2016年の阪神JSでJRA史上初の同一重賞7年連連対記録などJUMPレースの顔として活躍する高田潤騎手。 そして、ファンサービスの積極性は競馬界一とも噂される熱き男の生の声をお届けします!
予期せぬアクシデント
2020/1/24(金)
高田潤です!!
先週の土曜日は、中山競馬場で残念な落馬事故がありました…
雪が舞う中でのレースとなったジャンプレースでの事故だったんですが、
スタートして最初の障害で転倒してしまった馬が故障によりその場で動けなくなってしまい、2周目にさしかかった他の馬の一頭が、倒れた人馬の救護にあたっていた係の方と接触し更に落馬をしてしまいました。
雪が降っていて、多少視界も悪かったこともあるかと思いますが、馬が倒れている手前には赤いコーンが並べて置かれており、ジョッキーたちは騎乗馬を外に回避するように誘導されていました。しかし、ひとりのジョッキーが、そのカラーコーンに気づくのが遅れ、外を回れずに接触してしまったそうです。。
テレビでレースをご覧になられていた方は、状況がよくわかったと思いますが、実際にレースで騎乗しているジョッキーは本当に瞬時の判断が要求されます。
僕も今回のような経験はあるんですが、レースでの速いスピードの中で、更に状況が把握できていない中で回避をしなければいけないので、先がどうなっているかわからないという怖さもあるし、本当に判断が遅れてしまうと大変なことになります。 落馬した2人のジョッキーは無事だという記事はありましたが、馬と接触してしまった係の方は肩を骨折してしまったそうです。
乗っている側もそうなんですが、倒れている馬を、猛スピードで走ってくる後続馬から守り救護しなければいけない係の方も本当に大変な仕事だし、相当な怖さもあると思います。障害の着地地点からは走ってくる馬は見えておりませんので、後続馬がどこを飛んでくるのか予測できず、本当に体を張って馬とジョッキーを守ってくれています。
今回はそんな中で起きてしまった事故なんですが、今回のようなケースは数年に一度くらいしかないような事案ですので、なかなかこれといった対策というかマニュアルがありません。
テレビで見ているだけだと簡単に思えますが、コーナーをまわってすぐの場所だったので、現場では対応が本当に大変だったと思います。
結果的に今回は二次被害が起きてしまいましたが、馬場内の係の方々は出来る限りの最善の対応をしていただけたと思います。
何名か判断が遅れたジョッキーもいましたので、やはり乗る側ももっと細心の注意を払って騎乗していかなければいけないと思います。
これは今後、自分にも言えることですので、ジョッキーみんながしっかりと気をつけて騎乗しなければいけません。
なかなか言葉で伝えるのは難しいですが、
競馬は本当に予期せぬアクシデントはつきものですので、
馬やジョッキー以外でも、現場の裏方ではたくさんの方々が体を張って、ひとつのレースを支えてくれているという事をわかっていただけるとありがたいです。
今回怪我をしてしまった係の方の1日でも早い回復を願っております。
プロフィール
高田 潤 - Jun Takada
1980年11月3日生まれ、大阪府出身。
1999年に松田博資厩舎所属から騎手デビュー。デビュー当初から、平地・障害の垣根を越えた活躍を続けると、2006年にはドリームパスポートで神戸新聞杯を制覇。これが平地重賞初勝利となった。
一方、2008年にはキングジョイとのコンビで中山大障害を制し、キャリア初のJG1勝ち。2013年には待望の障害リーディングに輝いた。
また、2009年には師匠である松田博資師の元を離れ、フリーに転向。2012年にも生涯の伴侶を得るなど、公私ともに充実期を迎え、障害競走の次代を担う存在として更なる活躍が期待される。