ルーカス

▲ネオリアリズムと併せた、モーリスの全弟ルーカス(外)。モレイラ騎手でデビュー勝ちを狙う

今週は札幌でPOG人気馬が続々登場。まずは土曜日から見ていく。

札幌芝1500m戦では、ミスエルテの半妹ミカリーニョ(牝2、美浦・木村厩舎)がデビュー。当初は1800m戦を予定していたが、気性を考慮し距離短縮してきた。調教も気性を考えたか1週前は(以降も調教は主に1週前のもの)函館ウッド5F71秒台と軽いもの。直前にどれだけ時計を出してくるかで、現状の精神状態も分かるのではないか。最終調教も軽いようだと、ちょっとレースが心配になる。

話題の血統馬がイルーシヴグレイス(牝2、美浦・堀厩舎)。一つ下の全弟は昨年のセレクトセールで3億円超え、二つ下の全弟は今年のセレクトセールで6億円超え(いずれも税込)と、びっくりするような高値で落札された。このおかげでイルーシヴグレイスの注目度も大きく増している。ただ現状は調教の動きも物足りなく、完成度は低いようだ。この状況でデビュー戦を勝つようなら大物だが。

スズカローレル(牝2、栗東・橋田厩舎)は、半兄にオープン馬スズカデヴィアス(4勝)がいる。調教時計は目立たないが、陣営は「走る雰囲気を持っている」と期待をかけている。ダノングレース(牝2、美浦・国枝厩舎)は、母がイタリアオークス勝ち馬で、セレクトセール8208万円(税込)。それほど強い調教はしていないが、内容は悪くないようだ。

新潟では2000m戦。ブリスフルデイズ(牝2、栗東・吉田厩舎)はマイル戦を予定していたが、もう少し距離があったほうがいいということで、今週の2000m戦に延ばしてきた。そのぶん調教量も増えて仕上がりは進み、CW6F82秒台、5F66秒台、上がりも12秒前半を余裕をもってマーク。いい状態でデビューを迎えられそうだ。

ミレフォリウム(牝2、美浦・中舘厩舎)は、母の兄にダービー馬ロジユニヴァース。調教時計は水準レベルだが、まだまだ変わりそうな雰囲気がある。プリマドンナ(牝2、美浦・菊沢厩舎)は、一族にフサイチコンコルド、アンライバルド、ヴィクトリー、リンカーン、アドミラブルと大物が並ぶ。将来性は高い。

土曜の新潟では1400m戦も行われる。アメリカンファクト(牡2、美浦・戸田厩舎)は、キーンランドセール出身の外国産馬。7月後半にはウッドで66秒台、1週前は同厩の期待馬プロトスターに先着と、動きは良好だ。

小倉では1200m戦。モズスーパーフレア(牝2、栗東・音無厩舎)もキーンランドセール出身の外国産馬。坂路52秒8-12秒4の好時計をマークし併せた新馬に先着と、初戦から期待大だ。

日曜日に移って、札幌芝1800m戦。POGでも人気になったルーカス(牡2、美浦・堀厩舎)が初陣となる。「精神的にもドッシリとして環境の変化に戸惑うところもなく、カイバもよく食べている。血統馬らしく動きも力強い」と金子助手。全兄は香港を含めGⅠ6勝のモーリスで、シルクレーシングの募集価格が1億円となれば期待されるのも当然。調教でも芝コースで5F64秒台を出し、古馬オープンのネオリアリズムと併入と動きも上々だ。鞍上にマジックマンことモレイラ騎手を迎え、デビュー勝ちへ向け準備は整っている。

ここは他にも血統馬が続々。リシュブール(牡2、栗東・藤原英厩舎)は、母が1戦1勝で引退したラストグルーヴ。その母の兄姉がアドマイヤグルーヴ、ルーラーシップ、フォゲッタブル、グルヴェイグと重賞ウイナーが並び、祖母が天皇賞馬エアグルーヴ、曾祖母がオークス馬ダイナカールと、競馬版華麗なる一族である。もう少し早いデビュー予定だったが、鞍上予定の福永騎手が騎乗停止となり、停止明けを待ってのレース。そのぶん調教が積めたので、仕上がりも更によくなっているだろう。

ゴーフォザサミット(牡2、美浦・藤沢和厩舎)は、半兄にショウナンマイティ(大阪杯)。札幌でレイエンダ、タワーオブロンドン、フラットレーと3頭が新馬で楽勝劇を演じている藤沢和厩舎。この馬も勢いに乗りたい。

新潟では牝馬限定の芝1600m戦。ディープインパクト産駒のノチェブランカ(牝2、美浦・国枝厩舎)は、母がドイツオークス馬。全兄のフォイヤーヴェルク(2勝)は、2年前のPOGで大人気になった。「時間をかけてじっくりと調整。まだ良くなるのは先だが、いいモノを持っているのは確か。マイルから中距離で良さそう」と国枝師。坂路54秒0-12秒9(馬なり)の時計が出たが速い本数は少なく、先を考えて緩めでのデビューとなるかもしれない。

デルニエリアリテ(牝2、美浦・栗田徹厩舎)は、半兄にリアルインパクト(安田記念)、ネオリアリズム(香港GⅠ勝ち)、アイルラヴァゲイン(7勝)がいる。「良血馬で稽古もやれば動くし、好時計も出ている。素質はかなり高く、初戦から期待は大きい」と栗田徹師。鞍上は戸崎騎手。2週前に坂路で51秒5-12秒3を出し、1週前もウッド51秒2と時計は文句なし。最近の兄姉はデビューが遅かったが、久々の早期デビューで期待が高まる。

バトルガラクシア(牝2、栗東・本田厩舎)は、半兄にザバトルユージロー(4勝)、近親にゴッドオブチャンス(京王杯SC)がいる。CW66秒台は合格点で、あとは上がりを速くしたい。ラッキーライラック(牝2、栗東・松永幹厩舎)は、半姉にセレクトセールで1億5660万円(税込)の値がついたラルク(2勝)、近親にミッキーアイル、アエロリットのGⅠウイナーがいる。坂路57秒8-12秒4と全体時計は遅いが、これは追走した相手が走らなさすぎたため。まだ時計は大きく詰められる。

小倉では芝1800m戦。レゲンダアウレア(牡2、栗東・岡田厩舎)は、母がケイト(4勝)、母の兄にマジンプロスパー(重賞3勝)がいる。坂路53秒0-13秒2の時計はもう少し詰めたい。

日曜の小倉は牝馬限定の1200m戦もある。アンヴァル(牝2、栗東・藤岡健厩舎)は、半兄にオールザゴー(マーガレットS)。母アルーリングボイス、祖母アルーリングアクトは小倉2歳Sを勝っており、今回の舞台は得意なはず。初戦から勝ち負けだ。レッドランディーニ(牝2、栗東・石坂厩舎)は、祖母がヨークシャーオークス(英国GⅠ)勝ち馬。坂路54秒5-12秒6(一杯)だが、「まだ変わりそう」という陣営のコメントから、最終調教で更に時計を詰めてきそうだ。

新規入厩で目立つのはカザン。セレクトセールでは2億円を超える高値でキーファーズが落札し、池江寿厩舎に所属となった。6月には山元トレセンに来ていながら、なかなか入厩しないので心配していたが、これで安心。タピット産駒の半兄フォギーナイトはダートの素質馬だが、こちらは父がディープインパクトに変わり、目標はクラシック。というかキーファーズが馬主なら、大目標は武豊騎手を背に乗せての凱旋門賞か。

馬主から注目はエタリオウ。セレクトセールで1億円近い高額で、森岡幸人氏が購入。この馬主さんの登録名はGリビエールレーシングで、今年のPOGで話題になったジェネラーレウーノと同じだ。このジェネラーレウーノをはじめ、これまでの持ち馬は矢野厩舎が多かったが、セレクトで購入した馬のほとんどは友道、須貝厩舎に所属。現3歳のジェネシスを含め、特に高額馬は友道厩舎に入っている。このエタリオウも友道厩舎。今後、Gリビエールレーシング&友道厩舎&ノーザンFは、POGでも重要なラインになってくるかもしれないので、エタリオウの動向もよくチェックしておきたい。

再入厩組ではスターリーステージ(牝2、栗東・音無厩舎)。ミッキーアイルの全妹でPOGでも上位人気になった馬だ。既にゲート試験を終えており、今回はデビューへ向けての入厩。順調に行けば9月阪神の1、2週目のデビューとなろう。まだまだ暑いが、すでに秋競馬へ向けて準備は始まっている。