4コーナー先頭のルミナスウォリアーが押し切った!!【平林雅芳の目】

ルミナスウォリアー

17年7/16(日)2回函館4日目11R 第53回函館記念(G3)(芝2000m)

  • ルミナスウォリアー
  • (牡6、美浦・和田郎厩舎)
  • 父:メイショウサムソン
  • 母:ルミナスハッピー
  • 母父:アグネスタキオン

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雨がいつの間にやら降り出した函館競馬場。みるみる雨脚が強くなり、馬場状態がどんどんと悪くなっていく。9Rの芝では重にまでなり、タイムも3秒近く遅いコンディション。
ヤマカツライデンが予測どおりに逃げの手に出たが、最後のコーナーではほぼ一杯。外から進出してきていたアングライフェンとその外ルミナスウォリアーが並び直線ではさらにもうひと伸びしたルミナスウォリアーが、待望の重賞初制覇となった。2着には最後に脚を伸ばしたタマモベストプレイで、ヤマカツライデンがもう一度差し返しての3着。3連単は90万越えの大荒れの結果となった。

予報に雨なんてあったのだろうかと信じられない思いで、テレビ画面から映し出す雨の降り方に怒りまで感じていた。ステイインシアトルは、スピードを生かすタイプ。この馬場で、まして好位での競馬となると、持ち味を生かせずに終わりそうな予感となった。
そしてその嫌な予感は当たってしまった…。向こう正面を過ぎて3コーナーに入る時に武豊Jが手綱をしごきだして押しているのに廻りの馬の方が勢いが良く、そのうちに下がりだしていく。その瞬間にもうダメだと観念をした。元々、函館は雨が降ってしまうと極端に悪い馬場になってしまう傾向がある。今年は芝を刈っており時計が出やすい馬場になっているだけに、芝が掘れて切れてしまうと、より悪くなるのが早いはずである。

ヤマカツライデンは、決して遅いペースで逃げる馬でない。今回も、12秒台の後半は5ハロンめの12.6だけ。1000メートルを1.00.6で行った。そして追随する馬も早めに来ているからおしなべて早い流れで推移する。後の1000メートルを同じく1.00.6で来た勘定になる勝ち時計の速さである。この馬場とこの流れで2.01.2は速い。
重賞挑戦すること5回目のルミナスウォリアー。去年の七夕賞から戦って、今年はAJCCで4着、そして前回の金鯱賞で5着とまずまずの結果を出して来ていたところであった。追い切りビデオで、柴山Jがゴール前で相手の馬の動きを顔を横にして見ているのが凄く印象的だった。《あの行動は何だったんだろう?》と思いながら、その記憶もボンヤリと薄れていっていた。今思えば、よほど手応えが良くて《どうだ…》の思いでの行動だったのかと思えるもの。

そして2着のタマモベストプレイにも驚く。けっこう強いところへ使ってきている馬だけにもっと注目されてもいいのだが、如何せん成績が悪くて見逃してしまうものだろう。よくよく調べてみると、決して走らない馬ではない。認識不足な様である。
サトノアレスには、やはり距離的な壁があったようだ。それに、この馬場も影響しているだろう。
それにしてもマイネルミラノである。4コーナーまでヤマカツライデンの外を手応えも悪くなく廻っているのに、最後は11着の敗退である。ツクバアズマオーがそのひとつ前の着順であった。
荒れるハンデ戦の函館記念。今年も直前の雨で、全てが変わってしまった感がある。これが競馬、函館の難しさなのであろう…か。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。