2016年の阪神JSでJRA史上初の同一重賞7年連連対記録などJUMPレースの顔として活躍する高田潤騎手。 そして、ファンサービスの積極性は競馬界一とも噂される熱き男の生の声をお届けします!
馬の仕上げについて…
2022/8/26(金)
高田潤です!!
先週は小倉のジャンプレースでグレートバローズが頑張って走ってくれまして圧倒的な人気に応えて1着を獲ることができました!!
厩舎陣営、関係者の皆さまに感謝です(T-T)
しかし、残念なこともありました…
今週小倉競馬場で行われるジャンプ重賞『小倉サマージャンプ(J•G3)』で騎乗する予定だったサトノパシュートですが、
今週の追い切り後に脚が腫れてしまい、当レースを回避することになりました…
こういうことは起こり得ることですが、
ここまで本当に順調にこれていて、状態も良く、めちゃくちゃ期待していたので非常に残念ですが、仕方ないですね…
ちょっと今回は専門的な話になるかもしれませんが、
今朝の調教終わりに調教スタンドで、たまたま同期のヒデ(武英智 現調教師)がいたので、何気なく話しました。
「ひで、馬って何で調子がいいときに急に故障したりするんかなぁ??(;_;)」
ヒデ『ん〜〜、いろいろ原因はあるんやろうけど、難しいなぁ… でも調子いいときほど故障しやすいからなぁ… ん〜、難しいなぁ…』
ひでは今は調教師なので、ジョッキー以上に馬の故障やケアに関して余計に気をつかっている部分はあると思いますが、これは全てのホースマンに言える永遠の課題だと思います。
これまでにも、数々の名馬が故障によりターフを去りました。
管理馬が一度も故障したことがない。という厩舎は恐らくというか絶対に無いと思います。
それくらい競走馬にとって故障はデリケートな問題だと思います。
ヒデと馬の話をすると、あーでもない、こーでもない、といつも永遠に話してしまうんですが、
今朝も1時間以上ずっと話していました。
気づけば、馬場開場時間もすぎて、馬も厩務員さんも、スタンドには誰ひとりとして居なくなっていました…( ̄▽ ̄;)
いくら話しても結論が出ることのない話ではあるんですが、考えることは大事だと思っています。
これは、考えのひとつですが、
例えば、
馬を100%の目一杯の状態の仕上げで、
100%全力の走りをさせたとします。
すると、仕上げと走りで100+100=200%
この200%がレースのMAXの数値だとします。
この200%のレースをさせると当然レースにおいては最高値のパフォーマンスは出来ますが、恐らく馬の消耗とダメージが非常に大きくなると思います。
ですので、毎回200%でレースにいくのは非常にリスクがあります。
となると、目標にするレースを逆算してそこに向けて200%になるように作っていかなければなりません。
ここで今朝、ヒデと討論になった内容なんですが、
例えば目標レースがまだ先で、
前哨戦で160%のチカラをレースで使う場合、
100%の仕上げで60%の走りをさせるのか、
80%の仕上げで80%の走りをさせるのか?
これ、どちらの方が馬のダメージが残ると思いますか??
それとも90%の仕上げで70%の走りがベストなのか??
と、こういうような話を延々としていました。
これは、馬が喋れたら1発で解決する問題なんですが、本当に考えさせられます。。
考え出したら止まりません。。
自分の身近な馬が故障するたびに悩みます…
これからも、少しでも馬にとって良い方法を追求し続けていきたいと思います…
プロフィール
高田 潤 - Jun Takada
1980年11月3日生まれ、大阪府出身。
1999年に松田博資厩舎所属から騎手デビュー。デビュー当初から、平地・障害の垣根を越えた活躍を続けると、2006年にはドリームパスポートで神戸新聞杯を制覇。これが平地重賞初勝利となった。
一方、2008年にはキングジョイとのコンビで中山大障害を制し、キャリア初のJG1勝ち。2013年には待望の障害リーディングに輝いた。
また、2009年には師匠である松田博資師の元を離れ、フリーに転向。2012年にも生涯の伴侶を得るなど、公私ともに充実期を迎え、障害競走の次代を担う存在として更なる活躍が期待される。