい蒸し暑くて、馬を走らせるのはかわいそうだと。今の季節は香港もちょっと涼しいから良いかもしれないですが、何かそういうことがあって、香港まで連れていって、また負けて帰って来てもね。それは、勝てば良いですが、まずは日本の中でG1を。少なくとも凱旋門賞に行くまでに、あと1つでも2つでもG1を獲った上で行ってくれるのが一番良いなと。そういう意味では、有馬記念がローテーション的にもちょうど良いんじゃないかなと。

-:菊花賞から直行というのは、ちょうど良い間隔のローテーションですね。

里:それと、斤量も3歳ですからちょっと少なくて済みますし。

-:古馬との初対決を、このまま行けばおそらく有馬記念で迎えることになると思います。「対古馬」に関してはもちろんドンと来い、というお気持ちだと思うのですが、その辺りに関してはいかがですか?

里:ただ、古馬も今はキタサンブラックとかゴールドアクター、牝馬ではマリアライトなどいると思うのですが、ドゥラメンテもいなくなっているし、キタサンブラックも強い馬ですけど、正直に言って、そういう意味ではチャンスがあるのでは?そうヒケは取らないのではないかと思っているんですけどね。

里見オーナー

-:しかも、もうサトノダイヤモンドは競馬場とかコースを選ぶ馬じゃないというような強みもありますよね。

里:あの馬は重馬場も全然関係ないです。まあ、デビューの時も最初は重馬場で、次は稍重で走って、変にノメったりもしないし、平気で普通に走っているんですよね。2歳の時にそういう経験もしているし、もちろん良馬場ならそれに越したことはないですが、そういう意味で強みがあり、それからスタートも悪くないですよね。

-:抜群に上手いですよね。

里:上手いですし、それでスッと流れに乗って、イレ込まないで走れるし、自在性があるというんですかね。ある程度、騎手の思った通りに走ってくれるし、最後の脚もあるし、そういう意味ではここは心配だとか、あんまりそういうことがない馬だと思うんですよね。

-:走り方が綺麗だから、脚元の不安も聞いたことがないですよね。

里:一完歩、一完歩も大きいですし、僕がこの前ビックリしたのは、3000m走ってきて帰ってきたけど、全然息も切らしていないんですよね。全然フーフー、ハーハーも言わないし、ケロッとした顔で戻ってきて、“いや、この馬はものすごく心肺機能が強いのだな”と思ったんですけど。

サトノ

-:そうなると、この1~2年はサトノダイヤモンドと共に、一喜一憂するようなオーナーライフになると思うのですが、ダイヤモンドのことを抜きにしても、今後まだまだ色々な若駒も所有されていますし、まだまだ獲りたいレース、目標がお有りだと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか?

里:それは、言えば金子(真人)さんのように、いつの世代になるか分からないけど、もちろん3冠を獲れるのであれば、獲れれば良いかもしれないし、凱旋門賞もそうだし、それから色々なG1を獲っていけるような馬が出てくれば、それに越したことはないと思いますよね。まあ、そうは上手くいかないと思いますけどね。

-:やはり勢いとかもありますし、ダイヤモンドからグッと上向いて行けると素晴らしいですね。

里:この間のワンツーフィニッシュもそうですし、ルパンがあそこまで2着に突っ込んでくるとは思わなかったのですが、そういう意味ではちょっと少し運が開けてきたのかな、という気はしますね。

-:まずはどの馬も、無事にエントリーして全力を出し切れるようなレースを。

里:でも、この間のクラウン(天皇賞秋14着)なんて、堀調教師が首を傾げていて「何であんなになってしまうのだろうか、よくわからない」と、自分で言っているんですよね。「馬の調子は決して悪くなかった。要は走る気持ちがない」と言いますよね。

-:馬はしゃべらないから、メンタルは難しいところではありますけどね。もし馬と話が出来たら、どんなことを話してみたいですか?

里:「もうちょっと頑張ってくれよ(笑)。もうちょっと一生懸命やってくれなきゃ」とね。

-:分かりました(笑)。里見治オーナーの声を愛馬たちが聞いてくれることを祈って、今後のご活躍に期待しております。今日は長い時間ありがとうございました。

(聞き手=水上学 構成=競馬ラボ・小野田)

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