競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【有馬記念】天皇賞(秋)の上位2頭と長休明けを叩かれた穴馬
2020/12/22(火)
今年のJRA競馬はルメールとアーモンドアイと言っていいだろう。そのアーモンドアイは、次の仕事へと北海道へ帰っていった。ルメールの仕事はフィエールマンで最後を締めくくる事だろう。
フィエールマンがアーモンドアイに半馬身差、クビ差でクロノジェネシスが続いた秋の天皇賞。勝ったアーモンドアイのしぶとさにも感服したが、フィエールマン。スタートしてから少し行った処でクロノジェネシス共々に外からキセキが進路を内に取ったことで狭くなり、下げざるを得なかった。クロノジェネシス以上にフィエールマンがその影響を受けたかと思える。位置取りが後ろとなり、レースの入りも違っただろう。次にアーモンドアイと戦うチャンスがあれば面白かったはず。
クロノジェネシスも良く追い上げて来た。今度はさらに1キロ減の55キロ。これは大きいアドバンテージ。
そして穴はワールドプレミア。長期休み明けを叩いた今回は違ってくるだろう。
20年12/20(日)6回阪神6日目11R 第72回 朝日杯フューチュリティS(G1、芝1600m)
- グレナディアガーズ
- (牡2、栗東・中内田厩舎)
- 父:Frankel
- 母:ウェイヴェルアベニュー
- 母父:Harlington
朝日杯フューチュリティS(G1)の結果・払戻金はコチラ⇒
ルメールが逃げた。モントライゼが先手を取ってレースを造った。と言うか、ちょっと予想以上に馬が行ったに違いない。前半の3ハロン通過が33.7、1000mが56.9とこれは過去10年の中山開催を含めて最も速いラップを刻んでいる。
スタートは青い服ばかりが前に出た。ブルースピリットにショックアクション、外ではバスラットレオン。その外からモントライゼが前へと出て行った。1ハロン、2ハロンとブルースピリットの外でジンワリだったが、徐々に加速して行った。馬の気分に任せて行かせたのかと思える。青い勝負服の中にサンデーレーシングの馬がいた。グレナディアガーズである。
3ハロンで5馬身、4ハロンでは6、7馬身とモントライゼが飛ばす。ここからのラップは11秒台と自分のリズムで行っている。レッドベルオーブは前にホウオウアマゾン、右前にはドゥラモンドがいる中団の少し前、ステラヴェローチェはその斜め後ろ。
先頭とドンジリはかなり縦長となって4角へと向かう。まだ先頭からは差がある2番手グループ。ブルースピリットの外へと並んだグレナディアガーズは早めにスパート。
直線へ入って来たモントライゼ、後300を前にしてルメールがステッキを入れた。後200で川田も左ステッキを1発、2発と入れモントライゼを捕らえた。後続も迫る。内にいたステラヴェローチェは直線入口では外のレッドベルオーブの方へ進めようとしていたが、瞬時に内へと切り替えた。その後で外は狭くなっているのだから、瞬時の判断はさすが。内から外へと縫う様に前へと迫ったが、グレナディアガーズには届かず。鞍上の横山典がゴール過ぎに声を掛けたシーンが見えた。
レッドベルオーブは3着も、前とは差があった。4,5着は前にいたバスラットレオンとブルースピリット。モントライゼだけが残れなかった。ペースは速かったが、距離に壁があるのか。
グレナディアガーズ、前走に引き続き強い勝利。マイルまでなら相当に強そうだ。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。