先週の小倉では、北九州記念でモズスーパーフレアがレッドアンシェルに負けはしたがG1馬としての貫禄を見せる速さを見せてくれた。

さすがに北の地のスプリント戦のキーンランドカップでは、小倉の様に32秒台で飛ばすラップは過去にない。過去14回でいちばん速かったのは2011年のカレンチャンが勝った時の33.0で、カレンチャンは2番手から抜け出している。

昨年もダノンスマッシュで勝利した安田隆厩舎は、短距離路線は相当なる強さを持っている。ロードカナロア産駒は長くても強いが、短距離は格別であろう。

今年はダイアトニック。58キロの斤量は重いが、短距離戦ではそれほど苦にならない過去でもある。このレースは14回の歴史であるが、鞍上の武豊騎手はまだ勝っていない。今年こそ、念願の勝利を手中にできるのか。

立ちはだかるのは、前走2着のダイメイフジライトオンキューも昨年以上の臨戦態勢である。そして3歳馬ヤマカツマーメイド、やはり51キロの軽量は魅力過ぎる。


【札幌記念の回顧】

20年8/23(日)2回札幌8日目11R 第56回 札幌記念(G2、芝2000m)
  • ノームコア
  • (牝5、美浦・萩原厩舎)
  • 父:ハービンジャー
  • 母:クロノロジスト
  • 母父:クロフネ

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4角へ入って行く時に先頭へ出て行くラッキーライラックはともかくも、他の馬がもがいているのに、ただ1頭、持ったままでスッと上がって行ったのがノームコア。それまで内でジッと動かなかったノームコアだったが、4コーナーを廻って来る時の動きは俊敏そのもの。それも最高の手応えで直線へ入って来た。

先頭へ躍り出たラッキーライラック。だが直線半ばにも達しないうちに、伸びが止まり気味となった。と言うか、ノームコアの勢いが凄すぎたのである。前を行く息子、和生騎手のトーセンスーリヤの横を並ぶ間もなく通過して、アッと言う間にラッキーライラックの傍へ。

ラッキーライラックのMデムーロ騎手がステッキを入れる同じタイミングで、ノームコアにも入る。すぐに抜き去った後はそんなに追うこともなく、やや流し気味でゴールを目指す。ゴールの少し前、左手を、人差し指を1本真っすぐ大空へと掲げた。真っ青な大空へ。完璧な騎乗から勝利へと導いた流れるような動き。まるで作品の最後の仕上げだった様だ。

ペルシアンナイトがノームコアの通った後を追うように伸びて、ラッキーライラックをも交わして2着。ハービンジャー産駒のワンツー、終わってみればG1馬のワンツースリーだった。

だが思惑とは違った着順ではあった。ノームコアの3戦前の高松宮記念への出走がどうしても気になっていた。G1と言え、距離は1200。その参戦の意味合いが読めずにいた。その後のG1マイル戦での内容を考えれば、まったく問題ないのではあるが。だからどうしてもラッキーライラックへの期待へとなってしまっていたと反省する。《下手の考え休みに似たり》がピッタリであった。

この日、横山一家は親父が2勝、和生騎手が1勝、武史騎手が2勝。札幌記念へも3人とも騎乗で、それぞれが納得の着順であった様である。

円熟の極みである横山典弘騎手。ノームコアの秋の戦いは、当然に日本最強馬のアーモンドアイとの戦いでもある。人馬ともに圧巻の札幌記念でした。