平林雅芳の2歳評

トピックス

土曜東京11R
東スポ杯2歳S(JpnⅢ)
芝1800m
勝ちタイム1.47.7

勝ち馬ナカヤマフェスタ(牡2、美浦・二ノ宮厩舎)

■・・・流れるようなフットワーク。嫌~な予感が的中した!!

エリザベス女王杯のゲートが開いた瞬間にポルトフィーノが落馬して打撲。
その後が生々しく右腕に残っていた武豊J。
三日間競馬の最初の東京で乗るのも、この東京スポーツ杯2歳Sのブレイクランアウトがいるからこそ。
前回同じレースに乗って走る馬だと実感しているだけに、騎乗を楽しみにしていたもの。
この馬だけに東京入りしたものであった。

パドックを見ていて。436キロのブレイクランアウトは少し小ぶりな馬そのままである。
ディープインパクトも小さい馬であったが、そんな感じにさせないほどの圧倒感があったものだが・・・・と。
周回している14頭の馬で、的場師も一緒に馬と付き添っているバックハウスが威風堂々に周回している。
関西馬4頭では、メイショウドンタクが前回の馬場入り時に入れ込み出したが、今日のパドックでは実に大人しく悪くない。
ダノンカモンは500キロを優に越す馬体だが、数字ほどには大きくは見えない。
スズカワグナーは、周回を重ねるうちに少しずつうるさくなってきた。
そんな感じを受けとめながら、ひと足お先にいつもの場所へと移動。
返し馬をジックリ観るためである・・。

メイショウドンタクが先に入ってきた様子だが、今日は入れ込みもなくキャンターでポケットへと進んだ。
2コーナーへと向っていく中で、首を凄くグーンと前へ下げる、いわゆるツル首の見事なフォームでキャンターを進む馬を見つけた。ナカヤマフェスタである。
改めて父親を見るとスティゴールドである。
本当にホレボレするようなフットワークで進む。
その後をパドックでよく見えたバックハウスも行くが、ナカヤマフェスタの圧倒感とは全然違う。
大本命のブレイクランアウトもその後を馬場の真ん中を行く。
先ほどよりも返し馬の方が大きく見せて悪くはないが・・。
嫌な予感、悪い馬を観てしまった感じがしてならない・・・・。

好発を決めたのは武豊Jのブレイクランアウト
しかしジワッと抑えて、中団の内目にポジションを置く。
外からヒラボクエクセルが先手をとる。フレンドケントが2番手、メイショウドンタクがその後目の先行グループである。
ちょっと縦長の隊列となりブレイクランアウトは前からかなりの後ろ目の位置どりとなっている。
前から4、5番手に私が注目してしまった(?)ナカヤマフェスタがいる。
その後でスズカワグナーが頭をふりながら折り合いに専念している様子がうかがえる。
そこから2、3馬身後の内目にじっとしている武豊のJブレイクランアウト
ペースは関東圏では最近ではあたり前となった緩いペースでの流れ。
やはり千通過1.01.0とかなりユッタリである。 直線の切れ味勝負となったのは当然で、誰も逆に動かないし、動いて無駄な脚を使わなくなる・・。

当然、武豊Jのブレイクランアウトの位置を確認しながら前の馬達の動きを確認する外野席の当方。
ちょっと後だけれど外に出せれる位置ならば大丈夫、その想いの先にあるブレイクランアウトも4角手前でスムーズに外目に出してきた。
前を行く馬を捕らえるには十分な手応えである。
後2Fあたりで、前の4、5頭が横一線となる。
中団を進んでいたキャリア1戦のサンカルロがスッと先頭に躍り出た。
その後に間髪を入れずに馬群の外目から脚を伸した、これまたキャリア一戦のナカヤマフェスタが躍り出る。
その直ぐ後を、大本命のブレイクランアウトが並ぶようにゴールへと向う。
先頭に出たナカヤマフェスタを半馬身差ぐらい後からブレイクランアウトが襲いかかり交わすだろうと期待するが、脚色が両馬とも同じような感じとなり、先に出ている蛯名Jの追い出しに呼応してナカヤマフェスタが抜かせない。
大きなクビ差のままゴールへ入り、完全に蛯名J優勢の勝負となった。

直線での攻防は上がり3Fが11.6~11.4~11.3である。
ナカヤマフェスタブレイクランアウトが交わせそうで交わせないのは、最後の1Fが11.3だからである。
これを抜くには相当な脚を使わねば交わして先頭ではゴールを通れない。
『やはりあの馬か!』という戦前の嫌な予感が、そのままゴール過ぎても続いてしまった。
見た目に大物感あるキャンターのナカヤマフェスタ
キャリア一戦で未曾有の能力が秘めている感じの馬はいるもの。
それをまさしくこのレースで痛感させられるとは、実に辛い決着となった。
このナカヤマフェスタのキャンターを観たときに感じた大物感あふれる走り。
それをそのままストレートに出し切ってしまう能力の高さ。
東西を問わず、まだまだこう言った馬がいるはずであり、まだまだ2歳戦の秋の陣も始まったばかり。
これからも2歳戦には目が離せないなと痛感した瞬間でもあります。

しかし検量室でブレイクランアウトの武豊Jは『まだ余力もあるし、楽に前を交せそうな手応えなんだ。だからこれが全てではないから心配は要らないよ。走るから』と言ってくれた。
次走はどうやら朝日杯になりそうである。
残念ながら翌日の日曜京都の新馬戦で落馬骨折のアクシンデントとなってしまった武豊Jだが、暮れの有馬記念はもちろん、その前週の朝日杯に騎乗できる気持ちで骨折の完治に努める事となりました(骨折は通常3週間でくっつくそうだそうです)のです。
その日までこの観戦記もお休みをいただきます。