競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【安田記念】連覇か、3歳馬か
2021/5/30(日)
2年前にはインディチャンプが1.30.9の脅威的なタイムでの勝利を飾った。梅雨入りしているが予報は好天だけにそれぐらいの時計になる可能性も大だ。
そして今年は久々に3歳馬の参戦がある。シュネルマイスター。NHKマイルCの勝ち馬で54kgで出れるのが大きい。
過去の勝ち馬を眺めても連覇はヤマニンゼファーだけ。30年近い前の話である。それだけマイルで頂点を極た馬でも持続は難しいか。インディチャンプでも昨年は3着。グランアレグリアにアーモンドアイの牝馬勢に後塵を浴びた。もっともこの2頭は別格な牝馬。今年は久々に昨年と同じ名が刻まれるか。後はアーモンドアイも負けた中2週のローテーション。自分との戦いだろう。
【日本ダービーの回顧】
21年5月30日(日)東京11R 日本ダービー(G1、芝2400m)
- シャフリヤール
- (牡3、栗東・藤原英厩舎)
- 父:ディープインパクト
- 母:ドバイマジェスティ
- 母父:Essence of Dubai
ゴールに入った瞬間はどちらが勝ったか判らないほどだった。先に抜け出したエフフォーリア。その内へシャフリヤールが迫る。追いすがるシャフリヤールの脚色が良かったのは誰でも判った。問題はゴールでどちらの鼻が先に出ているかだ。
アップでゴール板前を映しだすTV。思わず《あ~っ!》と声が出る。若武者、横山武史のダービー制覇が今年ではなかったのが判った瞬間だった。
遅い流れで後ろから前へ外へとあがってきた3コーナーと4コーナーの間。絶好位に居たエフフォーリアのポジションがどんどんと後ろめになる。4コーナーを廻り直線へと入ったあたりで前との壁が大きく開いた。その瞬間に前に居たタイトルホルダーが外へ出す。その後ろで外へと出せたエフフォーリア。ステッキを入れてゴーサインを出す横山武史。外で先頭のサトノレイナスを尻目にまえ踊り出た。
ジワジワとした伸びながらステッキに呼応して伸びるエフフォーリア。今年もダービーは無敗馬だったかと思えた。だが、勝負の神様はまだまだ試練を与える。進路を少し内へと切り替えた福永のシャフリヤールが一歩ずつ前との差を詰めていく。それでもまだまだ前を行くエフフォーリアのダービー。ゴールに入った瞬間でさえもエフフォーリアの態勢は優勢と思えた。
PVで真っすぐ前から撮っている映像では少しずつ外へと流れているエフフォーリア。後ろの福永のシャフリヤールが内へ入って来たのではない。真っすぐに伸びてきているのに前が外へと流れただけだった。遅い流れで向こう正面からデムーロも武豊も前へと動いた。
ルメールも4コーナー先頭と全ての馬が前への意識が強かった。エフフォーリアもシャフリヤールも内で閉じ込められていたが直線では進路を確保して脚を伸ばせた。最後の差は何の差だったのか。父エピファネイアが負けたのがディープインパクトの子供キズナだった。歴史は繰りかえされるのか。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。