競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【スプリンターズS】名牝の血がここで目覚めるか
2021/9/27(月)
先週の中山の芝を観ていると内から内のいつもどおり。だが雨で馬場の悪化が残ればまったく違う馬場になる。晴れていれば内の先行馬有利。渋れば差し馬の出番となる。
流れを決めるのはモズスーパーフレア。昨年も一昨年も先頭は譲らない。4コーナーを単独でいちばん先に入ってきている。2年ともに前半3Fは32.8。4Fも44秒台の前半で入っている。この馬は貯め逃げではなく絡まれずに行けるか。
2年前は勝ち馬だけに差されたが単騎逃げ。去年は2頭で雁行に近く直線半ばで脚が止まった。この馬が先頭は決まった様なもの。その流れに乗ずるのがレシステンシア。後ろからのダノンスマッシュとピクシーナイトの動きを封ぜれるか。
最大の穴馬はジャンダルム。前走は発馬の分だけ。ビリーヴの血がこのG1で目覚めるか。
【神戸新聞杯の回顧】
21年9月26日(日)中京11R 神戸新聞杯(G2、芝2200m)
- ステラヴェローチェ
- (牡3、栗東・須貝尚厩舎)
- 父:バゴ
- 母:オーマイベイビー
- 母父:ディープインパクト
それでも直線で馬場のいい外を廻っての決着となるのだろう、最後は地力勝負だろうと思っていた。シャフリヤールの勝利、好発進を疑いもしなかった。道悪はどの馬も一緒だと。
しかし、競馬は水もの、やってみないと判らないもの。こんな結末になるとは思わず。ディープインパクトの血、それはシャフリヤールもレッドジェネシスにも脈々と流れており、勝ったステラヴェローチェにも母の父として受け継がれている。だから道悪を敗因には出来ないかも知れない。
現に直線で通ってきた進路は2着のレッドジェネシスは内めを突く。逃げたテイエムタツマキのすぐ外、馬場の2分め。勝ったステラヴェローチェは後400ではシャフリヤールのすぐ内で横に並んだ内から7頭目だった。
しかし前にイクスプロージョン、モンテディオが並び進路がない。そこですかさず内に切り替えモンテディオの内から前を狙う。先に出ていたレッドジェネシスの外へと並んだのが後100の赤い棒の少し手前。その時にはもうシャフリヤールは前に届かない脚色。むしろ外から迫るキングストンボーイの勢いの方が良さげに見えるぐらい。
結果、ステラヴェローチェとレッドジェネシスは半馬身の差。そこから3馬身離れた3着にモンテディオ、この夏に1勝クラスを勝ったばかりの馬である。そしてシャフリヤールにキングストンボーイと続く訳であるがワンダフルタウンは8着と大きく敗退。ダービー出走組で掲示板に乗らなかったのはこの馬だけ。この馬にも母父にディープインパクトの血が入ってはいたが。
いつもなら外へ出せばキッチリ伸びていた中京競馬場の芝。この日は様相がまったく違ってもいた。1、2着馬の迫力だけが目立った菊トライアル戦。本番はどうなるのだろう。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。