平林雅芳の目

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エイシンデピュティが逃げ切り、初GⅠ制覇!


エイシンデピュティが、ジメジメした梅雨を晴らすように綺麗に逃げ切った。
内田博J今年のGⅠ初勝利となった宝塚記念。
けれんみない逃げに勝利の女神も大きなプレゼントをしてくれた。
エイシンデピュティは去年のエプソムカップで重賞初制覇。
今年は金杯(GⅢ)でスタート、金鯱賞(GⅡ)を勝ち、ついにGⅠ宝塚記念をも制覇した。
この一年でついに古馬の頂点まで登りつめた感じだが。自分のライフスタイルの逃げを貫けば秋の天皇賞、ジャパンカップでの活躍も大いに期待できそうだ。

朝からドンヨリと梅雨雲が覆った阪神競馬場であったが、上半期の締めくくりの大きなレースを惜しむように大勢のファンが押しかけたこの日、館内は熱気と人の多さでムンムンとしていた。
傘の花がたくさん開いた中でファンファーレが高々と鳴り響きゲートインが終わった。

すっとエイシンデピュティが先手をとる。
インティライミが内から2番手、メイショウサムソンは、と見るとゲートは普通に出たが直ぐに狭くなり下げざるを得なくなって一旦は最後方近く。
そこから外へ出して最初のカーブは7、8番手で廻る。
エイシンデピュティの単騎逃げが予想されるだけに、武豊Jの思考の中では前で競馬も十分にあった筈だが、早々とその戦法を捨てざるを得なくなったように思える。

淡々と流れて前のグループがひとかたまりになって進む。
やはりこの馬場(発表は重だがもっと実際には悪いと思える)だけに前へ行く馬が優位な感じだ。
しかし3角過ぎても大きく流れは変わらないし、動くにも下が悪くて動けないのかほとんど位置取りに変化ない。
メイショウサムソンの武豊Jが外目から押して上がっていくのに場内がどよめく。

その前にはアサクサキングスが居た。
そして直線入り口でエイシンデピュティ以外は横並びになった時にアサクサキングスが外へ一旦張って出た。
外のメイショウサムソンに接近するような動きである。
そしてその後に大きく内へヨレて、最内を廻って虎視眈々と待っていたインティライミの前に蓋をするように寄っていく。
アサクサキングスはこれだけでは収まらずに、再び外へとヨレてメイショウサムソンにぶつかった。
これにはメイショウサムソンも後脚が流れるような姿勢になった。
内で不利を受けたインティライミと外でぶつけられたメイショウサムソンがそこから前を行くエイシンデピュティを追うが頭、クビ差届かない。
2,3着馬に大きな不利があった競馬となってしまった。

検量室内は一種独特なイヤ~な雰囲気に包まれていた。
武豊Jが珍しくきつい言葉を四位Jにかけている。
「あれだけやっているのは故意にとしか思えない」「あの乗り方をするなら勝てよ、他人を勝たすような事をするな」と厳しい言葉だ。
佐々木晶師が「うちの馬勝っていたよ。哲ちゃん、ステッキを落とされるほどだったんだから」と大きな声で報道陣に声をかけているのが聞こえる。
極めつけは武豊Jの「反則(された)負けや!」といい「後味の悪い競馬だった」と宝塚記念を総括して言った・・・。

エイシンデピュティは自分の競馬に徹して勝利してその力を発揮したもので勝利は成長の証であろう。
その勝利に何の不満もない。
だがどの馬も実力をいかんなく発揮してこその競馬であり推理の賜物が馬券となるのである。
それが人為で壊されてしまうのは非常に残念である。
私は武豊Jの騎乗馬を中心に当然競馬を観ているがそれにしても天皇賞の四位J、オークスの池添J、ダービーの福永Jに今回の四位Jとこれだけの不利を蒙っている。
それであの着順なのだから「ちゃんとした競馬なら」とついつい思ってしまうし、多くのファンに対して申し訳ない結果になっていることを感じる。
これは彼の騎乗馬だけで起きている事柄だけだが、他のジョッキーにもイロイロなアクシンデントが起きていると思える。
多くの競馬ファンが馬券を買っていることを忘れないで欲しい。
馬の力で負けるのは構わないが、それ以外で自分の推理が壊されるのは許しがたい。
騎手諸君の技術の向上とフェアプレイでの競馬を是非にも思うものだ。
秋のGⅠ競馬は綺麗なお願いしたい、とファンの立場から申し上げたいと思う。