かつての庭で冴え渡った名手の手綱!アポロケンタッキー初戴冠!

●12月29日(木) 大井競馬場 第62回東京大賞典(G1)(ダ2000m)

「まるでまだ、大井に在籍しているみたいですね」


殊勲の手綱、名手・内田博幸がポツリとつぶやいた。アポロケンタッキー(牡4、栗東・山内厩舎)は5番人気。人気的には実績上位の各馬に比べたら劣るもの。それでもレース後の勝者を称える声援は、まるで最も人気を集めた馬が勝ったときの様な、そんな温かさを感じた。

最大の勝因は"理想通りの展開"であった。「コパノリッキーが行って、アウォーディーが2番手。それなら僕が押していけば3番手かなと思っていた」と鞍上がイメージしていた通りの展開。それだけでなく「この馬の能力を最大限に発揮するには、もう4角先頭でもいいぐらい、強気に乗って押し切る競馬」と、思い描いていた通りの騎乗を果たした。「こんなイメージ通りなんて……不思議なものだね」と、名手も頬を緩ませる。

「テン乗りだったから比較は出来ないけど、走り方が本当によかった。だから『これなら間違いなく上位争いできるな』と思ったし、その通りに結果を出せた」と、レース前からジョッキーの中ではいいイメージが膨らんでいた。それがG1勝利という結果として出たのだから、来年に向けて夢は広がる一方である。

そして、これで4度目の東京大賞典制覇となった内田博幸騎手。騎手人生27年を誇る大ベテランが、最後は笑顔でこう語った。

「大井でデビューして19年、その後中央に移籍して、またこうやって東京大賞典を勝てて……。大井から中央に移籍しても、まるでまだ大井に在籍しているかのような声援を頂いていました。本当にありがたいですね。まだまだ僕自身、レースに乗り続けて、いい乗り方ができればいいなと思っています」

アポロケンタッキー