競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【エルムS】長休明けの強豪をどう見るか
2021/8/2(月)
JRAでのダート重賞は5月の平安S、7月のプロキオンSと続き、この函館でのエルムSの次が10月のシリウスSとなる。かしわ記念、帝王賞の王道を歩む路線もある。
ヴェンジェンスが昨年の平安S2着馬。G1馬、ケイティブレイブもかしわ記念2着馬。ともに1年以上のブランクがあり、いきなり動けるかが鍵となる。
今年の平安S2着がアメリカンシード。まだ若い4歳馬、ルメールが5戦連続で乗るのも魅力。ソリストサンダーが今年のかしわ記念の2着馬。地方馬、カジノフォンテンにハナ負け。戸崎Jもこのままでは悔しいだろう。マリーンSの1、2着馬はスワーヴアラミスにオメガレインボー。好調をキープは間違いない。近走の好調馬か実力馬かは迷う処だ。
【クイーンSの回顧】
21年8月1日(日)函館11R クイーンS(G3、芝1800m)
- テルツェット
- (牝4、美浦・和田郎厩舎)
- 父:ディープインパクト
- 母:ラッドルチェンド
- 母父:Danehill Dancer
確か、天気予報では雨はなかった筈。だが画面からは斜めに縦の線が流れる。雨粒が見える函館競馬場だ。その雨がどれだけの影響があったのかは現場に居ないと判らないが、ルメールの勝利者インタビューでシルクレーシングの勝負服がかなり泥で汚れていたのを観るとけっこうな降りだったか。
それにしてもますます流暢な日本語である。インタビュー慣れしているからでなく、日本の競馬を愛し、一緒に歩もうの強い気持ちがそうさせる。
それにしても惜しかったのは戸崎Jのマジックキャッスル。完璧なレースぶりでほぼ手中に入れたと思えた勝利。ゴール寸前の強襲でルメールに持っていかれた。重賞展望の時に書いたように、ジョッキーの顔ぶれが凄いと。その通りに名手達の腕の見せどころのクイーンステークスだったと思う。
スタートが決まったマジックキャッスル。そのまま好位置キープかと思いきや、一列下げた位置となる。ルメールのテルツェットは最初から後ろ。
意外と流れると読んだ位置取りだったのか。逆に川田Jのドナアトラエンテはスタートを出たあたりでは、そう前に居なかったが、最初のコーナーでは逃げるローザノワールのすぐ後ろに位置づけた。2,3勝目をあげた頃の内容が2番手キープからの競馬。そのイメージだったのだろう。いわゆる勝ちに行ったポジションどり。ところが早めに手応えがなくなった。4コーナーへ入る前にもう脱落気味となった。
4着だったがフェアリーポルカも惜しかった。ゴール少し前では一旦先頭かのシーンもあったが最後の詰めでクビ・クビの惜敗。そして今回も格上挑戦での好走があった。
サトノセシルが一瞬は夢見たゴール前だった。初日に2勝クラスを勝った時とは全く違うレースぶりの激変。北海道シリーズがいいのかも。シゲルピンクダイヤは全くいい処なし。この馬も難しい馬だ。終わってみればまたディープインパクト産駒の勝利。ルメールの重賞勝ちと見慣れた結果だった。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。