ダービー馬の登場である。シャフリヤール、キャリア3戦でダービーを制したディープインパクトの子供である。

そのダービーのパトロール・ビデオを観た。絶好の位置取りをした福永Jのシャフリヤール。ところが向こう正面で後続が前へ前へとあがって行き、いつの間にか位置が後ろとなった。

直線への入りも外へ出そうにも壁があって出せない。少し接触もあった。やむなく少し内へと進路をとる。

スペースを見出したシャフリヤールが前と進んで行くと、先頭へ出たサトノレイナスが外へ流れる。それを抜き去ったエフフォーリアもつられるように外へ流れる。

真っすぐに伸びてきたシャフリヤールの前は邪魔な馬が居ない。外から矯正してきたエフフォーリアだが、その内をスルリと前に出てハナ差の勝利。《運の強い馬が勝つ》と言われるダービー。まさしくそんな勝利であった。そしてこの秋。3着のステラヴェローチェも出てくる。改めて春の能力の再確認が出来る筈だ。

【セントウルSの回顧】

21年9月19日(日)中京11R ローズS(G2、芝2000m)
  • アンドヴァラナウト
  • (牝3、栗東・池添学厩舎)
  • 父:キングカメハメハ
  • 母:グルヴェイグ
  • 母父:ディープインパクト
土曜にあっという間に年間100勝を達成した福永J。勢いは留まるところを知らず秋華賞トライアルのローズSをアンドヴァラナウトで勝利した。エアグルーヴの孫で名血だ。

馬名が読みにくい。近頃、この手が多い。で、JRAで馬名の意味を調べる。《北欧のニーベルンゲン伝説に登場する指輪》だそうで、さらに調べないと判らないことばかり。

好発のアンドヴァラナウト。エイシンヒテンがダッシュ良く先頭。すぐ好位に付けられた。レースの最初の1Fを13.1で入るなんて重賞はそうはないだろう。

前半1000mが1.01.2で後半が58.8。完全なる前残りのペースである。その流れを造った松若Jはお見事と言うしかないだろう。それを射程圏に入れて完璧に捕らえた福永Jの計算された騎乗。さすがである。この1、2着は自分の能力を出し切った清々しい競馬だった。

一方、2番人気の岩田康Jのタガノパッション。そして3番人気のルメール騎乗のクールキャットはまったく精彩を欠く競馬であった。。タガノパッションはアールドヴィーヴルのすぐ後ろ。クールキャットは後方で最後まで見せ場さえもなく終わった。タガノパッションはゲートになかなか入らず、あの時点で嫌な予感はした。それにしてもである。

注目していたアールドヴィーヴル。馬体の増加を見込んでいたが思ったほどでなかった。道中も勝ち馬の後ろで悪くない位置。4コーナーへ向かう手前で早めに前へと促して行った。それが後600あたりで後ろからのタガノディアーナに先を越される勢い。一瞬に馬群に囲まれてスペースまでなくなってしまう。反応が悪すぎた。スイスイと他馬が伸びて行く時にモタついていた。

ゴリゴリと押して何とか脚を伸ばして3着には来たが、とても前に届く脚色でなかった。オークス出走組よりも夏に使ってきた馬が多かったにしろオークス組はあまり成長したとは思えない。勝ち馬だけがソダシへの挑戦権を得たと言えようか。