レイデオロ

18年10/28(日)4回東京9日目11R 第158回天皇賞(秋)(G1)(芝2000m)

  • レイデオロ
  • (牡4、美浦・藤沢和厩舎)
  • 父:キングカメハメハ
  • 母:ラドラーダ
  • 母父:シンボリクリスエス
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馬場に真っ先に出てきたレイデオロ。まるで走るのが楽しいと傍からら観ていても感じられるほどに、ノビノビとしたフットワークだ。絶好のポジションで道中も進み、直線も危なげない抜け出しだった。
逃げたキセキが粘らんとするところへ、サングレーザーがハナ差届かせた。スワーヴリチャードとマカヒキは、共にゲートの出がモッサリと接触。位置どりが悪くなったにしろ 最後までギアが上がらずのゴールであった。
ルメール騎手が今週8勝ならば、藤沢和厩舎も6勝。最高のリズムで駆け抜けたジョッキーとトレーナーの技術が熟成させた作品が、天皇賞のキャンバスであった……。

パドックで堂々たる周回をしていたレイデオロ。その雰囲気を観ていて《一番いいな~》と思えた。ルメール騎手が跨った瞬間にスイッチが入って、テンションを高める。馬場入りもいつもどおりに真っ先に入ってきた。眼の前の返し馬へ走っていくフォームや手脚の伸ばし方を観ていて、何とも心地いいリズム感まで伝わってくるほど。
大幅に馬体を減らす馬がいたが、マカヒキは元々がモッコリ型の馬。細くは見えない。サングレーザーは腹目の薄い馬だけに細く見えるが、キャンターは申し分なし。スワーヴリチャードの馬体は私にはいつも良く見えず、何とも判らない馬だ。

ベストターンド賞とかにキセキが選出された。そのキセキが先手を取って行った。川田騎手のプランだった様子。『スワーヴリチャード、出が悪い!』と場内アナウンスが叫んでいたが、実際にはマカヒキが内へよれてスワーヴリチャードに接触した。もっとも2頭ともが他の馬と五分のスタートなら横の馬が壁になってくれるのだが、2頭共モッサリと出たようだ。

キセキが逃げてアルアインが2番手、ヴィブロス、ステファノスにミッキーロケット。その後ろにレイデオロ。前から6頭目の絶好位である。サングレーザーがその2馬身後。そこからまだ後ろにマカヒキを交わしたスワーヴリチャード、マカヒキはアクションスターの前と後ろからのレース。
淡々と逃げるキセキ。ユッタリと進んで、誰の眼にもレイデオロの位置が最高と判る。ほとんどそのままの隊列で4コーナーまで来る。
ミッキーロケットとほとんど同じぐらいの位置にいたレイデオロ。ラスト600の4コーナーのカーブの前にミッキーロケットの外へと並び、カーブへと入ってくる。

先頭のキセキがここでギアアップ。10.9とペースを早める。アルアインが少し離れ気味。ラスト400、レイデオロが前へと出てきてはいるが、アルアインの隣りぐらい。まだルメール騎手は追いださない。その後ろではサングレーザーも外へ出して、こちらは既に追いだしに入った。
ラスト200の少し手前ぐらいで、ルメール騎手の右ステッキがまず1発入ってゴーサイン。そこから前を行くキセキを交わしにかかる。右ステッキが2発、その後にも3発。そしてキセキを抜いた後に左に持ち替えて、2発入れてのゴール。ゴール過ぎて少しして、右手のこぶしを前へと突き出したルメール騎手。会心の騎乗だった様だ。

検量室内では、ルメール騎手に仲間のジョッキー達が『どんだけ~』と冷やかす田辺騎手とか手荒い祝福をしていた。もちろんルメール騎手はニコニコ顔。最終レースが終わった時に私も、《クリストフ!、おめでとう!。だけど212以上は勝つなよ!》と釘を刺しておいた。だが彼は『絶対にそれ以上を勝ちたい!』と言うから、《ストップ!》と最後にぶつけておいた……。

後刻、藤沢和師と握手。真っ先に師から出た言葉は天皇賞のことではなかった。天皇賞の事は師の中ではもう消化済みの様で、昨日に勝利させていただいたシェーングランツの次走のレースの確認だった。
この2日間、東京競馬場で観戦させて貰ったが、2歳馬もまだまだいい馬がいる藤沢和厩舎。完成の域に入ってきたレイデオロ。母の父がシンボリクリスエス、母も自厩舎で走っていた馬。こうやって積み上げてきたものたちが開花する。《本当に競馬って奥が深いな》とつくづく感じいるものであった。

そしてこの3週間。関東馬、関東馬、関東馬である。またジョッキーもルメール、ルメール、ルメールなのである。
おおよそ30年ぐらい前には、関西馬がどうしても関東馬に勝てない時期を目の当りにしている、現場にいてその壁の高さを嫌というほど知っている。そして、近頃の関東馬の脅威がそんな時期がまた到来したのかと感じるのは私だけだろう…か。