天皇賞への優先出走権が与えられるのは、阪神で行われる京都大賞典と同じ。だがどちらに注目かと言えば、やはり府中で行われる毎日王冠であろう。

過去10年の優勝馬を眺めてもすぐにそのレースが思い出せる馬ばかりだ。

この2年は3歳馬の勝利が続いている。今年もそれに続くか。NHKマイルCを制したシュネルマイスターが参戦。ただG1馬だけに2キロ増の56キロと古馬勢と同じ斤量となる。斤量面で言えば安田記念勝ちのダノンキングリーがG2戦でも58キロを背負う。3歳時にはこの毎日王冠を1番人気に応えて快勝のダノンキングリー。この後に天皇賞に行くのか、マイルCSへと矛先を向けるのか。2000よりは1800までの方がパフォーマンスがいいのは確かだ。

安田記念でダノンキングリーの後塵を浴びたシュネルマイスター。夏を越してどれだけの成長があるのか楽しみなパドックだ。伏兵馬も沢山居るが、まずはこの対決がいちばんの見物。

【スプリンターズSの回顧】

21年10月3日(日)中山11R スプリンターズS(G1、芝1200m)
  • ピクシーナイト
  • (牡3、栗東・音無厩舎)
  • 父:モーリス
  • 母:ピクシーホロウ
  • 母父:キングヘイロー
台風16号が通過して行った。雨を相当量も置いて行っただろうに土曜から回復傾向で日曜も稍重からのスタートだったが特別戦からは良発表。中山らしい内々の結果ばかりとなっていた。

だがG1はどの馬も色気を持つから流れはけっこうなものだろうと勝手に解釈していた。ゲート入りでビアンフェがかなり手こずる。立ち上がって鞍上が降りてのゲート入り。ビアンフェがモズスーパーフレアよりも先に行く手もあると思っていただけに、このゲートでの消耗は嬉しくなかった。

ゲートが開いて、ビアンフェも悪くないスタートだったが、外のモズスーパーフレアがポンと出て内へ楽に切れ込んできて先手。それも無理なく入ってきてのもの。そして驚いたのはピクシーナイト。すっと3番手に居るではないか。レシステンシア、シヴァージと隊列は決まる。

前哨戦のセントウルSでゲートで後手を踏んだジャンダルム。注目のゲートの出も悪くなく馬群の中に居た。だが、あっと言う間に廻りが前へ前へと出て後ろめとなる。流れはそう早く感じない。

モズスーパーフレアは後続に2馬身ぐらいのリードで4コーナーと入ってくる。3番手のピクシーナイトの手応えがいい。ビアンフェを弾き飛ばす勢いでモズスーパーフレアとの間に入る。後1F過ぎにモズスーパーフレアを抜き去る。最後は2馬身の決定的な差をつけての快勝となった。

レシステンシアは何とか2着を死守したが内を猛追してきたシヴァージと際どい争いとなった。ダノンスマッシュは4コーナーに入る時に鞍上の手がかなり動いていた。前2年とはまるで違っていた。ジャンダルムには全く出番はなかった。

モズスーパーフレアはこの2年よりも前半の入りはゆったりなのだが、粘れずの5着。ピクシーナイトはこれで1200は3戦してパーフェクト連対。完璧な競馬でG1制覇。これからますます極めそうである。今年は関東馬が1頭も出て居ないスプリンターズSだが新たな王者誕生だ。