競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【中京記念】速過ぎる芝への対応がポイント
2021/7/12(月)
【七夕賞の回顧】
21年7月11日(日)福島11R 七夕賞(G3、芝2000m)
- トーラスジェミニ
- (牡5、美浦・小桧山厩舎)
- 父:キングズベスト
- 母:エリモエトワール
- 母父:マンハッタンカフェ
ちょっと前までは関西馬が断然強かった七夕賞。この2年は関東馬の勝利と最近の流れと同じ様に西高東低ではなくなりつつある。1番人気は前年の勝者、クレッシェンドラヴ。
だがこの10年で同じ馬の勝ち名乗りがないのも事実。ハンデ戦だけに微妙な増量が影響しているのもあるのだろう。梅雨前線の影響か小雨が降ったりと馬場コンディションは少しウェットな状況。とは言うものの傾向は内有利。トーラスジェミニが先手を打てる、先行馬が少ない顔ぶれでもあった。
そのトーラスジェミニ、馬体重が発表となって最近ではいちばん少ない466キロ。5戦前と3戦前にの勝利時が488キロと480キロ。使う度の馬体減。そこがどうなのかとパドックを注目する。数字ほど減った感じに見えない。
函館の巴賞の勝ちとか、小廻りコースでの先手主張ので勝利。2000も勝ったこともあるが距離に不安を感じながらも展開面ではかなり有利なトーラスジェミニ。スタートを決めた戸崎J。すっといちばん前に出る。そのまま最初のカーブへ入って行くのかと思いきや、内から二の脚で出てきたロザムールを先にいかす。
2番手を選択のトーラスジェミニ。3番手にブラックマジック。クレッシェンドラヴは真ん中より少し後ろ。ヴァンケドミンゴがその少し後ろの外め。淡々と流れる前半。向こう正面に入ってもペースは上がらない。3コーナーに入る前から間合いを詰める戸崎J。4コーナーにはむしろ半馬身ぐらい前に出て廻っていく。少し外めに進路をとり追い出しも少し待つぐらい。
しかし、また内からロザムールが盛り返し気味。戸崎Jがステッキを2発入れ追いだす。少しだけ前に出てのゴール。3着、4着のショウナンバルディにマウントゴールドも道中は内々を廻った馬。クレッシェンドラヴにヴァンケドミンゴは直線で脚が残っていなかった。結局は行った行ったの前残り競馬。トーラスジェミニの8勝目は嬉しい重賞初制覇となった。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。