シンハライト池添掴んだ待望のG1制覇!「何とか届いてくれという思い」

●5月22日(日) 2回東京10日目11R 第77回オークス(G1)(芝2400m)

5月22日(日)、2回東京10日目11Rで第77回優駿牝馬(G1)(芝2400m)が行なわれ、池添謙一騎手騎乗の1番人気・シンハライト(牝3、栗東・石坂厩舎)が優勝。勝ちタイムは2:25.0(良)。

2着にはクビ差で2番人気・チェッキーノ(牝3、美浦・藤沢和厩舎)、3着には半馬身差で5番人気・ビッシュ(牝3、美浦・鹿戸雄厩舎)が続いて入線した。

直線でデンコウアンジュの進路を妨害する形でレース後に騎乗停止の処分に。鮮やかな形で勝利することができなかったことは惜しまれるが、この春、大舞台で惜敗に泣かされ続けてきた池添謙一騎手が遂にG1制覇!鞍上の冷静なレース運びが光った。

戦前は1番人気(単勝2.0倍)の支持を集めたシンハライトだったが、発走前に幾らか落ち着きを欠き、スタートでは他馬よりも幾分遅れをとった。「イメージは中団くらいでしたね」と語った主戦の声は偽らざる本音だろう。モサっとゲートを出ると、前を急ぐ他馬を尻目に、早々と後方を追走せざるを得ない形。1コーナーを15番手で通過した。

幸い前半1000m通過59秒8と差しの効く流れになったとはいえ、断然1番人気でありながら、後方で腹を括るには勇気がいるはず。道中はじっくりと師を溜めると、直線でいざスパートと言ったところで前が壁に。またも万事休すかと思われたが、そこから進路をこじ開けてきた。この件でデンコウアンジュの進路を妨害したとして処分を受けてしまったが、勝負どころまで動じない姿勢は、幾多のG1を制してきた鞍上の経験がモノを言ったはずだ。

「外に出す時に他馬を邪魔してしまったことは僕のダメな部分。もっと上手くならないといけません」と素直に自身の騎乗ぶりを悔いた池添騎手だが、「戦前はプレッシャーを感じてはいましたが、オルフェーヴルのプレッシャーに比べれば大丈夫でした」とサラリと振り返るあたり、若々しいルックスとは裏腹に、頼れるベテランと呼べるほどのキャリアを積んできた勝負師の顔を覗かせた。

シンハライト/

また、レースについては「道中は良いリズムでしたが、馬込みの中で競馬をしていたので、直線はエンジンの掛かりがいつもより悪く、『何とか届いてくれ』という思いでしたね。初めて乗せてもらった時から凄い素質を感じていましたから、あとはG1タイトルだけだと思っていました。これで桜花賞の悔しさがすべて晴れるわけではありませんが、少しは晴れましたかね」と安堵の表情。2着馬と同じ3F33秒5の上がりタイムからも、道中の位置取りが命運を分けたと言っても過言ではないだろう。

今週もクリストフ・ルメール騎手が土日で計10勝を上げるなど、外国人騎手の台頭が目立つ昨今の競馬界。今春のG1で2着3回、3着1回と、日本人ジョッキーの第一人者として健闘を続けてきた池添騎手にとっては待望のG1制覇。しかし、「オーナーも調教師も生産者も違うことなので……。もっともっと上手くならないといけません」と勝って兜の緒を締めよ、と言わんばかりに前を向いた。

残念ながら次週に迫った競馬の祭典・日本ダービー(G1)で騎乗予定だったロードクエスト(牡3、美浦・小島茂厩舎)の鞍上は他のジョッキーに譲る形となったが、この日の騎乗が、池添謙一というジョッキーをさらに大きくするに違いない。そして、盟友シンハライトと挑むであろう秋の大舞台・秋華賞が待ち遠しくなるばかりだ。そして、今度こそはケチのつかない騎乗で好プレーをみせてくれることを期待したい。

【シンハライトを管理する石坂正調教師のコメント】
「初めての輸送でしたが、420キロ台で来られたらと思っていました。何とか馬が辛抱してくれましたよ。ロスのない短い距離が走れる枠順。外にこだわらないよう、池添君には伝えました。道中は折り合いがついていたので、上位に来られるんじゃないかと思っていましたが、もっと前の位置にいるんだと思っていました。

4コーナーを回る頃、私が観ていた位置からは見えない場所に行ってしまい、どこにいるんだ?と探しましたね。直線でもゴチャつく位置にいて、これは(勝ち負けは)無いかと思ったのですが、底力をみせてくれました。

もともとピリピリしたところのある馬でしたが、気合いを出しつつも辛抱してくれたあたりは成長ですね。きょうだいたちはどの馬も走ってくれていますが、頂点を極めてくれて、本当に凄い馬です」

シンハライト/

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