ワグネリアンが、ヘンリーバローズを競り合いで負かす!

ワグネリアン

17年7/16(日)3回中京6日目5R 2歳新馬(芝2000m)

  • ワグネリアン
  • (牡2、栗東・友道厩舎)
  • 父:ディープインパクト
  • 母:ミスアンコール
  • 母父:キングカメハメハ

2歳新馬の結果・払戻金はコチラ⇒

圧倒的1番人気のヘンリーバローズが直線で抜け出そうとするところを、2番人気のワグネリアンが追い詰める。共にディープインパクト産駒。外のワグネリアンが、福永Jの最後の小さいステッキに促され前に出たところがゴールと、まるでマッチレース様相。そこから5馬身離れた3着にスヴァルナだったが、前の2頭とは、ちとエンジン仕様が現段階では違っていた様であった…。

火曜朝の坂路監視小屋に、音無師と友道師がいた。セレクトセールの話とかの盛り沢山の情報が行きかう濃密な時間を終えた帰りぎわに、ズバリと意地悪な質問をしてみた。
《友道先生、ワグネリアンは厩舎でどれくらいの位置にいる馬ですか?もちろんAクラスでしょうけど。あれぐらいの馬が、ゴロゴロまだいるとか?》と、核心にふれてみた。すると、『いやいや、うちでもいい方の馬ですよ。ただそんなに稽古をやっていなかったので、あの内容には驚きでしたね』と、32秒6の数字で差し切った脚を讃えていた。《子わけ馬は走りますね》とも言っていた。マカヒキがそうだった様に、相馬眼と持っているものが違うのであろうといつも思う。

このレースで自在に動いたのはMデムーロであった。スヴァルナはスタートをあまりうまく出なかった。最初はジンワリとしていたが、前半が14秒台に13秒台が続く緩い流れに1000m標識あたりで動いて、前へと進出。
同じ時にヘンリーバローズも少し前にと出て行ったその後となり、外々を廻るのを嫌ったか、3コーナーに入る時には外から内へと進路を替えている。
そのまま4コーナーを通過して、直線ラスト2ハロン過ぎぐらいに進路を外へと出して追ってきた。一瞬は先頭となった様にも見えたが、外の2頭の伸びが鋭く、あっと言う間に離されてしまっていた。 その直線で先に仕掛けたのは、前にいたヘンリーバローズ。先に行っていたキタサンタイドーとブレイクスピアーを、ラスト400を過ぎあたりで抜きにかかる。

右手に握ったステッキを、肩ムチの様に小さく入れて促す。そして外をワグネリアンが来たと同時に、右ステッキを2発入れる。普通ならそこから数字で勝つパターンであろう。それを、ワグネリアンが福永Jの左ステッキ1発で一気にスイッチが入り、勢いづいてヘンリーバローズの横へ並ぶ。この2頭の追い比べが、150mぐらい続いたのではないだろうか。 川田Jの手綱をしぼる所作のヘンリーバローズ。福永Jの左ステッキの小さな連打で、最後の伸びをみせるワグネリアン。最後の2ハロンが10.9~11.0と、気持ちのいい数字である。5馬身離れた後ろで、キタサンタイドーとの追い合いでスヴァルナが、何とかハナ差凌いでいた。

戦いを終えた二人のジョッキーが満足のいくコメントを残している様に、力を出し切った戦いでだったのであろう。 福永Jは調べてみると2歳戦で7勝と14回の負けもあるが、ダントツの勝ち鞍である。近年、この傾向が強いジョッキーだ。勝率3割となかなかの数字。いい馬に乗って結果を出す。これが最高のパフォーマンスだろう。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。