暑さもなんのその、涼しい顔でグレンツェントが重賞初制覇!

グレンツェント

16年8/7(日)2回新潟4日目11R 第8回レパードS(G3)(ダ1800m)

グレンツェント
(牡3、美浦・加藤厩舎)
父:ネオユニヴァース
母:ボシンシェ
母父:Kingmambo

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日本列島をくまなく猛暑日にしたこの日。新潟は京都の長岡についで2番目の38度1分だったそうだ。
そんな暑さもぶっとぶ様な戦いがゴール前まで続いた3歳重賞戦。クビ差だが、ゴール前はもうフィニッシュの型を取った戸崎Jに導かれたグレンツェントが、西の雄ケイティブレイブをきっちりと交わしての重賞初制覇となった。
3着には2馬身の水を開けた戦い。一昨年のアジアエクスプレスに次いで、関東馬が勝つ時には戸崎Jが乗っている。新しい夏の風物詩になったのだろう…か。


内枠のネクストムーブの出方だけが気になる存在だった、ケイティブレイブ。スタートを決めて、まずは先頭。そのネクストムーブが意外にもたつき、前に出れていない。最初のカーブに入って行くまでに1馬身のリードを取って、ケイティブレイブが逃げる。ピットボスが2番手。内でエネスク、外にコパノリスボンだが、グレンツェントもじっと好位にいる。マイネルバサラがその後、レガーロが最後方で2コーナーをも廻っていく。ケイティブレイブが、やや後ろを離していく。武豊Jが逃げたら、無類の強さを発揮する。後ろに脚を使わす乗り方をよく見かける。今日も気持ちよく先手を取ったケイティブレイブだった。

向こう正面に入ったあたりで、少しだけグレンツェントがかかり前のエネスクの外へと上がりかけた瞬間があったが、そこは折り合えた様だ。
3コーナーへも、同じ様に後ろを4馬身ぐらい離してケイティブレイブが行く。3コーナーから4コーナーとの間でグレンツェントがエネスクを交わして4番手に上がるが、まだ外へは出し切っていない。
4コーナー手前で少しだけ後ろとの差が近づいたケイティブレイブだが、廻り切ってまた差が開く。だがグレンツェントが外へ出してきて、追撃開始だ。
ラスト200mではまだ2馬身あったケイティブレイブとの差を、ジリジリと詰めていく。ケイティブレイブが内ラチに寄りながら追っているが、みるみる差が縮まっていく。そしてピットボスが3番手だったが、外からレガーロが追ってきた。

グレンツェントは、ラスト200mで戸崎Jの左ステッキが2発。そしてラスト100mを過ぎたあたりで3発、その後は手綱でしゃくるだけ。キッチリと差したと言ったレース内容であった。完璧に武豊Jが乗ったケイティブレイブに、それを上廻った戸崎Jのグレンツェントであろうか。
伏竜Sで一度対戦があったこの2頭。その時もゴール寸前でグレンツェントがケイティブレイブに先着している。馬って、そんなことをしっかりと覚えているのかも知れない。お前には負けないぞってことを…。

ケイティブレイブは、いかにもダートがいいと言った馬体である。反してグレンツェントは、兄のノンコノユメ同様にラインは細目である。兄の牝馬に見えるよりはまだ男馬っぽいだろうが、スッキリしたシルエットである。だがそれでいて、パワーがある。申し分ない体なんであろう。

戸崎Jに導かれての勝利。馬もだが、鞍上も充実している新潟の真夏でありました。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。