競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【セントウルS】誰しもが欲しい夏の短距離王者の称号
2021/9/6(月)
今年も昨年同様に中京コースでの開催。昨年の勝者はダノンスマッシュ。あの勝利からいよいよ本格化して香港スプリント、そして今年の高松宮記念へと円熟の極みとなった。
その高松宮記念でクビ差負けたレシステンシア。最後の追い合いで内から抜け出されたものだが相手が悪かった。1400芝は3戦3勝と絶対の好相性ではあるが、1200からマイルまでと守備範囲は広い。54キロと1キロでも軽くなったのは嬉しい。
3歳馬ではピクシーナイトとシゲルピンクルビーの2頭。ピクシーナイトに注目。差す競馬の方が良さそうである。
そして何より注目はクリノガウディー。去年の高松宮記念で勝利を逃してから勝ち鞍が遠かったが春にこの鞍上を迎えて激変。やっと軌道修正できた感があり最大の穴。
【新潟記念の回顧】
21年9月5日(日)新潟11R 新潟記念(G3、芝2000m)
- マイネルファンロン
- (牡6、美浦・手塚厩舎)
- 父:ステイゴールド
- 母:マイネテレジア
- 母父:ロージズインメイ
何度も何度も新潟記念のビデオ、PVを見直した。朝からの他のレースも、ついには前日の芝レースをも観た。それほどまでに芝の状況が悪いのかと。
新馬戦でさえも直線半ばで内に居た馬がグイと馬首を外へ向け、進路を切り替えて来るシーンもあった。左様にいやそれ以上に悪い。それほどに悪いのだからと、外へ進路をとる馬が前もって判る訳でもない。
トーセンスーリヤはこの夏シリーズでずっと注目して来た馬だから、逆にこんな差す競馬をするものとも思えていなかった。
ましてその外へと廻ったマイネルファンロンを相手として少しでも注目していたかとも思えない。トーセンスーリヤを◎にしてマイネルファンロンに△を入れていた日刊紙の本誌予想を後で知った。お見事ではあるが、自分には出来ない予想だろう。
新潟の芝の特徴を掴んでいたとしてもマイネルファンロンをピックアップしていたかとは考えられない。確か以前に函館記念で2着に来たことがある馬だよなとは知ってはいた。だが今年のそのレースで先手をとって沈んだことで見切ってしまっていた。
まして今年のオークス馬の兄で鞍上がそのM・デムーロ。このコンビ、手塚厩舎とのセットだから成しえた仕事だと思いたい。
ただパドックから返し馬まで見ていて、ザダルは《何か硬いな~》と感じていた。それが事実かどうかは知る由もないが、伸びがまったく感じられなかった。
直線半ばまでは殆どの馬が同じ様には伸びていた。だが最後の最後で外の伸び具合が違っていた。惜しむらくは3着のクラヴェルか。トーセンスーリヤの外へ行きかかったが、そこへマイネルファンロンが並んで来て蓋をされて、また内へと切り替えてのハナ差3着。あそこで外へ出せていたら2着になっていたかも知れない。
馬のイメージと言うのは過去のレースで積み重なったもの。だが隠されていた、持っていた脚はあると言うことだろう。それにしても昨今の競馬は難し過ぎると思うことばかりだ。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。