レイデオロで悲願達成ルメール「自信あったし、心配なかった」

ソウルスターリング

●5月28日(日) 第78回第84回日本ダービー(G1)(芝2400m)

今年の3歳世代7015頭の頂点に輝いたのはホープフルSの覇者レイデオロ(牡3、美浦・藤沢和厩舎)。鞍上のC.ルメール騎手はこれで3週続けてのG1制覇となり、先週のオークスに引き続きルメール騎手×藤沢和雄調教師のコンビが大舞台で躍動した。

12万人を超すファンが集結した東京競馬場。そのスタンド前から18頭が飛び出し、1コーナーまでの長い直線でポジション争い。「この馬はあまりスタートが上手じゃないから、どうしても後方からの競馬になってしまいます」とここまでの4戦すべてに跨ったルメール騎手は、レイデオロのキャラクターを完全に把握。馬なりのまま後方5、6番手でコーナーに差し掛かる。

ハナ争いの1頭と目されていたクリンチャーが控える競馬を選択し、枠の利を活かしてマイスタイルが先頭、トラストが番手でレースを引っ張る。早々にマイペースに持ち込んだマイスタイルがペースを落とし、それに合わせてトラストも一定の間隔を保ったまま向正面へ。

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大観衆が見つめるビジョンに緑の帽子がグングンとポジションをあげる姿が映し出されると、12万人がざわつき出す。「スタートして300m過ぎた辺りでペースが遅いと感じたので動きました」とこの大舞台で、大胆な騎乗を披露。その戦法に対し、藤沢和雄調教師は「いいタイミングだなと見ていました」と鞍上の判断に納得の様子。

ルメール騎手が語った通り、1000mで刻んだ時計は1分3秒2と超が付くスローペースでレースが流れると、一気に2番手で競馬を進める。「道中はリラックスしていたので心配はありませんでした」と絶対的自信を持って、3コーナーでは先頭のマイスタイルに半馬身馬体を併せて抜け出しのタイミングを図る。

直線を向くと抜群の手応えのまま、追い出しのタイミングを図るルメール騎手。スワーヴリチャードはその2馬身後ろ、アドミラブルは大外から追撃の構え。「直線では人気馬が目に入りました。凌げるかなと見ていました」と願うような胸中を語る藤沢師。

残り300m地点では逃げ粘るマイスタイルと一進一退の攻防を見せ、スワーヴリチャードも馬体を併せてくる。互いに譲らぬ叩き合いの展開は、残り100m辺りでムチに応えて更に一伸びしたレイデオロがスワーヴリチャードを突き放すと最後まで脚を伸ばし、84代ダービー馬に輝いた。

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▲皐月賞5着の雪辱を大舞台ダービーで果たしたレイデオロ

昨年は惜しくも、わずかの差でダービージョッキーの称号を逃した。「サトノダイヤモンドは負けたけど、レースの後悔はないです。今回は馬も違うし、オーナーも違う、先生も違うので、ジョッキーはその時にベストを尽くすだけです」と新たな気持ちで今回を迎えた事を明かす。

すでにフランスでは同年にオークスとダービーを制した経験を持つルメール騎手は「日本で同じ年にオークスとダービーを勝てて嬉しいです」と満面の笑みで語ると、2週続けて藤沢和雄調教師の管理馬で大舞台を制した事に対し「日本のトップトレーナーである藤沢先生にダービーをプレゼント出来た事が何よりも嬉しいです」と自信の初ダービー制覇をよりも師の手腕を讃えた。

開業31年目でようやく掴んだダービートレーナーの称号。ひとつひとつ噛みしめるように『ダービーはいつか勝てるかなと思っていましたが、時間がかかってしまいました。何度かチャンスはあったのですが、うまく行かなかったですね」とこれまでを振り返る。

パドックでは頭を下げて周回していたレイデオロ。「たくさんの人とオーロラビジョンを見て気合が入っていた。あの雰囲気だから、テンションが上がるのはしょうがないですね」とレース前を語る。土曜日に東京競馬場に入って準備を進めてきた。今朝の話をふられると「少しおとなしかったけど、良い体をしていて、良い状態でした」と仕上げには満足そうに語る。

追い切りには2週続けてルメール騎手が騎乗。特別な話はしなかったとのことだが、「馬が落ち着いているのを分かっていたし、ずっと乗っている馬ですからね」と阿吽の呼吸でレースへ挑んだ。

藤沢師にとって、母の母レディブロンドから管理するゆかりある血統での制覇。そのレディブロンドはディープインパクトの姉で志半ばに現役を引退。高い素質を持っていただけに、この一族にはデビュー前から注目度も高い。「おばあちゃんやお母さんから知っている血統で勝てて感謝しています」とこれまでの苦節を乗り越え掴んだ栄光に喜びもひとしお。

まだまだ3歳馬。これからが長い競走馬人生。「ダービー馬にふさわしい競走生活を送って、種牡馬にしたいと思っています」と今後の活躍を誓う。

戦前より、戦国ダービーと比喩され、例年になく混戦模様とされた。しかし、終わってみれば、最も勢いに乗るルメール騎手に導かれ、最も勢いに乗る藤沢和厩舎が管理するレイデオロが制覇。トップジョッキー、トップトレーナーに今後も注目するとともに、秋にはまた新たなライバル登場で、最後の1冠争いがどのような構図になるのか、今から楽しみで仕方がない。

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▲開業31年目に嬉しいダービー初制覇を成し遂げた藤沢和調教師


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