外からキッチリと交わす、ダンスディレクターが連覇!【平林雅芳の目】

ダンスディレクター

17年1/29(日)2回京都2日目11R 第22回シルクロードS(G3)(芝1200m)

  • ダンスディレクター
  • (牡7、栗東・笹田厩舎)
  • 父:アルデバラン2
  • 母:マザーリーフ
  • 母父:サンデーサイレンス

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少しだけ雨脚が強くなっては来たが、まだ良馬場をキープ。33.9ながら絡まれない逃げのソルヴェイグ。4角手前から馬体を並べてきていたが、ネロが脚色が見劣りだしそのままかと思えたが、急に手応えが怪しくなる。好位にいたセイウンセイコウが一気に先頭となって、グイグイと伸びてゆく。これはセーフティリードかと思えたセイウンコウセイ。馬場の外へと流れながらも加速していく。だが馬群の後ろで脚を貯めていた昨年の覇者、ダンスディレクターが、直線で外へと出して脚を伸ばしてきた。武豊J、渾身のステッキをふるって最後の50mでは完全に前を捕らえる脚色。ゴール前は抑える余裕まであった。
3着には内から伸びたセカンドテーブル。1番人気のネロは、最後には失速気味。難しい馬でもある…。

《15度ぐらいで、かなり暖かい》の予報から大きく外れてしまって、朝からけっこう寒く土曜とは大違い。だんだんと空模様も悪くなり、8Rの前ぐらいからポツポツと雨が落ちはじめる。メインのパドックの馬を観ようとテラスに出ているが、濡れそうな勢いになってきた。ただ馬場そのものに大きな影響はない様に見えたが、乗っている者は違っていた様で、ラインスピリットの森Jは「内で馬場の悪いのを気にしてさがった」とコメントをしていたのを傍で聞く。
好位から脚を伸ばす、いつもの自分のパターンどおりのレースをしたセイウンコウセイ。すっかり安定感も出ている。それをトップハンデの57.5キロながら、キッチリと差し切ったダンスディレクター。この馬の勝因は、ゲートを五分に出てロスタイムをなくしているのが大きい。脚を貯めるだけ貯めて、直線半ばからの爆発力を生かす。そんなイメージどおりの競馬が出来た。末脚の3F33.1は、1頭だけ抜けた数字でもあった。

Mデムーロのソルヴェイグの逃げには、正直驚いた。ローレルベローチェの回避で、強烈な逃げ馬がいなくなったのは周知の事実。だがこの馬が行くとは思ってもいなかった。そこは鞍上の機転であろうし、33.9~33.9のイーブンペースの流れだけに正解でもあろう。だがネロがピタッと来て楽ではなかったとの、レース後のコメント。見た目以上に厳しい流れだったのか。スプリンターズS以来のレースが、最後に響いたのもあるのかも知れない。
ネロには馬場が渇き過ぎていたか。前走の様に他馬が気にするコンディションなら得意だけに違ってもいたのかも知れないが、いずれにしろ、今日は最後に止まり過ぎであろう。ダンスディレクターはむしろ1200が良さそう。スタートを五分に決めて後は脚を貯めたら、けっこうな仕事をしそうだ。当然に次なるステージの高松宮記念であろう。しかし残念ながらコンビを組みだした武豊Jは、ドバイへ遠征の時である。

ミッキーアイルも突然に引退した。どうやら好機が近づいている感じのダンスディレクター。遅咲きのスプリンターとなり得るか。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。