ウインガニオン、重賞初挑戦で勝利 中京はまるで自分の庭!【平林雅芳の目】

ウインガニオン

17年7/23(日)3回中京8日目11R 第65回中京記念(G3)(芝1600m)

  • ウインガニオン
  • (牡5、栗東・西園厩舎)
  • 父:ステイゴールド
  • 母:チャンネルワン
  • 母父:ポリッシュネイビー

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土曜の後半から、内を突いた馬が勝つシーンが見られた。内か外かは、乗り手の判断。
トウショウピストの逃げで始まった今年の中京記念だが、離れた2番手を進むウインガニオンが4コーナー入口で内から並び、直線はそのまま内ラチ沿いから脚を伸ばす。同じくインコースから追って来たブラックムーンと外から脚を使うグランシルクの2着争いとなったが、グランシルクの勢いが勝った。
ウインガニオンは、これで中京コースは3戦3勝の好相性。左廻りが巧いのか、中京が合うのか。重賞に初挑戦で勝利をもぎとった…。

中京競馬場での観戦場所は、調教師席の隣りのスペースで厩舎関係者が見たりするところ。一般席もすぐ左隣りで、場内の喧騒がすぐに判る場所。
パドックで馬を見て先に上がってきて、馬場入りからキャンターに移る姿もまじまじと見れるいいポジションだ。ダクからキャンターに入るまでの歩きを確認するいいチャンスの場所だ。
こんなに硬い歩きをするのかと思う馬が2,3頭いたが、最後の方のブラックムーンも凄い歩きの硬い馬で、《大丈夫か?》と思えるものであった。西浦助手にその話をすると、《だから前半に急がせるとダメなんですよ~》との答えであった。最近の戦法が納得できた。

スタートした。中京競馬のマイル戦は右奥のポケットからのスタートで、これ以上右には何もない場所だ。
ほぼ一斉のスタートで、ピークトラムもいい出をしてくれて、まずは安心。横一線ぐらいの中から、押してトウショウピストが出て行った。スーサンジョイ、ピークトラムと続く内から、ウインガニオンがスルスルと上がって2番手。マイネルアウラートが5番手の好位。ブラックムーンは、やはり一番後ろの位置だ。
トウショウピストの逃げは、けれんみのない逃げで後続をは4,5馬身も離すもの。グランシルクはアスカビレンのすぐ後ろで、ちょうどまんなかぐらい。ダノンリバティが続き、ワンアンドオンリーがブービーでブ、ラックムーンはそこから2馬身離れたドンジリだ。

前半3Fを34.7と、そうハイペースでの逃げではない。ウインガニオンと3番手スーサンジョイで2馬身の間隔。スーサンジョイから後ろのマイネルアウラートまでが3馬身も開く。最後方のブラックムーンまでは、とてつもない縦長の展開となっていた。

3コーナーに入って行く時に、ブラックムーンは外から内へと入ってきた。3コーナーから4コーナーの中間でだいぶトウショウピストが息を入れたのか、後続との差が詰まりだしてきた。マイネルアウラートが前との差を詰めて行く。
4コーナーが近づいて、ぐっと前との差がなくなってきた。ウインガニオンが内ラチ沿いを廻っているのが判る。

全馬が見れる。内ラチ沿いをウインガニオンが廻る。トウショウピストは馬場のいい方を選んで来ている。その間に入ったのが、スーサンジョイ。ピークトラムも外へと出してくる。ガラリと開いた内へブ、ラックムーンが入ってきている。
ウインガニオンが先頭となって、ラスト300。後続の脚色からも、交わせそうな勢いの馬はいない。馬群の中からグランシルクが伸びてきている。最内からブラックムーンが伸びる。グランシルクの内からアスカビレンも続く。ウインガニオンは止まらない。完全に勢いづいてグイグイと伸びていく。
興味は2着争い。一旦は内のブラックムーンが上がった様に見えたが、外のグランシルクがゴールではアタマ差交わして2番手に入った。ダノンリバティがゴール寸前で前を交わして5着。5番人気までの馬が上位に入った。

階段でちょうど西園師と一緒になる。中京で負け知らずを知っていたからその質問をすると、『エエ、左廻りは得手でしょうね。新潟でも東京でも勝っていますからね。今日は内ラチ沿いを通ってこいとの狙いどおりでしたね…』と笑みを浮かべる。作戦どおりだった様子である。
去年は外しか伸びない芝だったが、今年は先週あたりから内でも伸びる傾向もあった。PVで見ると、津村Jは最初だけはそうでもなかったが、すぐに内もラチ沿いを選択。良く見ると、そこだけ芝は綺麗に見えた。MデムーロJも3、コーナー過ぎから同じく内を選択している。直線もウインガニオン、ブラックムーン共々同じコースを通ってきているのが判る。ここらは良く調べてあると思えるものであった。

グランシルクの福永Jは、いつもどおりの外作戦。彼は中京コースを熟知していて、数多くの勝利をものにしている。伸びる場所、乗り方を手に入れたかの様な快進撃を見ている。
しかしその上を行ったウインガニオン。差して勝ったこともある馬だが、誰もいない内をスイスイと走り、気分よく直線もゴールへまっしぐら。重賞初挑戦とは思えない完勝であった。もしかすると、このまま一気にてっぺんまで行く馬かも知れない。そんな勢いを感じるものであった…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。