競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【桜花賞】良馬場で力の限りを出し切っての戦いを
2021/4/6(火)
今年も無敗の馬がいる、ソダシ。馬名の意味は《純粋、輝き》とある。前走は冷や汗ものの勝利だった。直線で何とか前が空いて脚を伸ばして来たが、自分が通った後をルメールのサトノレイナスが内目を一気に加速。ゴール寸前では相手が先に出た、と思えた。が、ソダシは根性の馬。ゴール前でもうひと伸びしてハナ差の戴冠。サトノレイナスもなかなかの脚を使う。
同じ国枝厩舎のアカイトリノムスメも侮れない。前走は最後にアールドヴィーヴルの猛追を受けたがクビ差退けての3連勝。アパパネの子供らしい勝負強さだ。ソダシと同じく金子真人オーナー。アールドヴィーヴルは馬体を戻してきて欲しい。
メイケイエールは横山典騎手がどう乗るのか。前走は抑えが利かなかった。わざと出遅れるぐらいの気持ちでいるはずだ。一発があるのはこんな馬だ。
【大阪杯の回顧】
21年4/4(日)2回阪神4日目阪神11R 第65回 大阪杯(G1、芝2000m)
- レイパパレ
- (牝4、栗東・高野厩舎)
- 父:ディープインパクト
- 母:シェルズレイ
- 母父:クロフネ
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またもや雨が馬場を痛めつける。せっかくの豪華メンバーでのG1、非情の雨が降り続ける。昼過ぎの5Rから画面に雨が登場しだした。良馬場からスタートした朝だったが、馬場はどんどん悪くなっていく。9Rで稍重、そしてメインはついに重馬場となった。
その9Rで1番人気の馬がスタートでアオリ後ろから。4角最後方でまったく届かず。差しはとても無理な馬場とは判った。まさかメインで、G1でこんな結末になるとは思いもしなかった。競馬には実力の他に展開と言う大きなファクターがあるのを忘れていた訳ではないが、見逃していた。
レースを終え、呆然とTV画面をじっと見つめていた。自分には予測出来ないこの結末に唖然としていた。勝ったレイパパレ、馬場を読み、展開を考えレースを演出しての勝利には諸手をあげ降参である。そして2着、モズベッロだ。直線で伸びあぐねるコントレイル、グランアレグリアの外を脚を伸ばしての2着。単に前残りの展開だけではない2着の激走である。
向こう正面でコントレイルの位置を確認した時には、だいぶ前から離れてるなとは思った。だがあと800ではグランアレグリアのすぐ後ろまで来ていたし、4コーナーではレイパパレの後ろの2列目にいるのを見て安心もした。
だがレイパパレの鞍上の考えは、まだその上を行くものであった。曲がり切ってから外へと大胆に進路を選んで出してきた。瞬間、いったい何が起きたかと驚いたぐらいの動きだった。後ろの2頭の外、そう荒れていない外へと出し切り、あと200からステッキを連打。後ろが離れるほどに伸びて4馬身の差をつけた。
最後のラップの13.1が全てを物語る。スタートはもうひとつのレイパパレだが、完全に先手の意思が見られた。向こう正面は内を開け、3コーナーからは内目。そして直線では思い切って外。レースを支配した勝利と言える。
昨年の牡、牝の3冠馬2頭の今年の緒戦は共に雨で負けた。だが無敗馬はまだここにいる。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。