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ダイヤモンドには歯がたたない!!【平林雅芳の目】
2017/3/21(火)
17年3/19(日)1回阪神8日目11R 第65回阪神大賞典(G2)(芝3000m)
- サトノダイヤモンド
- (牡4、栗東・池江厩舎)
- 父:ディープインパクト
- 母:マルペンサ
- 母父:Orpen
好天に恵まれた阪神競馬場。朝から場内が混んでいた。3連休の中日でもあり家族連れが目立ち、パドックもビッシリとひと目、スーパーホースを観ようと集っていた。 110円と圧倒的支持を受けたサトノダイヤモンド。今日はジックリと後ろで脚を貯め、先に動いたシュヴァルグランを視野に入れて動く。ラスト1ハロンで先頭に立った相手をねじ伏せる様に交わしていく危なげない堂々の脚色で、今年の初陣を飾った。 馬連140円。馬単170円と堅い、堅い決着で、ダイヤモンドの硬さはまだまだ追随を許さないものであった。
パドックで、何か隙がないかとじっとサトノダイヤモンドを見つめていた。「数字はプラス4キロでもちょっと細く映らないか?」とか、「仕上げは先を見越しての7分、8分ので余裕を残してないか」とか、「つけ入る隙を何とか見つけよう」、と。 武豊Jの乗るワンアンドオンリーは、パドックの外々を廻っているのは悪くはない。だが、シュヴァルグランの堂々さ、サトノダイヤモンドの溌剌さには一目も二目も置かざるを得ないなと、早々にパドックを後にした次第だった。
ルメールJに限らず、ジョッキーはレースを組み立て流れ、展開そしてライバルと言うか相手関係が頭に入っているはず。有馬記念の時は、キタサンブラックを相手と早め早めの仕掛けで《こんなすぐ後ろにいるのか!》と思って驚愕したが、今日は逆にジックリ後方で構える。すぐ前にシュヴァルグランがいて、武豊Jのワンアンドオンリーもいた。当面の相手シュヴァルグランの動きに合わせて動いていくつもりだったのだろう。 流れは予測されるもので、ウインスペクトルが逃げてタマモベストプレイが続く流れ。ワンアンドオンリーがどこかで先頭を奪っていくのかと読んでいたのだが、それも出来ずで後ろで追走するだけだった。
大逃げを打っていたウインスペクトルの逃げも、2周目の3コーナー過ぎあたりからは鈍りだし、ラスト800を通過する時には後続に吸収され、変わってタマモベストプレイにマドリードカフェが前に出る。先に動いて行ったのがシュヴァルグラン。福永Jの早めの動きにはいつも感心する。それにくっついていくサトノダイヤモンドとルメールJだ。
直線入口からは、もう場内の視線はシュヴァルグランとそれを追うサトノダイヤモンドの2頭だけに注目する。カーブを廻る時に福永Jは肩ムチを1発入れてうながし、手綱を絞りだす。早めに抜けだす作戦なのであろう。 ラスト200のハロン棒の前だが、右ステッキを入れて追いだしていく。勝負なのである。だがすぐ後ろに来ていたサトノダイヤモンドも追いだした。ラスト200を通過する時には、サトノダイヤモンドが前に出ていた。大外にはトーセンバジルが弾ける様に後ろから前へと出てきた。
完全に先頭に立って追っていくサトノダイヤモンド。ラスト100mの赤い棒通過までにルメールJは4発のステッキを入れたが、その後は流し気味となってチラっと内を観ていた様子だ。シュヴァルグランには1馬身半。トーセンバジルはそこから2馬身半もの差で入った。ダイヤモンドは硬い。シュヴァルグランの福永Jは歯が立たないと思ったかどうかは知らない。だが、有馬記念の時にはサトノの2頭出しでの作戦勝ちもあったかなと思ったものだが、今日の一戦を観るかぎりでは現役で最強なのかと思えるもの。後はマカヒキとの再度の対決を残すだけ。そんな日が近いことを楽しみにしたい。
そうそう、最後にワンアンドオンリーで引きあげてきた武豊Jのひと言が『3.02.6は速すぎるわ・・』であった。ナリタトップロードが作ったレースレコード(2002年)が随一の2秒台でのものである。昨年のシュヴァルグランで3.05.8であった。自身も時計を縮めたシュヴァルグランだが、それを上回るサトノダイヤモンド。 数字だけを観ても、いかに凄いかお分かりいただけただろうと思う。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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