この秋の回顧録はルメールばかりを書いている。それほどに結果を出すルメール。今週もグランアレグリアとの名コンビでマイル王者へチャレンジだ。

安田記念でアーモンドアイを差す。1200でもその切れはブレない。気が付けば、今年はG1ばかり3戦であの雨の高松宮記念でも2着。安田記念、スプリンターズステークスと連勝。春、夏、秋と走ったレースでは、最速の上り脚で駆け抜けている。

思いだせば、昨年12月の阪神カップ。内ラチ沿いから馬の間を縫う様に前へ出てきたグランアレグリア、ノーステッキで5馬身もの差をつけて勝った。あれは強烈な印象で残っている。この馬の切れは群を抜いている。幸いに木、金は雨マークだが週末は大丈夫。

相手候補は、当然に3歳のサリオス。路線を短くして真価を問う。同じ3歳馬では昨年の最優秀2歳牝馬、レシステンシアのスピードも魅力。インディチャンプアドマイヤマーズもいる。ゴール前の攻防が面白い一戦となりそうだ。


ラッキーライラック

【エリザベス女王杯の回顧】

20年11/15(日)5回阪神4日目11R 第45回 エリザベス女王杯(G1、芝2200m)
  • ラッキーライラック
  • (牝5、栗東・松永幹厩舎)
  • 父:オルフェーヴル
  • 母:ライラックスアンドレース
  • 母父:Flower Alley

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2着のサラキアとの差はクビ差ではあるが、その差はとてつもなく大きなもの。ラッキーライラックが4角から早めの仕掛け。直線の坂に入る前から先頭。一旦は2、3馬身の差をつけたが、最後はサラキアとラヴズオンリユーにクビ、クビ差に迫られたエリザベス女王杯。だが、それは数字上のことで実際は後ろの馬が届く前に先にゴールなのであった。

ルメールがレース後のインタビューで、アナウンサーにそこを聞かれていたが、軽く、いなす様に応えていた。「でも、遅かったね~」と。「着差はクビでも、永遠の差ですよ~」と言いたかったのだと思う。

馬場入りして返し馬を終えた時に、専門紙上にキャンターで良かった馬に印をつけた。◎はラヴズオンリユー、動きがしなやかだった。〇がサラキア。いい雰囲気で走って行った。そしてラッキーライラック。これには▲、実にスムーズな走りでポケットへと入って行った。レースを見終えて、しばらくしてそうだっけと印を見直すとちゃんと、いい馬が来ている。流れる様に走る馬は、好結果を出す。当たり前の事ではあるが。

そもそも、ラッキーライラックがこの位置からレースをするとは予想だにしなかった。そこが今、いちばん日本で乗れているジョッキー。強い馬に巧いジョッキーが乗る。

以前に横山典騎手と話したことがある。いかに馬の上で邪魔をしないことだと。ルメールも翌日の日刊紙に載っていたが、「1番人気の馬はミスをしなければ勝てる」と。

ラッキーライラックを何度も見て来たが、印象としては乗り難しい馬と思っていた。ゲートの出は早く好位で競馬をする。後は4角まで無駄な動きをしないで直線へ温存する。そんなイメージの馬だった。時々、手応えほど伸びない、そんな競馬を何度も見てきた。それがこれだけ後ろから行き、3角からのロングスパート。

今までと違う乗り方で気持ち良く走らせたルメール。ラッキーライラックと有馬記念でもう一度、素晴らしい技を見せてくれるか。