競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【阪神ジュベナイルF】クラシックに向けて重要な一戦
2021/12/6(月)
デビューから負けていない馬が9頭。3戦3勝のウォーターナビレラを筆頭にナミュール、ダークペイジの3頭が複数回の勝利馬だ。ウォーターナビレラはレース巧者である。それはかなりの武器ともなろう。
ナミュールの前走、赤松賞での上り33秒フラットはかなりの切れ味。左廻りの経験しかないがそこは心配ないだろう。鞍上のC・デムーロは今週の稽古で跨るのかも知れない。
アルテミスS組のサークルオブライフもいい脚で勝った。2着のベルクレスタも悪くない内容で、デビューから引き続きの継続騎乗も好感だ。ナムラクレアはファンタジーSで勝ち馬以上の脚を使ったと、けっこう目移りする。ウォーターナビレラ中心も混戦模様だ。
【チャンピオンズカップの回顧】
21年12月5日(日)中京11R チャンピオンズカップ(G1、ダート1800m)
- テーオーケインズ
- (牡4、栗東・高柳大厩舎)
- 父:シニスターミニスター
- 母:マキシムカフェ
- 母父:マンハッタンカフェ
今年の注目は何と言っても牝馬G1を2勝もした3歳馬ソダシの参戦だった。それも芝でレコード勝ちをしても血統は父クロフネに母ブチコからもダートでの活躍は約束されたような血筋。その馬が初ダートをここに選んでの緒戦。絶好枠を得て、白い馬体がそのまま真っ先にゴールへと入るシーンをまず描いてしまうだろう。
ところが競馬の神様はそうお手柔らかくはない。4コーナーまでマイペースの逃げで来ていながら、直線のあと300でインティに交わされてからは脆くも馬群に埋もれた。12着、テーオーケインズからは2秒3差の結果であった。
その1頭前がハナ差でカフェファラオ。この馬もブリンカーを初めて着用とこの一番に賭けたが昨年の6着から着順を下げた。いかに初めてと試みることが難しいのかを教えてくれる。
収録してあったBS1の競馬番組を見直す。パドックからレース後のインタビューまで観る。テーオーケインズの馬体はおよそダート馬のイメージではない。
むしろシュッとした流線型で芝でより走れそうな体だ。デビューからダート戦以外を知らない。兄弟馬にそう傑出した馬も居ない。この1年ぐらいでドンドンと強くなっている。特に今年に入っては先の金沢のJBCの4着だけ。ゲートが悪すぎての敗戦でもあった。
その後にゲートの練習。今回もダノンファラオがゲート内で潜りかけて時間がかかった。その間もじっと耐えていた。すぐに絶好の3列めぐらいに付けて、直線のあと200ぐらいで外のサンライズホープを弾き飛ばして進路を確保した後の伸びは半端なかった。
2着のチュウワウィザードもこの流れで良く外から脚を伸ばしたが6馬身の差が物語る。完敗だろう。
そして今回もファンの眼の確かさ。最後はソダシを抜いて1番人気の支持。恐れいった。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。