カラクレナイ、3連勝で桜前線に名乗りをあげる!【平林雅芳の目】

カラクレナイ

17年3/12(日)1回阪神6日目11R 第51回フィーリーズレビュー(G2)(芝1400m)

  • カラクレナイ
  • (牝3、栗東・松下厩舎)
  • 父:ローエングリン
  • 母:バーニングレッド
  • 母父:アグネスタキオン

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20日の中山、フラワーCの結果が最後となる桜花賞への切符だが、大方はこの阪神でのフィリーズレビューの結果で、ほぼメンバーが決まると言えるもの。桜花賞への間隔からもギリギリの日程で、熾烈な戦いとなるのは想定内であった。
前半3Fの通過が33.5で4Fが45.5、1000m通過では57.3と、アズールムーンとベルカプリが前半から飛ばすハイペースとなった。ブービーと後方で待機のカラクレナイが直線で外から脚を伸ばし、先に抜け出したレーヌミノルを交わしてのゴール。着差は半馬身ながら、片やつつ一杯のレーヌミノルに対して外へややもたれたのか左手綱を長くしながらも、その手綱をシャクるだけでの半馬身差の勝利。サンデー・ミルコと言われるほどに、MデムーロJならではの勝利と思える騎乗ぶりであった。

1400ながら、この10年は逃げ切りは見当たらない。外廻りでは、直線が長いせいかゆったりと前半が進むのに対して、内廻りでは流れが速くなるせいなのか、スピード任せの決着にはならない様だ。
今回はマイルで少し甘さが目立っていたレーヌミノルが、1400と短縮された点で圧倒的な1.8倍の人気。対してカラクレナイが、今年の初陣ながらも鞍上人気に後押しされて、3.8倍の人気で続いた。

スタートは、外でレーヌミノルが真っ先に飛び出した。次いで中からベルカプリ。これは何が何でも行くの気構えだろう。ゴールドケープの出が悪かった。レーヌミノルが内の出方を観ながら進める。押して押してベルカプリが出て行く。内からダッシュがついたアズールムーンが前に出てきて、内の分で前へ出ようとする。それをベルカプリの池添Jがハナは譲らないの気持ちで、2頭並んで1ハロンと半分ぐらいまで進む。内ラチのアズールムーンが前に出たのが2ハロンにかかる少し手前で、3番手のアルミューテンには3馬身ぐらい水を空けていた。

この時、レーヌミノルは10番手ぐらいで、縦にして半分ぐらいの位置。カラクレナイは前から2馬身ぐらい開いたブービー。最後方はそこから3馬身ぐらいの差でゴールドケープが追走だが、後ろの2頭でさえもじっとしているから、かなりのハイペースだろう。先頭のアズールムーンが3F通過した時には、やっとひと息入れたのかと思える感じではあった。しかし1馬身ぐらいの間隔で進めていた2番手ベルカプリがまた差を詰めに行ったのか、前を行くアズールムーンの勢いが衰えだしたのか、後続がだいぶ接近する。
4角が近づくにつれ後続馬が二重、三重にと外へ連なりだしてくる。ブービーにいたカラクレナイも、外へ出して前の外めと進出。一気にレースが動き出していく。

4角のカーブにさしかかってくる。いい感じで前に出てきているレーヌミノルの姿が見える。2列目の一番外めとなっている。最後方のゴールドケープは、馬群の後ろながら、前を行く馬のすぐ後ろまで接近している。
カーブから直線へとなって、一気に外からレーヌミノルが前へと出てきた。300のオレンジ棒にかかる前に仕掛けた鞍上である。勢いがついて前へと出て来たレーヌミノルだが、だいぶ内へ入っていく。

先頭を行っていたアズールムーンがバテて、2番手から上がろうとしていたジューヌエコールの前を横切る形となってしまっていた。ジューヌエコールの北村友Jが思いっきり手綱を引いて、右へと避ける。その後ろのフラウティスタも手綱を引いている。内ラチまで行ったレーヌミノル。ラスト200mのハロン棒を通過したが、まるで余裕のないレースぶりとなってしまっている。

外ではカラクレナイが、直線入口では馬群の中でゴチャついている喧騒を他所に一気に加速してきた。ギアを一段階と上げて、馬群の横を通り過ぎていく。ただちょっと外へと流れていたのだろう、その後ろから猛追してきていたゴールドケープが、カラクレナイの内へと入ってきている。普通は馬群が密着しているのならともかくも前が何もないのに馬の内へとは入って来ない。

ビデオを何度も見直すと、MデムーロJが右ステッキを2発から3発入れた後に、馬が外へと逃げ気味だった様だ。だからその後で左手綱を長くして、右で矯正していたのかと推測できる。それでいて半馬身の差だから、レーヌミノルはもう少し追い出しのタイミングをズラせば、逆に勝ちも十分あったのではなかろうかと思えるのは素人の考えか。

4着のジューヌエコールには賞金がたっぷりあるから本番への出走は大丈夫であろうが、受けたダメージは、いくばくか判らない。普通なら3着は十分にあっただろうとも思える。レーヌミノルにしても、惜しまれる競馬であった。

カラクレナイは、これで2戦目からの3連勝で晴れて桜へと駒を進める。問題は鞍上が誰になるのか。4月9日まであと26日。フラワーカップの勝ち馬は大体現時点では読めそうで、桜花賞の構図は分かってきている。たっぷりある様で、あっという間の期間である。今年も桜前線がやってくる。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。