平林雅芳の2歳評

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先を見越している馬(負けにはこだわってない鞍上の気持ち)
土曜の阪神では野路菊Sがあった。
圧倒的な一番人気に支持されたプロスアンドコンズだったが2着と終わった。
しかし、競馬を観戦していた人ならば誰でも「能力で負けた」といったものでなく、競馬には展開や流れがあり、それを構わず自分の競馬に徹したといった負け方で、ちっと も苦にならない負け、そんな印象であり、やはり先々が非常に楽しみな馬であるとますます確信したものであった。
それでは土曜に私が実際にこの眼で見た阪神の2歳戦を自分なりの評価で綴ってみよう・・・。

土曜阪神1R
2歳未勝利
芝1400m
勝ちタイム1.21.5

勝ち馬 ピースピース
(牡、栗東・荒川厩舎・父マリエンバード)

圧倒的人気となったファレノプシスの子供アディアフォーン
2戦目の今日は負けが許されない環境であった。
しかしパドックで見た印象と、馬場に入ってのキャンターでも大物感がなく、馬体もキラリと光るものが現在では感じられない。
でも負けてはいけない面子であろう。
スッと好発を切ったアディアフォーンであるが、内から強引に行く馬が居て好位に控えての競馬。
道中も無理なく進み、直線の抜け出しも巧く行き、スッと離した時には完勝の勢いであった。
後1Fでステッキを一発入れ、さあこれからと追い出したが、ちょっと伸びがそれほどでもない。
鞍上がステッキで叱咤激励するがゴールが遠い感じだ。
中団でアディアフォーンの2、3馬身後を追走していたピースピースだったが、直線で外へ出して追い出して行くと前との差がなくなり、一番前を行くアディアフォーンともみるみる差が詰まり、最後は差し切ってしまった。
そんな印象のゴール前であった。
レースの上がりが35.8で、そう切れている感じでもなく、ただアディアフォーンの伸びが止まった競馬だった。
まだ馬体自体がすこぶる良く見せる段階でなく、成長の過程なのであろうと解釈をしておきたい。

土曜阪神3R
2歳新馬
ダ1800m
勝ちタイム1.59.5

勝ち馬 タガノブリオレット
(牡、栗・領家厩舎・父ダージー)

5頭立ての寂しい競馬。
積極的に先手をとりに行った福永Jの作戦どおり。
1000通過が1.07.5と超がつくほどの遅いペース。
逃げ切って当然だろうし、そんなメンバー構成である。
ただ言えるのは領家厩舎の2歳っこは総じて質が高いということであろうか・・・。

土曜阪神4R
2歳新馬(牝)
芝1400m
勝ちタイム1.23.7

勝ち馬 ハロースカーレット
(牝、栗・石坂厩舎・父シンボリクリスエス)

1倍台の支持を受けてしまったハロースカーレット
ケイコに乗った武豊Jの感触も「まあまあ」と言った程度であっただけに、ファンの期待には正直ビックリ。
パドックでの雰囲気はまずまず悪くなく、馬場に入ってのキャンターも「少し硬いかな」といった感じで悪くはなかった。
逃げたのは最内枠のニチドウダイヤ
前半3Fが34.8だから無理なペースでもなく、4角を廻っても先頭は譲っていない。
その外へアキノラブ
その外へハロースカーレットと3頭が横並びになった直線入り口過ぎ。
最内のニチドウダイヤが外へ逃げてアキノに接触して、そのアオリが外のハローも外へ態勢が外へ流れたが、何とか辛抱してそこから渋太く伸びての勝利。
しかしレースの上がりが37.3とちょっと遅かった。
直線ではもう一件の審議があって、後方から追い上げてきていた浜中Jのコウエイテンプウが前に行き場がなく横へ動き、外の2頭を少し弾き飛ばす感じ。
外へ出てからの勢いが凄かっただけに最初から外へ出せていたら頭まであったのかも。
ただ、レベル的には何とも武豊Jの「競馬に行っての方が良かった」に全てが含まれているのではなかろうか。

土曜阪神11R
野路菊S
芝1800m
勝ちタイム1.46.8 R

勝ち馬 ホッコータキオン
(牡、栗・飯田明厩舎 父アグネスタキオン)

1倍台の圧倒的な人気となったプロスアンドコンズ
パドックでの雰囲気も良く、馬場に入っての返し馬でも大人びた良いキャンターを見せてくれる。
しかし競馬はみずもの。
ポンとゲートが開いて出て行ったのが飯田Jのホッコータキオン
そのまま誰にも絡まれずにハナを悠々と行く。
2番人気の武豊Jダノンフーバフーバは中団の内目。
そして大本命のプロスアンドコンズは、そこからまだ後へ5馬身ぐらいあったのではなかろうか。
縦長で4角まで進む。
いい手応えで逃げたホッコータキオンが、もう一度離して勝利を確定させたのが後1Fあたり。
前で競馬していたグリーンイレブンがジワジワ前を追うが、外からやっと追い込んできたプロスアンドコンズが伸びて2着。
先頭までは届く勢いではなかった。
そして内へ潜り込んで終い脚に期待したダノンフーバフーバは、もうひとつ伸びきれずに掲示板に載れずであった。

引き上げてきた馬上の福永Jに「かなり前が楽な競馬だったものな」と声をかけたら「仕方ないですよ」とアッサリしたもの。
後で報道陣と話をしている輪で聞いてみると「馬に競馬を教えているところなんです。掛りそうなところがありますからね。体にいい筋肉もついてきていて良くなってきてい ますし、先々が楽しみです」とちっとも負けに悔しがるところか、先を見据えた発言である。
「目標はここでなく先なんですよ、この馬は」と言いたげな感じであり、またそんな競馬っぷりであった。
負けでも大いに収穫はあったと言う雰囲気だった。
武豊Jは上がってくるなり「乗り味とか抜群にいいし走りそうな雰囲気あるのに・・・」と池江寿師に報告。
おそらくこの馬も後で頭角を現してくる馬なんだろう、と覚えていて欲しいものです・・。