競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【新潟記念】夏競馬最後の重賞は軽ハンデ
2021/8/30(月)
親父と兄貴の和生はそれぞれの持ち馬との行動だが三男の武史はパルティアーモとの初コンビである。
前走の鞍上、ルメールは最後を北海道で締める様だ。他では川田Jがリアアメリアとのコンビに戻っての参戦。池添Jも3歳馬、ラーゴムとの初コンビで臨む。ジョッキーだけでも顔ぶれが楽しい。
ハンデはギベオン、ザダル、トーセンスーリヤが同じ57.5キロ。前走、重賞勝ちのザダル、トーセンスーリヤは1.5キロ増しの斤量である。やはり軽い馬に眼が行く。
ラーゴムの53キロ。きさらぎ賞までの足取りとクラシックでの結果は違い過ぎた。癒しの効果はある筈だ。パルティアーモの52キロもいい。OP初挑戦の新潟牝馬Sでも3着と新潟での実績は買い材料だ。
この10年の勝ち馬を眺めると友道厩舎が4勝している。今年もアドマイヤポラリスにラインベックと穴っぽい馬で参戦だ。
【キーンランドCの回顧】
21年8月29日(日)札幌11R キーンランドC(G3、芝1200m)
- レイハリア
- (牝3、美浦・田島俊厩舎)
- 父:ロードカナロア
- 母:ライトリーチューン
- 母父:マンハッタンカフェ
先週の重賞展望で《3歳牝馬と5歳馬の対決》と書いた。
出した結論は武豊Jのメイケイエールが逃げ切って、ミッキーブリランテかエイティーンガールが突っ込んでくるだろうと。予想センス、馬券センスは相変わらずない自分に呆れている。
しかしメイケイエールは問題だ。ゲートの出はそう早いものではなかったが遅れはしなかったし、許容範囲だった。そこからである。ガーッと出て行った。
亀田Jのレイハリアが好発、外から内へと切れ込んできての先頭。同じくカイザーメランジュも外から内へ付いてきた。そこへメイケイエールがガムシャラに入ってきた。カイザーメランジェを外へ外へと流させていく。先頭に立っても折り合うとかの問題でない。
前へ前へと進んで行くメイケイエール。前半3Fの34・0は過去10年と比べて函館開催とレコード決着時以外でそうは変わらない。早すぎず遅すぎずである。4角まで内を走っていたレイハリアが外へ進路をとったのも前が止まらないから開かないの判断だろう。最後に頭差の勝利はそこでの貯めがあったからと思える。
カイザーメランジェ、マイネルアルケミーと前へ行った馬の全てが粘ってはいる。ただ、メイケイエールだけが自滅した。エイティーンガールはスタートの遅れをすぐ取り戻し真ん中あたりにつけて、ゴール前の脚は凄かった。
セイウンコウセイも久々に好走した。逆にミッキーブリランテは道中の行きっぷりの悪さが目立った。
亀田ジョッキーも田島俊調教師もレイハリアでの葵賞の勝利が重賞初勝利で今回が2つめ。このコンビで3連勝。いかに馬との出会いが大事かが判る。
このレイハリア、デビュー戦からの戦い方を振り返っても、一介の逃げ馬ではない。前に馬を置いてのレースが出来るのが何よりの武器。物見とか怖がりとかのコメントが以前はあった。そういう処は成長と共に解消されるだろうし、そんな今回のレースぶりだった。これからG1へとチャレンジの時が来た。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。