今年も無敗の女王 ラッキーライラックだ!【平林雅芳の目】

ラッキーライラック

17年12/10(日)5回阪神4日目11R 第69回阪神ジュベナイルF(G1)(芝1600m)

  • ラッキーライラック
  • (牝2、栗東・松永幹厩舎)
  • 父:オルフェーヴル
  • 母:ライラックスアンドレース
  • 母父:Flower Alley

阪神ジュベナイルFの結果・払戻金はコチラ⇒

2戦2勝の負け知らずの馬が、東西で2頭ずつの4頭。その4頭が当然に人気を集めた。昨年の女王を彷彿させる関東馬、二ノ宮厩舎のロックディスタウンが1番人気。続いて関西馬、ラッキーライラック、マウレアが差のない支持。
ロックディスタウンは好位からのレースをしたが、直線で伸びあぐねてしまう。同じオルフェーヴル産駒のラッキーライラックが、先に出たリリーノーブルをキッチリと捕らえての戴冠。確かなる末脚で、2歳女王に輝いた。

勝ち馬は1頭。負け知らずの馬でも、今日は決着がついてしまう。そんな判りきっていることだが、いろいろと夢を膨らます。それが2歳馬の頂点決定戦の悲しさと楽しさだ。自分の推理があたるのか否か。自分の競馬観が問われる一戦でもある。
阪神のマイルの外廻りで、展開の綾よりも実力が問われる一戦でもある。最内枠のサヤカチャンが行くのかと思われた展開だが、その読みも外れる。ラテュロスを制してラスエモーショネスが行くが、そう速いペースではない。外からコーディエライトが前へ出て来て、ロックディスタウンも好位の4番手。そう掛かっているとは思えないが、外枠で前に壁に出来ないのか、思わぬ前に位置していた。

前から4列目にリリーノーブル、その少し後ろにラッキーライラック、内にマウレアが潜っている。ここらで馬群のちょうど真ん中あたりか。
外からナディアが上がって行くがそれもジワっとした行きかたで、整然たる流れで進む。1000mを59.9と、良馬場なら普通以下の流れで4コーナーへと入ってきた。
前にロックディスタウンを見る形のリリーノーブルが、ジワっとさらに前へと進めてきた。それを見る形でラッキーライラックが後ろに続く。内からマドモアゼルが外へ出してきて、リリーノーブルが外へ押される。後でPVを見ると、リリーノーブルは手前を替えないのか、コーナーリングがあまり巧くいけてなかった感じであった。小さく廻れずに、やや外へ流れ気味で最後のカーブを廻って直線へと入ってきた。

4コーナーの大きな空間を過ぎて直線へ入ってきた。すでに前の馬が追い出している。
ロックディスタウンが先頭気味で、ラスト300のオレンジ棒を通過。すぐ外へリリーノーブルがマドモアゼルを挟んで上がってきている。その外をラッキーライラックも来ている。
手綱を押していたリリーノーブルの川田騎手が、左ステッキを入れて先頭に立っていく。マウレアがマドモアゼルの外へ出してラッキーライラックとの間に入ろうとするが、勢いが違う。
ラッキーライラックの石橋騎手の左ステッキが、連打される。数えてみたら7連発であった。リリーノーブルを捕らえたのはラスト100のオレンジ棒通過あたり。その2頭が内へと寄っていきながらの壮絶なる叩き合い、追い合いである。外へ出したマウレアも激しく追ってきてはいるが、前の2頭と同じ脚色で上回らない。前の2頭は外のラッキーライラックが最後の1発のステッキを入れ、後は手綱をしごいて石橋騎手が促してのゴールであった。

4着のトーセンブレスがけっこういい脚。直線ではだいぶ後ろからの伸びであったが、目立っていた。モルトアレグロも悪くない伸びをみせていた。ただ前の3頭が馬群から抜け出た形での決着。十分に持ち味を出した戦いだったかと思える。ロックディスタウンは夏以来の実戦も響いたのかも知れない。
まだ3戦目の戦いである上位3頭で、伸びしろもたっぷりあるはずだ。ここへ数頭が加わっての桜前線での戦い。新種牡馬のオルフェーヴル産駒が早くも2歳G1を制覇と、新しい流れもある。ますます面白くなってきた2歳戦である。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。