今年の芝・平地のG1は東西で4勝ずつ。天皇賞を終えた時には関西がかなりリードしたのだが、この処は東が3連勝して肩を並べた。NHKマイルがシュネルマイスターで手塚厩舎とルメール、ヴィクトリアマイルがグランアレグリア、藤沢和厩舎でルメール。そしてオークスは手塚厩舎でデムーロ。今、勢いは完全に東、関東である。

競馬の最高の祭典である東京優駿、そうダービーも明らかに東から陽が昇りそうだ。若武者、横山武史が無敗のエフフォーリアで臨む。そもそもネーミングがいい。ギリシャ語で《強い幸福感》とある。ダービーへ出れるだけでそれでいいのではなく、ダービーを終えてウイニングランをしている時にその気持ちが溢れでるものだろう。

牝馬ながらダービーへと駒を進めてきたサトノレイナス。今年の2戦は結果としてはソダシに負けてはいるが、内容はむしろこちらの方が印象に残る。ウオッカの再来なるか。最も運の強い馬が勝つのがダービーだ。

【オークスの回顧】

21年5月23日(日)東京11R オークス(G1、芝2400m)
  • ユーバーレーベン
  • (牝3、美浦・手塚厩舎)
  • 父:ゴールドシップ
  • 母:マイネテレジア
  • 母父:ロージズインメイ


  • ユーバーレーベン、ドイツ語で《生き残る》の意味だそうだ。勝利は2歳戦が始まったばかりの昨年6月2週目の東京・新馬戦。1800芝を4番人気でハナ差勝利した以来の勝ち星。ソダシとは3戦で対戦したが、札幌2歳Sのクビ差が一番接近したぐらいだった。

    桜花賞には間に合わず、フローラSも3着でオークスの優先権利の2着までには入れず。ククナと同じ2歳重賞の2着加算での賞金、1000万で13位タイでの出走となった。

    今年は2勝馬の900万賞金の馬4頭が無抽選で出られたほど。しかし、そんな事は関係なく、多くのファンが支持の3番人気。それも時間を追うごとオッズは下がって行く。最終的にはソダシ、アカイトリノムスメ、ユーバーレーベンだけが10倍を切るオッズ。

    パドックではソダシがドッシリと落ち着いて周回。アカイトリノムスメは《ちょっとチャカつく》と競馬新聞に書き込むぐらいの印象。それでも鈴木康弘さんはアパパネよりも歩様が柔らかいと言う。パドックで目についた馬は、やはり2勝馬のミヤビハイディ。この最後の枠に滑り込んでくる馬達が過去に穴をあけるのを知っている。だが、ソダシが来ると確信している自分が居る。負けずぎらいの根性娘、ソダシ。クロフネでも距離は大丈夫だろうと。

    だが、結果は見てのとおり。いつもの好発から前で競馬。しかし、最初のカーブに入る時に左右から挟まれたのか、少し狭くなって吉田隼人が下げざるを得なかった。後は馬群の中でややストレスのかかる内容。

    それに反してミルコは自在に動いていた。最初は内め、向こう正面あたり外へ出し、3コーナー過ぎから前へとりつき、4コーナーでは抑えて待つぐらいの余裕。直線に入った時にはすぐ左にソダシが居た。横一列から抜け出し、最後は外へ流れながらも勝ち切った。

    アカイトリノムスメが馬群の中から出てくる。大外から強襲して来たハギノピリナを抑えて2着。ソダシは直線半ばで一度、伸びそうになったが止まった。距離の壁はあるのかもだ。秋の3冠めはまた違う戦いとなりそうだ。