競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【ローズS】この夏でどれだけ精神面の成長があったかが問われる戦い
2020/9/15(火)
牝馬のローズステークスをピックアップしよう。2冠馬デアリングタクトが本番直行となって、一番強い馬がいない組み合わせ。オークス3着のウインマイティー、5着のマジックキャッスルは先週の紫苑ステークスで6着と4着。オークス4着のリアアメリアが当然に人気となるのだろう。
スタートで少し窮屈となり、やはり後ろからとなったオークス。勝ったデアリングタクトの1頭前での競馬となった。道中は内目だったが向こう正面で外へと出し、直線でも馬群のかなり外目での伸び。内の3頭に伸び具合が劣ったが、まずまずの内容だった。同厩のクラヴァシュドールもキャリア3戦だったデゼルも、オークスからの巻き返しを図る。
この夏でどれだけ精神面の成長があったかが問われる戦い。本番をいい形で迎える為にも結果が欲しい。
【セントウルステークスの回顧】
20年9/13(日)2回中京2日目11R 第34回 セントウルステークス(G2、芝1200m)
- ダノンスマッシュ
- (牡5、栗東・安田隆厩舎)
- 父:ロードカナロア
- 母:スピニングワイルドキャット
- 母父:Hard Spun
セントウルS(G2)の結果・払戻金はコチラ⇒
秋の中央競馬が始まった。開幕週らしい、先行押し切りの形だった。土曜の中京メインのダート戦にしろ、それ以外の3鞍の芝の戦いにしろ、先行有利な馬場を味方にしての勝利。当然と言えば当然なのだが、終わってみればそれが余計に顕著に出ていた。
日曜、東西のメインは安田隆厩舎のロードカナロア産駒の勝利だった。中山の京成杯オータムハンデはトロワゼトワルが2番手から接戦をものにし、中京のセントウルSは前の激流の真後ろで構えたダノンスマッシュが直線で抜け出しての勝利。
ディープインパクトの次に勝ち鞍を挙げるロードカナロア産駒。スーパーアイドル、アーモンドアイもいるし、サートゥルナーリアにステルヴィオのG1馬を輩出する一方で、スピードに傑出した子供達を出すロードカナロア、今後ますます活躍するだろうと予測できる。
さてレース回顧に入ろう。3歳馬、ビァンフェの逃げだろうと単純に思っていたが、そうは簡単ではなかった。先手こそが生きる道のラブカンプーが大外から果敢に前に行くが、そこにはすでにラチ沿いをセイウンコウセイが出鼻を叩いて先頭に立っていた。ラブカンプーは後ろを観て2番手に収まる。セイウンコウセイ自身の逃げは昨年夏のCBC賞以来。ビアンフェ3番手、ダノンスマッシュ4番手で進む。
セイウンコウセイの単騎逃げとなった。TV画面の前半3Fが33.0を観て思わず《速い!》と思ったが、次の1ハロン11.4で4ハロンが44.4で通過。これは昨年のマテラスカイの逃げた時よりも遅いもの。
ラブカンプーの脚が止まり気味となりセイウンコウセイが楽に直線へ入って来たが、あと1ハロンを前にダノンスマッシュに交わされる。ダノンスマッシュは先頭のまま、セーフティリードを保ってゴール。2着にメイショウグロッケ、内の8番手で脚を貯め、直線、外へ出して前を行くミスターメロディを交わした。今まで1400でさえも3戦で1200は初めてとは思えぬ脚を見せた。
いやはや、馬は奥が深い!
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。