一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
今週末は騎乗停止です
2017/9/29(金)
後記するアクシデントもありましたが、先週は2勝を上げることができました。マイネルヴンシュ(3人気)はレースを使いつつ気性面が前向きになってきて、返し馬から「いいなぁ」と雰囲気が伝わってくるほど力もつけていました。レースでは内に入れて集中力を最後まで途切れさせないように走らせることをテーマに。上手く能力を引き出せたと思います。次走は一緒に菊花賞へと向かう予定で、同世代の一線級相手にどこまでやれるか楽しみです。タイドオーバー(6人気)は初戦からシッカリ走れていた馬で、中山に変わるのは良さそうと思っていました。実際、想像を上回る勝ち方でしたし、前のレースで降着になってしまっていたので、気を引き締め直すという意味でも嬉しい勝利でした。
オールカマーのマイネルミラノ(10人気④着)は4角までいいリズムのまま後続を引き離せてもう少しでしたが、今回のメンバーに差のない0秒2差ですからね。久々にミラノらしいレースができて、まだまだやれるということを再認識できました。とにかく前半のリズムを重視して、馬の気持ちが入ったところで長く脚を使わせるという競馬がマッチしたと思います。マイネルプリンチペ(1人気②着)は物見しながら走るなど普段の調教では見せないほど馬が気を使っていましたが、初戦としては及第点の走り。惜しむらくは一瞬の脚で抜け出されてしまった勝ち馬が強かった。使えばさらに良くなると感じていたので、2戦目の上積みに期待します。コスモレリア(6人気③着)は懸念していたスタートも出てくれて、距離が延びて流れに乗っていけませした。レースの幅が広がったので、次走はさらなる前進を意識したい。
結果として②着入選からの降着処分で僕も騎乗停止になってしまったラプターゲイル(14人気③着)は状態の良さを伝え聞いており、2戦目で競馬を分かっていました。あのような結果でしたが、最後まで脚を使えて次に繋がる内容だったと思います。正直、そこまでの妨害とは思わなかったので、かなりショックだったというのが率直な感想。それでも、自分が動いていないわけではありませんし、相手の馬や今週に向けて騎乗馬を揃えてくださっていた関係者の方々、馬券を買って応援していただいたファンの皆さんに迷惑をおかけしたことを反省しています。
先週は最終レース後にジョッキーフェスティバルがあり、まずは椅子取りゲームで優勝。次週の休みが決まってしまったので余力を残さず頑張りました。それよりも悔しかったのがマラソン大会。普段から走りこんでいるのに思ったほどついて行けなかったことが、騎乗停止に続いてショックでした。20歳前後の子達とはあんなに体力差があるんですね……。ちなみにジョッキーは誰もが負けず嫌いで、このようなイベントは本気で挑みます。精神的なものと相まってヘトヘトになり、あの日の夜はいつ以来かなというくらい爆睡しました。
昨日(木曜)はかねてからお知らせしていた生うまトークサミットに出演してきました。初登壇だったので競馬よりも緊張しましたが、水上さんの名司会、谷中さんの突っ込み、柴山騎手のぶっちゃけのおかげで途中からはほぐれ、とても楽しい時間を過ごすことができました。ファンの皆さんの真剣な眼差しや温かい声援が励みになりました。機会があれば再び参加させていただきますので、その際はまた遊びに来てください。さて、気合を入れて本業の競馬!といきたいところでしたが、反省の週末……。騎乗予定だった馬を応援しつつ、月曜から北海道でオータムセールがあるので前入りしようかと考えています。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。