“鉄の女”トウホクビジンが通算163戦目にして涙のラストラン

1月9日(金)、地方競馬場全場出走(現存する場所のみ)、国内重賞最多出走記録を持つ、トウホクビジン(牝9、笠松・笹野博厩舎)が、笠松の白銀争覇(ダート1400m)でラストランを迎えた。

通算163戦目となる引退レースの手綱を執ったのは、地元・笠松の佐藤友則騎手。好スタートを切ると、腹を決めていたかのように果敢にハナへ。道中も後続を引き連れての逃げをうったが、勝負どころで圧倒的な1番人気馬が進出してくると、徐々に脱落。47度目のコンビとなった鞍上のムチに、最後までしぶとく呼応したが、6着に沈んだ。

「この馬に乗せてもらった時が、僕自身も苦しい時期でした。乗鞍も減っていましたし、騎手として楽しくないなと思っていました。そんな時に、笹野先生(笹野博司調教師)に声を掛けて頂き、この馬の騎乗依頼を貰いました。レースに乗って課題が見えて、普段から調教をつけさせてもらうようになって、自分色に染めさせてもらいました。それで、(コンビ)2戦目の絆カップ(盛岡)で結果を出せました。今日は勝たせてあげたかったという思いでした」

これまで地元での騎乗を犠牲にして、遠征にも連れ立った主戦は、パートナーとの別れを惜しんだが、レース後は最後の勇姿をファンに披露すべく馬場を一周。人目を憚らず涙をみせた。

今後は北海道新冠町のビッグレッドファームで繁殖入りすることが決定。母として、第二のトウホクビジンを輩出する仕事が待っている。「子供はタフな仔が産まれるのではないでしょうか。これからも会いにも行きたいですし、この馬には本当に支えられました。佐藤友則とトウホクビジンというコンビのおかげで、笠松競馬を覚えて下さった方もいると思いますし、本当に感謝しかないです」と佐藤友騎手。9歳まで全国各地を駆け巡った"鉄の女"の子は早ければ2018年にもデビューする。その子たちも不屈の走りをみせてくれるはずだ。

【笹野博司調教師のコメント】
「無事に終わったので、ホッとしたというのが正直なところです。肩の荷が下りました。今回も馬の調子は良くて、元気も良かったので、頑張ってくれると思いました。
ただ、引退はまだ信じられない気持ちはありますね。これから本当に旅立って行くのかと思うと、まだちょっと信じられない感じがします。本当にお疲れ様でしたということですよね。僕が開業して、すぐに重賞を勝った馬なので、本当に有り難うという気持ちですね」

トウホクビジン
(牝9、笠松・笹野博厩舎)
父:スマートボーイ
母:ミリョク
母父:Riverman
通算成績:163戦13勝
(うちJRA6戦0勝)

トウホクビジン

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