【皐月賞】3連勝中の牝馬ファンディーナ高野師「力を発揮させること一点に集中」

ファンディーナ

12日、皐月賞(G1)の追い切りが栗東トレセンで行われた。

ファンディーナ(牝3、栗東・高野厩舎)の追い切り後、管理する高野友和調教師の一問一答は以下の通り。

●ペースが遅かろうが速かろうが、容易にできるタイプだと思います

-:牝馬の挑戦ということで注目を集めていますが、そういった注目度の高さは感じていますか?

高野友和調教師:感じてますね(笑)。感じていますけど、あまり自分にプレッシャーをかけたくないので、比較的情報を仕入れないようにしています。

-:ここまで3戦3勝で迎えました。まずは新馬戦から振り返って頂きたいのですが、逃げて後続をぶっちぎっての勝利でした。

高:事前にゲート練習をやっていたんですけど、出たことがなかったので、ほぼ出遅れるなと思って見ていました。岩田騎手に唯一お願いしたのが、「多分、出遅れると思う。ただ、引っかかることは絶対ないと思うので、少なくとも馬群に取り付いて競馬して欲しい」とだけリクエストをしていたら、実際に行ったらスパンとスタートを決めたので、あれちょっと予定と違うなという感じでした(笑)。あとは事前の調教から能力は感じていたので、感じていた能力をスムーズに実戦で出せるタイプだなと確認しました。

-:続く2戦目つばき賞では、道中4番手、3番手、2番手と上がって行っての差し切り勝ち。強烈な脚、最後の3ハロンが33秒0。初戦とは違う勝ち方でしたが、いかがでしたか?

高:メンバーや枠を見て、外枠に速くて能力のある馬がいたので、それが行くだろうと。そうなれば、それを見ながらでいいのではないかとジョッキーと戦前に話していました。本当にその通りになって、ペースはスローだったんですけど、能力を信じていたし、直線に向いてちょっとしたら馬も反応を見せていたので。普通だったら厳しいレースになりそうなんですけど、見ていて安心感はずっとあったかなというところですね。

-:前走のフラワーCは番手に付けて、直線は余裕綽々という感じで、2着に0秒8差でした。いかがでしたか?

高:あのレースは、レース内容っていうよりも初めて輸送をしてどういう馬の形とか、どういう雰囲気とか、そういうのを見たいなと思っていました。レースに関してはいいパフォーマンスを出せる状況でゲートまで行けたので、結果は馬の能力をもってすれば出るかなと思って見ていました。外枠だったので本当にスムーズに小細工せずという感じでジョッキーも進めてくれて。馬はそんなにストレスなくクリアできたかと思います。

-:これまでは前半スローペースの競馬でしたが、今回は牡馬が相手、多頭数になります。ペースが上がっても対応できるような馬でしょうか?

高:ペースが上がったから対応できないという気性はしていないので、そこは大丈夫かなと思いますね。恐らく、乗り役の意のままに動ける馬ですので、ペースが遅かろうが速かろうが、それに関しては容易にできると思います。

-:気性面が大きなセールスポイントになるのかなと思います。それ以外にも規格外な馬なのかなという噂も立っていますし、調教師ご自身ではどう捉えているんですか?

高:潜在能力は凄いものを感じますね。ただやっぱり、牝馬ですから、まだ馬体の完成には程遠くて、現状は素質だけで3つ勝たせてもらっているという形なんです。なので、まだまだ調整に関しても油断できないですし、ひ弱な面も多々抱えていますので、本当に素質だけで走っている状況という。素質だけでこれだけのパフォーマンスを見せるから、パンとしたらどれだけ凄くなるのかなと思っています。

-:今回は前走と同じ中山、そして1ハロン延びる2000mという舞台です。この辺りはいかがですか?

高:これまで1800mのレース内容からすると、ペースとかレースレベルの違いはあれども楽して勝てていますので、距離に関してはもう1ハロン延びても対応はしてくるだろうなと見立てはしています。コースに関しては一度経験できているので、中山コースは何も問題なくこなせると思います。

-:調教に関してですが、1週前の調教はどのような指示、手応えでしたか?

高:年明けから中3週、中3週で3回使って、しかも3走目が輸送を挟んで重賞でしたので、仕上がりに関してはもう既に仕上がっている状況です。ですから、調教で能力アップを目指そうとは考えず、調整というか、馬の状態を適度にいい感じに保つ感じでいればいいなと思っていました。1週前からそんなにやらず、本当に整える程度に。ただ、併せ馬を用意して気は抜かないようにしています。いい1週前追い切りはできていました。

ファンディーナ

●我々と馬との対話だけ考えています

-:そして今週の追い切りは、坂路で併せ馬で4F54.5-39.5-26.2-13.1秒でした。これに関してはいかがですか?

高:今日もやり過ぎることはないだろうということで、無理しないようにと指示は出しています。それと、馬場状態を見たら今日の坂路のチップは正直酷いというか、時計を出すという意味ではまず出ない馬場でしたから、普通に乗っているだけでいいやっていう馬場だったので、とにかく無理せず安全に乗ってくればという感じでした。1週前と同じように先行馬を用意して、それを見せながら、折り合いに全然問題ない馬ですが、折り合いに気をつけて、一歩ずつ確認しながらミスステップしないようにという感じで。無理なくいい調整ができたんじゃないかと思います。

-:それは、もともと併せ馬の予定だったんですか?

高:そうですね。もともと併せ馬の予定でした。

-:当日の天候はまだ分かりませんが、もし馬場が渋った場合にどうでしょう。

高:そこはやってみないと分からないんですけど、これまでも良馬場だったけど時計の掛かる馬場もこなしてきましたし、こなすんじゃないかなっていう前向きな見立てはしていますけれども。

-:理想的な枠や位置取りというのはありますか?

高:基本的には、僕は乗り役じゃないので、実際に競馬という戦場を経験しているジョッキーに一任しようと思うんですけど、どこからでも競馬ができるタイプだと思うんです。脚も持っているし、先行力もあるし。まだ枠も出ていないですけど、とりあえずゲートをスムーズに出て、後はもう流れに任せてジョッキーにお願いしようかなと思います。これまでずっと先行しているので、基本的にはそういう形になっていくのかなと思うけど、決めつけず、岩田騎手に一任しようかなと思っています。

-:何と言っても皐月賞を制すことができれば、69年ぶりの牝馬の快挙となります。牡馬の一線級が相手となりますが、その辺りはいかがでしょうか?

高:歴史的なことというのは、僕らとしては意識していません。というのも、先程も言ったように若い3歳牝馬なので、まだ状態が不安定なところもあります。とりあえずファンディーナの自分の力を発揮させる状況に持っていくこと一点にだけ集中していますので、相手が牡馬だからとか、歴史的なこととか、全く考えずに我々と馬との対話だけ考えていますね。

-:先の話をするのはまだ早いかなと思いますが、結果次第ではダービー、オークスとありますが、ダービーも視野に入れているのでしょうか。

高:そうですね。無事にここを走れたらダービーに行く予定です。

-:たくさんのファンが牝馬の皐月賞でのパフォーマンスに期待しています。最後に抱負をお願いいたします。

高:馬主さんも生産者の方もこの馬、この一族に懸ける相当な期待と思いを受けていますので、それに応える我々の義務がありますから、その義務を果たした結果が応援してくれるファンの皆様にも応えることだと思いますので、精一杯の仕事をしたいなと思います。