ラブリーデイがハナ差制す!キズナはクビ差の3着

ラブリーデイ

15年2月15日(日)2回京都6日目11R 第108回京都記念(G2)(芝外2200m)

ラブリーデイ
(牡5、栗東・池江厩舎)
父:キングカメハメハ
母:ポップコーンジャズ
母父:ダンスインザダーク

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スタンドで観戦していた。この時期としてはけっこうなお客さんの入りである。眼の前を疾風の如く走っていく3頭に声援が飛ぶ。すぐ隣りの親父が《それ!、ユタカ!》とこちらの気持ちを代弁してくれる。届きそうな勢いだったが、声は届かなかった。逃げたスズカデヴィアスと2番手のラブリーデイの脚色が衰えずに壮絶なる叩き合い。最後にハナ差だけ外のラブリーデイが前に出た。1.8倍の1番人気の支持を受けたハープスターは絶好の位置でレースを進められたが、肝心の4角での手応えが今ひとつ。外を追い上げて行くキズナとは脚色が違っていた。電光掲示板は確保したが、信じられない敗戦にやや場内がざわめいてもいた…。


スタートからラブリーデイと戸崎Jは早かった。逆にスズカデヴィアスのスタートは、そう早くなかった。押して押して先頭になるまでに少し時間がかかった。その間、100mぐらいか。スズカデヴィアスが先手は誰しもが思う事。2番手がどの馬になるのか。レッドデイヴィスかと思っていたが、ラブリーデイが最初からそこを狙っていた様子だ。3番手の内にレッドデイヴィス。ハープスターが中団でキズナは後ろ。ここも違っていたハープスターは前から7頭目だが、いつもよりは前目で馬の中でレースをして行く。1000m通過が《1.01.2》と場内アナウンスが言う。キズナは《いつもの競馬だが、ハープスターは臨機応変に構えられるんだ…》と一瞬だけ羨ましく思う。

坂を昇って1馬身差の2番手だったラブリーデイは、スズカデヴィアスに少し間合いを詰めていく。半馬身差となっていく。坂を下っていくが、後ろは動かない。キズナはまだ後方のままでジッとだ。
4角手前で、ラブリーデイはスズカデヴィアスの隣りに上がっていく。外にハギノハイブリッド。その後ろにいるハープスターの手応えが抜群という感じでない。むしろ上がりだしたキズナの方が、遥かに勢いと手応えで優っている。

そして直線へと入ってきた。内へ進路を取るスズカデヴィアス。真ん中のラブリーデイ。外へハギノハイブリッド。キズナはまだ外だ。
ハギノハイブリッドの内からレッドデイヴィスが顔を出してくる。その後ろでハープスターの進路がなくなった様で、鞍上は内へ進路を求めた。後ろのトウシンモンステラの前に入ったのが後で判る。スズカデヴィアスとラブリーデイの叩き合いが続く。キズナも武豊Jの右ステッキが1,2発入る。グーンと加速していく。
スタンドで観ている眼の前を、凄い迫力のある脚で前に迫っていくキズナ。痺れるような脚である。しかし前の2頭は、併せ馬で叩きあっている。一旦は前に出たスズカデヴィアスを、最後の最後でラブリーデイが前に出たのがスタンドからでも判った。ハープスターは少し遅れての5着だった。

スタンドの混雑でなかなか前に進めずで、検量室へ駆けつけた時には枠場に入ってくる寸前だった。そして一段落ついた後、次のレースで出てきた武豊Jと話が出来る。『いい伸び脚だったんけども、最後に止ったな~』と言う。やはりスタンドで観ていても、直線半ばでは交しそうな勢いだったものな~と納得する。佐々木晶師も取材の囲みから離れて帰る時に『いい競馬だった。次に頑張りましょう!』と言って去っていった。

火曜の朝は、監視小屋に行く前にその上にある調教師席にお邪魔をする。池江師に先週のお礼(トゥザレジェンドの勝利)と、お祝いの言葉である。誰よりも早く、スタンドにスタンバイをしている調教師である。ラブリーデイの勝利は『最後の2、3発のステッキが利きましたね。先行有利な流れだから前でと話していた。良く頑張ってくれました…』であった。この後は阪神大賞典天皇賞と、両方に乗れるジョッキーをとの事。戸崎Jは先約がいるそうだ。

監視小屋では音無師が、レッドデイヴィスを『もう少しやれると思っていた。せめて1角に割って入ろうと思っていたんだが…』と。どうやら新潟大賞典へ行くようである。そして頃合いをみて、佐々木晶厩舎へと寄る。田重田さんは、もう1頭の担当馬を運動中だった。挨拶もソコソコにキズナの話を向けると『朝に運動しましたよ。全然大丈夫だしね、ユタカちゃんにもそう言っておいて…』と嬉しい言葉をくれた。
まずは無事、そこが一番である。勝てなかった事は残念だが、脚はみせた。それも半端な脚ではないものを。《ヨシ!》と、帰路につく心も軽かった…。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。