競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【七夕賞】侮れないコース巧者
2021/7/5(月)
ただそのあとの成績はオールカマー4着。さすがにJC、有馬記念、そして大阪杯とG1での戦いが連続では仕方のない結果。体も500キロと僅かながら太めが続いていたが、前走の大阪杯で少し絞れて出てきている。
問題は今回のハンデ、58キロ。この10年で58キロでの勝ち馬は居ない、そして前年の勝ち馬が連勝もしていない。逃げ切りも7年前のメイショウナルトまで遡らないと居ない。あのトウケイヘイロー、マルターズアポジーでも逃げ切りは出来なかった。
今年はトーラスジェミニの逃げだろうが、昨年の福島記念でも8着。この馬には距離が少し長い。昨年の3着馬、ヴァンケドミンゴは56キロで福島コース巧者。注目したい。
【CBC賞の回顧】
21年7月4日(日)小倉11R CBC賞(G3、芝1200m)
- ファストフォース
- (牡5、栗東・西村厩舎)
- 父:ロードカナロア
- 母:ラッシュライフ
- 母父:サクラバクシンオー
もう少しで1分5秒台!。ファストフォースが逃げ切ったCBC賞。前日に今までの日本レコードの更新があったばかり。当然にここでもレコード更新の期待はあったが、それもこの時計まで出すとは。
前半3Fを32.3で行き切り、上り3Fを33.7で駆け抜けて1分6秒ジャスト。5F通過での54.3はさすがに新潟の1000m直線のレコード、53.7には及ばないが、あちらは真っすぐの直線競馬。こちらはカーブを2回廻る。
それも4コーナーでのファストフォースは外に3頭ばかり並列での流れ。ただそこまで付いて来ていた馬は電光掲示板に乗っていない。悪くないスタートから道中で内へ切り替えたピクシーナイト。この馬場で外を廻ってはと内へ入れた鞍上の好判断だったが、2着に追い上げたものの半馬身まで。
ヨカヨカはスタートがもうひとつ。その後は内へ潜りこんでロスを防いで直線に賭けた。直線半ばで巧く前へと捌けて出て来たが、その後で内へ外へとフラフラしてしまう。最後は内から外から抜かれて5着。スタートでのハンデが後々まで響いた格好だ。
勝ったファストフォースは3勝クラス。重賞も初挑戦だった。初ブリンカーでマイナス18キロと絞ってきた。鞍上がスタートから左ステッキをくれ猛ダッシュ。勢いで先手を奪ってそのまま押し切った。
それにしても、これほど下克上が続くものだろうか。そして夏は格より出来、勢いとも言う。まさしく全てがマッチしてこの勝利はあったのだろうかと思うのは後のこと。土日で芝のレコード決着が3度。小倉の芝は今がいちばんいい状態であろう。この後も1200の芝が沢山あるだけに、もしかするとこの数字を塗り替えることがあるのかも知れない。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。