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第4章


-:競馬って負けることのほうが多いもの。完璧がないから難しいですよね。

森:ええ、僕は負けた方ばっかり覚えています。

-:勝ち負けだけではなく、勝っても乗り方を失敗したというレースもあれば、負けても上手かったというレースもあるわけですよね。

森:けっこうそういうのはありますよ。1日8鞍も乗っていれば、2つ3つは“あそこでああすればな”というのは……。それは、ずっと続くことだと思うので、それがゼロになるジョッキーはいないと思います。自分の中ではそう口にしない人もいると思いますが、それは絶対に誰しもにあることですよ。そういうのを口に出すか、出さないかという違いはあってもね。

-:周りで観ていても、どんなトップジョッキーでも1日の中で、“ああ~、ここでミスしているな”というのは分かるわけですよね。

森:そういうのは分かりますね。競馬って、もちろんミスしても勝つ時がありますしね。でも、僕は勝ったら忘れちゃう(笑)。ミスしても、勝てば“ああ、良かった”と。でも、負けて、どうこうというレースはずっと引きずって、そういうレースの方がずっと覚えていますね。

-:勝つことが清涼剤みたいなのですね。

森:やっぱりそうですよ。勝てないと落ち込むし、絶対に勝てない期間もあるので、その辺で上手く自分の気持ちをコントロールするかなど、そういうのも仕事と言えば、仕事ですね。そこでドンドン落ち込んでいってもしょうがないので。勝ったら喜ぶだけ。それで忘れちゃうので、それでスッキリです!

森泰斗

▲先日行われた浦和のニューイヤーCではヒガシウィルウィンでV

-:4年前は「馬のリズムを大事にする」ということを騎乗のテーマに挙げられていたのですが、その変化はありますか?

森:もちろんそれもすごく大事にしています。やっぱり南関の競馬だと、割と短い距離も多いし、色々と気を付けるところがありますが、基本的なことながらも、スタートや位置取りなど、前以上に注意を払うようになりました。でも、多少、馬を焦らせても、パパッと位置を取ってしまった方が良い時もあるし、逆に、それでダメになる場合もあるし、正解が分からないですね。

とはいえ、その4年前より勝つための「引き出し」が増えていると思うので、それをこっちから、こっちからと開けながらレースをしている感じですね。こっちじゃなかったかなということもあるし、上手く行く時もあれば失敗する時もあるという感じです。

-:バラエティで幾つかのドアのどちらかに入ったら、白い粉や泥沼に落ちるかどうか、みたいなことがあるということですね。

森:そうですね(笑)。それの繰り返し。取り返しのつかない場合もあるけど、もう1回ドアがある時もあるし、それで復活する時もあるし。

-:瞬間に考えなければならないというのは難しいですよね。

森:そうですね。だから、あの時はこうだったからこっちだと決断する時もありますし、改めて経験は大切だなと最近思いますね。まだまだこれからですが。


「東京ダービーは勝ちたいですね。東京ダービーを目指して、圭太も何回も勝っているからね。4回か……。的場さんですらゼロだから」


-:ジョッキーとして最も充実できる時はまだまだ先だということですね。

森:充実期にソロソロ入ってきたのかな……。いや、分からないです。40歳くらいになって、あと5年後くらいに、今が一番良いなと思うかもしれないし、いつが充実した日なのかは。

-:完成期へ向けて、来年に向けての抱負をいただけますか?

森:東京ダービーは勝ちたいですね。東京ダービーを目指して、圭太も何回も勝っているからね。4回か……。的場さんですらゼロだから。

-:30数回負けているということですからね。

森:やっぱり東京ダービーが一番の目標ですかね。僕が勝てないのなら的場さんに勝って欲しい(笑)。

森泰斗

-:そして、最後に。JCイベントでお客さんの質問が多かったのは「JRAに移籍は?」という声が多々あったのですが。

森:いや、まだ僕なんか行ったところで……。行くとしたら、こっちでダービーを4勝してから行きます。

-:あながちゼロではない訳ですね。

森:まあ、どうですかねぇ。ちょっと分からないです。

-:ありがとうございました。

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