毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【セントウルS】1番人気の単系馬券は危険!?
2017/9/3(日)
1987年に1400mのG3戦としてスタート。2000年にスプリンターズSが秋に移行してきたのに伴って距離を1200mに短縮。スプリンターズSの前哨戦として重要な位置付けとなり、2006年よりG2に格上げされ外国馬も出走出来るようになった。また、2006年からサマースプリントシリーズの最終戦に指定され、優勝馬から6頭がシリーズチャンピオンになっている。一流スプリンターにとっては秋の始動戦にもなる注目の一戦をデータから解き明かしたい。
アイビスSD組がハイアベレージ!
[前走レース]過去10年、北九州記念組が5勝、アイビスSD組が3勝と、この2レースが王道ローテといえるのだが、アベレージは大きく異なり、アイビスSD組は9頭が3勝、2着1回と非常に優秀な数字を残している。また、アベレージを見ると、夏場を休養に充てた馬が多く好走しており、高松宮記念からのぶっつけも連対率37.5%のハイアベレージを叩き出している。
スプリンターズSを占うG2戦とあって、前走が条件戦だった馬はいない。
過去10年注目データ
[馬齢]過去10年、5歳馬4勝、3~4歳馬が各3勝と勝ち馬が出ているのはこの3世代。6歳以上はアベレージがガクンと下がり、7歳以上の馬で馬券絡んだのは、10年2着の香港馬グリーンバーディー1頭のみ。6歳以上は割引と考えたい。
[前走着順]前走からの勢いは比較的重要で、前走から連勝を果たした馬は4頭。2~3着もそれぞれ3頭ずつで、前走2着馬は未勝利ながら2着が4回、前走3着馬は3勝で2~3着がゼロと偏りはあるものの、前走3着以内の馬はしっかりとチェックしておきたい。
前走2ケタ着順が3頭馬券に絡んで2勝しているが、いずれも2走前に重賞で2着に入っていた。
[枠順]枠の傾向は極端で、アベレージが高いのは内の1、2枠と大外の8枠。特に8枠は2勝、2~3着が3度ずつと複勝率は40%にものぼる。
馬番別では1枠の2勝は全て「1」、2枠の3勝は全て「4」でこれも極端な数字。そして「16」はフルゲートになった6回の成績が(1-2-1-2)で複勝率66.7%。馬に番関係なく、大外に入った馬は(2-3-1-4)と外枠の活躍が目立つ。過去10年、馬券絡みがない馬番は「2」「5」の2つ。
[脚質]先行馬が強い傾向で4角先頭の馬も3頭がそのまま押し切っている。4角10番手以下からの直線一気は全く決まらず、連に絡んだ2頭は1番人気と2番人気のいわゆる取りこぼし。先行力のある馬を中心視したい。
1番人気の単系馬券は危険!?
サマースプリントシリーズを戦ってきた馬と、秋を見据えて夏場休養していた実力馬が大一番を前にぶつかり合う一戦。前者は疲れ、後者は余裕残しなのか、1番人気馬は複勝率80%と安定して上位に食い込んでいるが、勝ったのは昨年のビッグアーサーただ1頭。あのロードカナロアも2年連続2着と取りこぼしている。連系、複系の軸とすれば信頼出来るが、単系では過信は禁物。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 1-5-2-2 | 10.0% | 60.0% | 80.0% |
2番人気 | 2-2-1-5 | 20.0% | 40.0% | 50.0% |
3番人気 | 1-0-1-8 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
4番人気 | 2-0-0-8 | 20.0% | 20.0% | 20.0% |
5番人気 | 1-1-2-6 | 10.0% | 20.0% | 40.0% |
6~9番人気 | 1-1-2-36 | 2.5% | 5.0% | 10.0% |
10番人気~ | 2-1-2-55 | 3.3% | 5.0% | 8.3% |
美浦のジョッキーに旨味!
圧倒的に関西馬が強いレースで、関東馬の連対は09年の勝ち馬アルティマトゥーレまで遡らなければならない。
ジョッキーを見ると、美浦所属も健闘していて、21回の騎乗機会で3勝、2着2回と高いアベレージを誇る。秋競馬開幕週で敢えてアウェーに乗り込んでくる美浦所属のジョッキーは要注意だ。
[乗り替わり]夏のローカル重賞は乗り替わりの馬が活躍するレースも多々見られたが、ここはシリーズチャンピオンを決めるのと、スプリンターズSを睨んだ一戦とあって、乗り替わりの馬は大きく割引。近3年は乗り替わりの馬が連続で馬券に絡んでいるが、昨年3着のラヴァーズポイント、一昨年3着バーバラともに、以前、勝ったことがあるジョッキーとのコンビ復活だった。
[当該コースの騎手成績]2012年以降、阪神芝1200mで最も多くの勝鞍を挙げているのは福永騎手と武豊騎手の10勝。勝率と複勝率はさほど変わらないが、連対率は福永騎手、回収率は武豊騎手が勝る。以下、幸騎手が8勝、川田、和田竜、浜中、そして意外というと失礼かもしれないが国分優騎手が7勝を挙げている。
ちなみにこうしたデータでは圧倒的な数字を残しているC.ルメール騎手は17回の騎乗で2勝、2着5回と取りこぼしが多い。
[馬体重]勝ち馬の最少馬体重は11年エーシンヴァーゴウの464キロ。それ以下の馬で複勝圏に入ったのは15年3着で436キロだったバーバラのみ。500キロ台の馬の活躍が目立ち、スピードに加え、パワーも要求される。
[種牡馬]過去10年の勝ち馬の父を見ると、サクラバクシンオーが3勝。出走頭数が24頭と圧倒的に多いこともあるが、さすがという数字を残している。また、リピーターが多いレースで、アドマイヤムーン、ダイワメジャー、キングカメハメハは同じ馬で2度の馬券絡み。サクラバクシンオー以外で複数の馬券絡みを果たしているのはディープインパクトで、15年にウリウリが2着、バーバラが3着に入った。
登録馬17頭のうち16頭が5歳以上というベテランが揃った一戦。データからは勝ち切るギリギリ20戦以内のキャリアで、勝ち馬が最も多く出ている北九州記念組から、唯一の4歳馬ファインニードルの重賞初Vに期待したい。阪神では条件戦ながら2走前にトップハンデを背負って快勝。このレースと相性がいいアドマイヤムーン産駒で大幅な馬体減がなければ上位争い必至とみたい。